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夢と熱狂を追い求めて(慶應義塾大学3年・マネージャー/岡﨑寛大)

自分の夢を表現できる場所。それが早慶サッカー定期戦。


はじまりの日

2017年7月15日、1-5の大敗を喫した等々力競技場で僕の早慶戦は始まった。

あの日等々力を包み込んだ熱気、スタジアムに足を踏み入れた時に高まった鼓動、忘れたことはない。

多くの人の夢、多くの人々が紡いできた物語、それがあの環境を取り巻いていた。

感情と感情がぶつかり合って、混ざり合ってできた舞台は今まで自分が見てきたどんなサッカーの試合よりも、美しかった。

この熱気と、この景色を今度は自分がみせたい。

これが僕と早慶サッカー定期戦との出会い。


再会

あの舞台を観たら誰しもがあの舞台に携わりたいと思うのは必然だろう。

コロナ禍という先の見えない日々を過ごし、考える時間が増えた高校時代。

ふと、あの日の感情が蘇った。

自分の大学人生をあの舞台に懸けるのも一つじゃないか。

今までプレイヤーとしてあの舞台に立ちたいと思っていたので、サッカーを辞めた自分にとってその舞台は縁もゆかりもないものだと感じていた。

そこで出会ったのが、マネージャーという役職。憧れの舞台に立つのではなく、その舞台を用意するという立場。

そんな想いを胸に秘めた2021年10月24日西が丘でその舞台と再会した。

後半ロスタイム、バックスタンド側で観戦していた自分の前を駆け抜ける14番。

角度のない位置から放ったシュートはゴールネットを揺らした。


揺れる観客席。歓声で包まれるゴール裏学生席。

ここまで自分の感情を揺さぶられた経験はないと感じた。


たかが学生スポーツ。たかが大学サッカー。されどこれが早慶戦。


2度目の熱狂を肌で感じたあの瞬間、この舞台を創りたい、そしてこの舞台をもっと大きくしたい。

そうして慶應義塾体育会ソッカー部の門を叩いた。

ソッカー部入部を決めた日

現実、夢

1年目、とにかく自己実現のための早慶戦だったと今思い返すと感じる。
早慶戦運営のイロハもわからないまま、有名人インフルエンサーとのコラボなど企画面でとにかくやりたいことを言いまくった。
本来なら下級生がやらなければいけない仕事は他の同期に任せ、自分のやりたいことに固執した自分のための早慶戦だったような気がする。
2022年9月10日、西が丘のビジョンに慶應の選手紹介がワンオクのwe areと共に映し出され、同期4人の名前が表示された時、後半選手交代で同期がピッチに足を踏み入れた時、胸に込み上げてくるものがあった。
そのうちの1人は直前まで怪我で苦しめられていたが、早慶戦に出ることを夢にソッカー部に入った部員だった。ある1人は早慶戦数日前までアンダーカテゴリーでもがき苦しんでいた選手だった。

その選手がピッチ上でプレーしている姿を見ていると、自分が何のためにこの舞台に携わっているのかがようやく理解できた。

最高の舞台で選手に大暴れしてほしい。
その最高の舞台を創るのが自分の役割なんだと。

サッカーというスポーツは世界で最も人気なスポーツなのにも関わらず、大学サッカーの認知は圧倒的に低い。
もっと言えば、大学スポーツ全般にスポットライトが当たらないのが現状である。

中学時代、サッカーのプレイヤーとしての道を諦め、高校時代サッカーから逃げた自分にとって、大学でもサッカーを続ける彼らは憧れの存在で、本当に輝いている。
だからこそ、そんな彼らの輝きを多くの人に見てほしいと強く思っている。
憧れの存在である彼らが陽の目を浴びて、大学でサッカーを続けるという決断を正解にしてあげたい。
ほとんどの選手が大学でサッカーから離れる環境である今、彼らが10年以上も懸けてきた想いを何か価値あるものにしてあげたい。

マネージャーとしてその舞台を創り出せるのが早慶戦に自分が携われる意味である。

そのような思いでできた夢が早慶戦国立開催だった。
元々入部当初にこの夢は先輩の影響でできていたが、その夢が明確になった。
国立というこれ以上ない最高の場所、スポーツの聖地に選手を立たせ、心踊るくらいに楽しんでプレーをしてほしい。
もしかすると、この夢は早慶戦国立運営をしたいという自分の利己的な考えが多少あると思われるかもしれない。
ただ、根本にあるのは彼らが輝ける最高場所を創りたいという強い思いだ。

この自分の熱意を汲み取って、「岡﨑くん、一緒に国立開催を目指さないか」と言ってくれた公平くん(早稲田大学4年・主務/北村公平)には感謝してもしきれない。

当たり前ではあるが、大学でサッカー部に入る部員はそれぞれサッカーに真正面に向き合い続けた物語がある。
高卒プロになれる可能性があるのになぜ大学でサッカーをするのか、プロの夢を諦めたのになぜ大学でサッカーを続けるのか、その理由の一端が垣間見えるのがこの舞台であると思う。

