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R6.5.3(金/晴)【BASF社・minorasu・🔴肥料、13種】

⭐️   冒頭の『高度化成肥料』も含めた、
  NPKほか、中・微量要素等をシッカリ
  勉強できます。 😊

目次

農業に欠かせない肥料には、単肥、複合肥料、化成肥料、液体肥料など、成分や形態によるさまざまな分類があります。

この記事では、肥料の分類を整理したうえで、「高度化成肥料」に焦点をあて、普通化成肥料との違いや使用するメリット・デメリット、上手な使い方について紹介していきます。

高度化成肥料と耳にすると、何か特別な効果がありそうな印象を受けるかもしれません。

いったい何が「高度」で、普通化成肥料とはどのような違いがあるのでしょうか。肥料の基本的な知識を振り返りながら具体的に説明します。

そもそも化成肥料の定義とは? 肥料の種類と分類

化成肥料の定義を知るために、まずは肥料の種類と分類を理解しておきましょう。

肥料とは?

そもそも「肥料」とは何なのでしょうか。

作物に限らず、植物は根から土壌中の水分と無機成分を、葉から二酸化炭素を取り込んで栄養としています。

肥料とは、植物の生長に必要な成分のうち、土壌中で不足しやすい成分を補うものをいいます。

また、「肥料の品質の確保等に関する法律」(注)では、「肥料」とは「植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため土じょうに化学的変化をもたらすことを目的として土地にほどこされる物及び植物の栄養に供することを目的として植物にほどこされる物をいう」と定義されています。

(注)肥料の品質の確保等に関する法律:2020年12月1日 、法律の題名が「肥料取締役法」から「肥料の品質の確保等に関する法律」に変更されました。

🔴 土壌中の成分13種

作物の生長に欠かせない土壌中の成分には13種類あり、その必要量に応じて「大量要素」「中量要素」「微量要素」に分類されています。

肥料はさらに、牛ふん・魚粉・落ち葉など動植物由来の原料でできた「有機質肥料」と、石油・リン鉱石・硫酸などの無機物由来の原料で作られた「無機質肥料」に大別されます。

無機質肥料には、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)のうち1種類だけを含んだ「単肥」、2種類以上を混合した「複合肥料」があります。

化成肥料は複合肥料の1つで、単肥を数種類使い、化学的に加工・成型して製造したものです。複合肥料にはほかに、単肥を混合しただけの配合肥料、液状の肥料などがあります。

高度化成肥料は「より肥料成分の含有量が多い化成肥料」

高度化成肥料とは、化成肥料のうち、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)を合計した成分含有率が30%を超えるものを指します。

よく見られる配合が、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)の割合が14%・14%・14%や、15%・12%・15%といったもので、「14-14-14」、「15-12-15」などと表記されています。この場合、どちらも3つの成分を合計した含有率は42%です。

肥料全体のうち成分含有率が30%以下のものは「普通化成肥料」と呼ばれます。

高度化成肥料とは、普通化成肥料に対して窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)の成分含有量が多い化成肥料なのです。

