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「1.01の法則」の近似計算について

日々の積み重ねが大事という文脈で$${1.01^{365}\simeq37.8}$$という式を用いて「1.01の法則」と呼ぶらしい。ビジネス書に書かれるこの手の話に興味がないが、暗算でどうやって出すのかには興味が惹かれる。

パッと思いつくのはTaylor展開の第1項で打ち切る$${(1+x)^a \simeq 1+ax}$$であるが、この方法だと$${1 + 0.01 \times 365 = 4.65}$$となりオーダーが合わない。よくよく考えてみると

$$
(1 + x)^a = 1 + ax + \frac{ax\cdot(a-1)x}{2\cdot 1}+ \frac{ax\cdot(a-1)x\cdot(a-2)x}{3\cdot2\cdot 1} + \cdots
$$

となる。近似の条件として$${ax \ll 1}$$が必要であるため、上記の近似は使えない。

この「1.01の法則」の近似計算については、10年ほど前にブログ記事がある。この記事でも同様の議論を行なっていて、最終的には利子計算の「72の法則」を使うとある。ただ、この「72の法則」の知識を持っていないと使えない点に不満がある。

同様の発想ではあるが、もう少し良い暗算方法を思いついたのでここに記す。まずネイピア数が$${\lim_ {x\to0} (1 + x)^{1/x}=e}$$で定義されることを用いて、

$${1.01^{365}=(1.01^{100})^{3.65} \simeq e^{3.65} \simeq 2.7^{3.65}}$$

と変形するところまでは同じ。$${2.7^{3.65}}$$は大体$${2.5^{4}}$$に等しいだろうから(追記:$${f(x)=(e+x)^{e-x}}$$が$${x=0}$$で極値をとることから、2.7と3.65という大体同じくらいの大きさの数に、1オーダー小さい0.2と0.35を足し引きしても結果は大きく変わらないはずだろうという推測のもと)、$${6.25^2 \simeq 6.2 \cdot 6.3 \simeq 6 \cdot 6+0.5\cdot 6=39}$$とすると、割と良い近似値が得られる。この方法はいかがだろうか。


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