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某SIerアルムナイサロン 「AIに観る普遍的価値」ゲスト登壇しました。後編

こんにちは! W&Dコンサルティングの仁木です。
先日(2023年9月14日) 私の前職である某SIerのアルムナイが集うサロンにて「AIに観る普遍的価値」をテーマにゲスト登壇しましたので、当日の登壇内容をご報告します。
少し長くなってしまうので、前編・後編と2回にわけています。

前編はこちらです。

本記事はガッツリ生成AIを使っている人より、気になってるけどまだ使えていない人に向けた内容となっています。

後編では本サロンの本題である「AIに観る普遍的価値」と「企業成長に向けた生成AIの活用案」について議論した内容をお伝えします。

テーマ1:AIに観る普遍的価値

最初のテーマは「AIに観る普遍的価値」です。当初は「AIに見る」としていましたが、この1年自分が使ったり、他人が使っているところを観察してきたという意味も込めて「AIに観る」と書き直しています。

まずテーマにもある「普遍的価値」という言葉の定義をしないと先へ進めないと思いますので、先に決めておきたいと思います。

普遍的価値とは?

普遍的価値 = すべてのものに共通してある価値
すべてのものとすると幅が広すぎるため、今回は我々人類の生活に共通してある価値と定義します。

もうすこしブレークダウンして、「価値」の意味についても深掘りしましょう。
価値 = どれくらい大切か、またどれくらい役に立つかという程度
価値には程度があるため、良し悪しの概念もありますね。我々が議論したいのは、AIがもたらしてくれる良い価値です。

それと、普遍的価値という言葉をよく使う人の含意をくみ取ると「これからも価値があり続ける」が含まれていることに気が付きます。

どちらかというと、「今までは有用だった」をヒントに、これからも大切で、役に立ち続けることを見きわめるのが重要だと感じています。世界の変化は激しく、予測は難しいのですが、今後消えてしまうようなものは普遍的ではないですよね。投資をするなら「これからも変わらず価値のあること」を選びたいものです。

AIに観る普遍的価値とはすなわち

「明日、10年後、100年後、AIが人類の生活にもたらし続ける良い効果」

明日、10年後、100年後、AIの技術や存在が人類や社会にどのような影響を変わらず与えているか?どのような価値を与えつづけてくれるのか?ということですね。

私の答えを先に述べておきます。

私の考えるAIに観る普遍的価値 は
「個人の成長」を加速させられるツール。

です。とってもシンプルです。
人類には成長し続けてほしいという想いもありますが、ChatGPTを使い始めて、感じた「初体験への挑戦」のハードルが劇的に下がった経験から、こう感じました。

あなたは「AIって任せれば何でもやってくれるんだよね?」と考えていませんか? もしそうなら、その考えは改めてください。
その考えから脱却しないと成長する機会を逃してしまいます。
難しいことはAIに任せて、自分はかんたんで楽な、やれる事だけやるというのは、成長する機会を自ら捨ててしまうことになります。

AIはあくまでもツールです。

適切に利用することで価値が最大化されるのだと、この1年間利用することで見えてきました。とくに自分が新しいことや未知なることへ挑戦する時こそ、AIはあなたの最高のアシスタントとなり、あなたの成長を加速させてくれるでしょう!

適切に利用するとは?

私が考える、生成AIを適切に利用するとは

  1. 生成AIが生成した内容を自分でレビューする。

  2. 文章生成AIと対話しながら自分が納得できる回答を引出す。

自分でレビューする

上記の「自分でレビューする」というルールを守れずにChatGPTを利用したエピソードがあります。

私には年の離れた従兄弟がおり、今年から就職活動を始めています。IT企業の就職先を探しているようです。そこで、IT企業について色々詳しいだろうからというのと、私の前職も受けたいので企業側の人として相談に乗ってほしいということでした。
( 前職の面接においては、私だったらこういう人通すよってアドバイスしたら落ちたようです。ごめんなさい)

そんな中、とあるIT企業との面接にむけて、履歴書の内容や、面接の予習質問の回答のレビューをお願いされました。
いざ履歴書や、予習質問への回答を見てみると、記載されている文章にすごく違和感を感じたんですね。
何か大事なこと言ってる風で、深みがない文というか。
そこで彼に、これChatGPTで生成したでしょ?と確認したら「え、なんでわかったん?」と返ってきました。

以下がその時の文章です。
どこがChatGPTっぽいかわかりますか?

コロナワクチン接種受付のアルバイトにおいて、日本語が苦手な外国人に対応する必要があったため、英語での対応方法を考えることになりました。初めての経験でしたが、最善の結果を出すために最大限努力しました。

従兄弟







「最善の結果を出すために最大限努力しました。」

私はこの文章が非常にChatGPTっぽいと感じました。
大切な事を言っているようで、非常に定性的で誤魔化している感じが。。。ChatGPT 3.5を利用して生成したとのことでした。

この経験から、ChatGPTが生成したものを適切に評価できない人にとって「作業」は効率化されていないということに気がつきました。
ChatGPTを利用して楽をしようとした結果、無駄に時間を消費しただけです。

原因を考えてみたのですが、ChatGPTはすごい!と巷で言われていることを鵜呑みにし、ChatGPTが生成したものは正しいという前提でいたことと、彼はまだ社会人経験が無く、ChatGPTが生成した文章が面接する側にどう受け取られるか?の判断ができなかったからだと思います。