化成肥料の利点は、成分の含有率が明らかなので必要量を正確に測れることや、粒の大きさが均一で成分バランスがよく扱いやすいことです。

価格も比較的安価で手に入りやすいのも魅力です。

ただし、化成肥料の中でも高度化成肥料となると、普通化成肥料とは異なるメリットとデメリットがあります。

高度化成肥料最大のメリットは「施肥の省力化がめざせる」こと

高度化成肥料は、普通化成肥料に比べて肥料成分を多く含むため、必要施肥量に対する肥料の量や施肥回数を減らせます。

例えば、普通化成肥料の「8-8-8」と、高度化成肥料の「15-15-15」では各成分の含有率が倍近くも異なります。

そのため、同じ成分量を半分程度の体積の肥料で賄うことができ、運搬や散布の負担を大幅に軽減できます。
これは作業時間の短縮にもつながります。

必要な施肥量が多いほど省力化に好影響であり、特に大規模なほ場での使用に適しています。

また、体積当たりの成分含有量が多く凝縮されているので、化成肥料の特徴である速効性を持ちながらも、比較的効果が長持ちする点もメリットです。

「均一散布の難しさ」がデメリットに

一方で、デメリットは、まず、均一散布が難しいことが挙げられます。

高度化成肥料は、同じ施肥量ならば、体積が普通化成肥料の半分程度となるので、少ない量を広範囲に均一にまかなければなりません。

人が農具などを使って散布すると、どうしても施肥ムラができてしまいます。

散布量と散布面積を考慮し、少量ずつを、ほ場全体にまんべんなく均一に散布できるよう、肥料散布機を使用して計画的に作業することが必要です。(肥料散布機の使い方は後述します。)

成分含有率が高いため、施肥ムラができてしまうと部分的に肥料の濃度が高くなってしまい、肥料やけや肥あたりを起こすこともあります。

追肥として高度化成肥料を使用する場合は、特に施肥ムラに注意が必要です。

野菜類など追肥後にトラクターなどによる土壌攪拌ができない場合は、普通化成肥料を用いたほうが安心です。

高度化成肥料は、上手に使えば作業の大幅な省力化や効率アップにつながります。

そこで施肥のコツと上手な使い方について説明します。

過剰使用に注意!施肥基準量を守る

高度化成肥料は、成分含有率が高いので適正量を少し超えただけで過剰施肥になりがちです。

施肥基準量(注)に沿って適正に施肥しましょう。

(注)施肥基準量:目標収量・品質を確保するための標準的な施肥量

肥料の袋やパンフレットに10a当たりの参考施肥量が記載してありますが、あくまでも一例であり、気候や土壌条件、作物の種類や作型など管理する状況によって適切な施肥量は変わるため目安として捉えてください。

また、記載されている参考施肥量は、高度化成肥料を100%施肥する場合の目安量です。

堆肥や他の肥料と組み合わせて施用する場合は、土壌の状態と肥料の成分をよく分析して適切に施肥するようにしてください。

肥料散布機の使い方|ライムソワーの場合

高度化成肥料を基肥として使用する場合は、前述のように、トラクターに肥料散布機を連結し、ほ場全体へできるだけ均一に散布するのがコツです。


肥料散布機にはいくつか方式がありますが、高度化成肥料の場合、均一に散布する機能に優れるライムソワーが向いています。

もともと、石灰資材など粉末状の肥料などを散布するために開発されましたが、現在では化成肥料などペレット状の肥料にも広く使われています。

ライムソワーは、横に細長いホッパ(肥料箱)と肥料を攪拌して均一に繰り出すアジテータ、肥料を落下させる繰出装置、肥料の繰出量を調節するシャッター、動力伝動装置などから構成されています。

肥料の繰出量はシャッターの開閉幅で調節しますが、肥料によって粒の流れ方が違うので、あらかじめ開閉幅と肥料の繰出量を確かめておきましょう。

例えば、2m幅のライムソワーならば、500mの走行で10aになります。肥料を100kg施用する場合は、1m進むごとに200gを繰り出せばよいので、これにあわせてシャッターの幅を調整します。

大規模ほ場では、作業途中に肥料の補給が必要になるので、2~3人で作業を分担して進めるのがよいでしょう。

小規模ほ場向けには、歩行型トラクター用の製品もありますので調べてみるのをおすすめします。

肥料散布後はトラクターによる土壌攪拌を行う

肥料散布後は、改めてトラクターで土壌攪拌を行うと、水平方向だけでなく垂直方向にも肥料を広げられるため、ほ場全体へより均一的に散布できます。

そうすることで、肥料やけを起こしやすいなどのデメリットを最小限におさえることができます。

高度化成肥料は、高比率で成分を含むため、散布量や施肥回数を減らせて、施肥作業の省力化・効率化アップにつながります。

ただし、施肥ムラや過剰施肥による肥料やけを起こさないためには、散布機を上手に使って、正確な量を均一に散布することが重要です。

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