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大豆の収量を上げるには?単収目安と“高収益”実現へ向けた栽培手法

出典:BASF社『minorasu』実らす食のミライ

【大豆の収量を上げるには?単収目安と“高収益”実現へ向けた栽培手法】
大豆生産においては、国や自治体によるさまざまな助成や技術開発が行われています。しかし、大豆は気候や環境の変化などの影響を受けやすく、収量や価格が安定しません。本記事では、大豆生産農家が受けられる助成を紹介するとともに、収量増加のコツについて解説します。

* 以下、抜粋です。なお、リンク先(全文)は、次のとおり。

大豆は子実に多くのタンパク質や脂肪を含み、子実が十分に肥大し収量を増やすには、窒素をはじめとする多くの養分を必要とします。

大豆は根粒菌によって窒素固定を行いますが、その窒素固定能力は豆類の中でも特に高く、条件がよければ10a当たり30kg以上もの窒素を大豆に供給できるとされてます。

とはいえ、根粒菌があるから土壌中の窒素は不要というわけではありません。大豆は基本的に、まず土壌中の窒素成分を根から優先的に吸収し、不足分を根粒菌の窒素固定で補うためです。

また、大豆が着莢するには窒素だけでなく、カルシウムやマグネシウムなどの養分も多く吸収します。大豆は地力を消耗させる作物であり、安定的な収量増加を実現するためには堆肥や緑肥を十分にすき込み、地力を改善させる必要があります。

有機物を十分にすき込んだ土壌は、膨軟で(ふかふかとして)通気性・排水性に富むため、根の生長が促進され、土壌中の養水分の吸収も向上します。

さらに、根粒菌は窒素固定に酸素を必要とするため、通気性の改善によって根粒の窒素固定も高まります。こうして、地力の向上は安定多収につながるのです。

特に水田輪換畑においては、もともと湿度の高い土壌が多いうえに、畑地化することで土壌中の微生物が活発化し有機物を分解するため、地力低下とともに保水力や通気性といった土壌物理性の悪化などが懸念されます。

土壌診断も行いながら、必要な施肥をすることで地力の維持に努めましょう。

多収のための土作りには、土壌pHの調整も重要です。大豆の生育には、通常の畑地よりも高い土壌pH6.0〜6.5が適しており、酸性土壌では減収してしまいます。石灰質資材などを施用し、土壌診断の結果を適正値に矯正しましょう。

2. 湿害を回避する排水対策

湿害も、大豆の収量を大きく減少させる要因の1つです。播種時期が梅雨と重なるため、播種後に何日も雨が続き発芽不良や生育不良となったり、水はけが悪いために根腐れを起こしたりして、収量や品質が低下することが少なくありません。

湿害を回避するには、あらかじめほ場に排水設備を設置する必要があります。大豆のみを栽培している場合は前年秋か遅くとも4月までに、麦の後作として栽培している場合は麦の播種前か、麦の収穫後すぐに排水を行うとよいでしょう。

具体的には、播種前に用水路から排水路までをつなげる額縁排水溝や明渠(めいきょ)、弾丸暗渠(あんきょ)を整備します。

すでに排水設備が設置済みであっても、前作の作業中に溝が埋まったり踏み固められたりしている場合もあるので、必ず溝をさらう、暗渠を増やすなどの改善を行いましょう。

ほ場全体に本暗渠を設置したうえ、毎年1回弾丸暗渠を1m間隔の高密度で実施し排水性を高めている事例もあります。

排水設備を整えたうえで高畝栽培を行えば、ほ場表面の排水性も確保でき、湿害のリスクを抑えられます。

また、あえて耕起や中耕・培土を行わず、土壌表面を固く平らに保つことで表面排水を進め、降雨直後でも播種を可能にしつつ大幅な作業の省力化を図る「不耕起播種」の栽培技術も、近年注目されています。


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