ChatGPTは使う側の技量により性能が変わります。

対話する

ChatGPTの利用者によく見られる間違った使い方は「一問一答」です。
また、ざっくりとした質問にはざっくりとした回答しかできません。
これは人間も同じですよね?
対話を重ねることで、求めている回答を引き出すことができます。
この事実を知らないユーザーが、一問一答で良い回答を得られず、ChatGPTは使えないツールだと思ってしまうことがあるようです。

これは適切なインプットができていない、ユーザー側の問題です。

ChatGPTは優秀なアシスタントとして捉えることが重要です。
問題のテーマをしっかり伝え、分からないことは質問し、間違いは指摘し、テーマをどんどん掘り下げましょう。

正しく使えば知識も増えるし、作業効率も上がる。ChatGPTを利用すれば、自分の知識量を超えた課題にもぶつかっていける。
私が、AIに観る普遍的価値は「個人の成長」を加速させられると言ったのはこのことからです。

テーマ2:企業の成長に向けた生成AIの活用案

次に企業を成長させる生成AIの活用方法について議論しました。このトピックについてもまずテーマの定義をし、その上で議論するようにしました。

企業の成長とは?

色々な定義があると思いますが、今回は「企業の成長」を以下のように定義し議論しました。

  • 会社の規模
    売上・利益といった財務の面

  • 会社の質
    社員のスキルや企業風土(所属する人が感じる価値観)

私の考える企業の成長に向けた生成AIの活用案は、なんじゃそれと思われるかもしれません。主に、現状の日本の企業に対してですが。 AIに観る普遍的な価値で話した「AIは個人の成長を加速させられる」ことから

企業の成長に向けた生成AIの活用案
経営者や従業員の個々人が、AIを適切に普段遣い出来るようになる

がシンプルかつ効果的な企業成長につながるAIの活用方法だと考えます。
ChatGPTのAPIを使って、便利なアプリ開発をする!とかではないです。
いわゆる企業経営においての「人的資本」の側面です。
人的資本にあたる、個人の生産性や仕事のクオリティの向上に生成AIを利用することで、企業価値を素早く向上出来ると考えています。
従業員=コストと捉えている経営者も多いかと思いますが、AIをうまく活用することで、優秀な従業員を増やすことが可能になるはずです。

MITの研究

ここでMITでの研究結果を見てみましょう。

MITの新研究、ChatGPTでホワイトカラーの生産性が飛躍的に向上
444人のホワイトカラーに、マーケティング、助成金申請、データ分析、人事に沿ったライティングや編集の仕事を依頼し、グループを2つに分けた。

これらの職務領域を代表すると思われる仕事を20~30分行った後、これらの職務領域で働く評価者が彼らの仕事を「採点」した。チームは、結果のスピード、結果の質、そしてChatGPTが果たした実際の役割(仕事を置き換えたか、補強したか、混乱させたか)を見ました。

ChatGPTを使用したグループは、ほぼ同じような成績(品質レベル)でタスクを完了するのに37%速く(完了まで17分対27分)、作業者が改善のためにタスクを繰り返すにつれて、ChatGPTグループの品質は大幅に速く上がりました。つまり、ChatGPTは品質を犠牲にすることなく作業をスピードアップさせ、さらにツールを使って「素早く作業を改善する」ことを容易にしたのです。

※ChatGPTによる翻訳

New MIT Research Shows Spectacular Increase In White Collar Productivity From ChatGPT
https://joshbersin.com/2023/03/new-mit-research-shows-spectacular-increase-in-white-collar-productivity-from-chatgpt/

上記はホワイトカラーの方たちを対象とした研究であり、すべての職種の方に通じる結果では無いものの、特定の職種においては37%の作業効率化が確認できたのです。

実際にどれくらいの作業工数が効率化されるか?

では、日本のあるIT企業を対象に、ざっくりどれくらい作業工数が効率化されるのか計算してみました。

ChatGPTを使った作業の効率化

1ヶ月あたりの740人月もの工数が削減される可能性があります。

もちろん個人によっては効率化量のばらつきもあるでしょうし、もしかしたら2000人もChatGPTを使いこなせないかもしれません。ChatGPTの利用料も考えなければいけませんね。
ですが、もし実現ができたなら、かなりの工数が削減できることになります。

生成AIを活用したアプリケーション開発で、一部の業務を改善するなんかよりも、業務効率化に対する影響力は大きいと思います。

最後に

私なりに出した2つのテーマの答えから、今後は人々が生成AIを常用出来る様に教育するコンサルが今後伸びるのでは?と感じています。
お客様の業務によっては、プロンプトも十人十色でしょうし、その分業務を分析して、正しい使い方を導くのもコンサルの腕の見せどころでしょう。

生成AIにおいても、プロダクトアウト案件が散見され、今までと同じ過ちを繰り返そうとしています。我々ITコンサルタントとしては、生成AIはあくまでツールと捉えています。クライアントが抱える課題を生成AIが解決出来るのであれば提案することもあるでしょう。生成AIありきのプロジェクトは破綻します。
ブームやバズに流されないよう、みなさんも注意してくださいね。

本記事の著者

W&Dコンサルティング合同会社
代表者:代表CEO 西本亮一、代表COO 犬飼泰一
設立:2021年4月
事業内容: ITコンサルティング事業、コンテンツ企画制作事業

企業理念
Well Think and Design
よく考え、よいアイデアをカタチにする

Mission
私たちは、アイデア力とデザイン力で、ヒトとヒトが笑顔でつながる社会づくりに貢献します。

Vision
お客さまの抱える問題の本質を捉え、普遍的な価値を追求することで、デジタル活用をとおして、企業の能力を発揮できる仕組みをデザインします。

Value
お客さまも社員も関わる人たちが、共にワクワク・ドキドキできる取り組みをします。

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