そしてそれは選手だけではない。
早慶両校のマネジメントスタッフはその舞台を創り上げるために自分の全てを捧げている。
自分達が想像した舞台を実際に創造できるように必死にもがき続けるマネジメントスタッフの努力の結晶が見えるのもこの大学スポーツの祭典ならではだと感じている。

選手としての道を断ち、スタッフとしてチームのために尽力する彼が、怪我で長期離脱しながらもサッカーに向き合い続けるあいつが、誰よりも応援で声を出し続けていたあの人が、夢見ていた舞台が早慶戦なのだ。


想い

とある日の練習後、選手と話す中である一言が自分の胸に刺さった。

「今年の早慶戦国立開催に向けて、お前なんか役に立ってるの?何もやってないじゃん。」

恐らく、半分冗談で言った一言だったと思うが、その言葉に胸を抉られた。
傷つくと共に、その言葉が本質を突いていると感じた。
早慶戦国立開催をあたかも自分の手で掴み取ったかのような気持ちでいた。

どこか、選手をこの舞台に立たせられることを自分のおかげだと思っていたのかもしれない。
早慶戦を創る意味を、自分が早慶戦に関わる意義を、忘れていた。

なんのための早慶戦なのか、誰のための早慶戦なのか。
あの日、与えてもらった言葉に気づかされた。
奇しくもソッカー部への入部を決めた彼が背負っていた14番を今受け継いだ部員からの一言だった。

自分の大きな夢を実現化させてくれた早稲田のマネジメントスタッフ、特に同期の木庭(早稲田大学3年・副務/木庭正太郎)、彩花(早稲田大学3年・マネージャー/永戸彩花)、伊藤(早稲田大学3年・マネージャー/伊藤未羽)、髙見(早稲田大学3年・マネージャー/髙見真史)。
自分を信じて早慶戦において多くの役割を担わせてくれた豪さん(慶應義塾大学4年・主務/内藤豪)友香さん(慶應義塾大学4年・マネージャー/中村友香)。
無理難題も嫌な顔せずに手を動かしてくれる後輩。
自分のわがままを一緒に創り上げてくれるチーム愛溢れる梨帆(慶應義塾大学3年・マネージャー/関梨帆)
一緒に考え続け、誰よりも早慶戦のために動き続ける彩夏(慶應義塾大学3年・マネージャー/竹島彩夏)
二刀流のロマンを追い求める辻(慶應義塾大学3年・副務/辻野悠河)
この舞台を用意する地盤を固めてくれた歴代の先輩方。

頼れる早慶同期
国立開催を目指してくれた先輩方

尋常ではない時間と労力を懸ける彼らが手がけるこの舞台。
そして、自分のサッカー人生全てをぶつける選手たちが織りなす舞台。

それを夢の国立という場所でできることにこれ以上ない喜びを感じています。
公平くんから早慶戦国立開催が決まりましたとLINEが来たあの日、気づいたら目尻に涙が溜まっていました。

今まで何かに一生懸命になることから逃げていた自分をこれまでにないくらい熱中させてくれる早慶戦。
この舞台を選手が思う存分楽しんでくれるのなら汗かき役も、嫌われ役も打って出る覚悟だし、泥水啜ってでも全てを懸ける覚悟はできています。

それだけこの早慶戦に懸ける想いはあります。

国立開催をしたいと言った張本人だからこそその責任を持ちながら、試合終了時に選手が、お客さんが、最高に楽しかったと言ってくれるように残された準備期間を突っ走りたいと思います。

このnoteを読んでいただいた方へ

皆さんは最近何かに心を動かされた経験をしましたか。
誰かの姿で胸が熱くなったり、涙が出そうになったり、そんな経験をされましたか。

この早慶戦という舞台はご来場いただいた方々、関わってくださった皆様の心を揺さぶり、明日からまた何か頑張ってみよう、何か夢中になってみよう、そして夢を描いてみようと心の底から思える場所だと思っています。

このnoteを読んでくださった方の中には早慶両校に関わりのない方もいると思います。
血の滲む努力で早慶を目指す受験生、子どもたちのために日々一緒に戦う受験生の保護者の方、大学サッカーファン、日々理不尽なことにも耐え凌ぐ社会人。

そんな皆さんへ

是非この舞台を共に創り上げましょう。

大学生の彼らが創り上げるからこそ心にくるものがあります。
文字通り早慶両部員の夢が詰まった舞台。
両校約200人の部員が全員が紡いだ物語が表れた舞台。

大学生だから表現できるこの舞台が生み出す熱狂を、
国立を取り巻く美しい空気を、
とくとご覧あれ。


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