タイトル作者【なかとー】タイトル【空飛ぶ少女とゴーダマステッキ】

・タイトル作者【なかとー】
・タイトル【空飛ぶ少女とゴーダマステッキ】


・番号【1】・文章作者【きくぞう】

「僕と契約して魔法少女になってよ!」

目の前の奇妙な生き物がつぶらな瞳で見つめながら言った。真っ白な柔らかそうな毛並みに大きな耳。見た目は兎のようにも見えるがサイズがかなりでかい。そもそも明らかに違うのは人語を喋ると言うことだ。

「僕と契約して魔法少女になってよ!」

再びそいつが言った。訳が分からなかった。実際には5秒ほどだったが事態を収拾するのに体感3分くらい時間が経過したような錯覚がした。こいつは何だ?魔法少女だって?いったい何を言ってるのか分からない。

じわりと額に滲んだ汗が頬を伝う。そいつは微動だにせず、ジッと私の顔を見ている。いけない、早く何か答えなければ。吸い込まれそうなその漆黒の瞳から目をそらし、口元を引くつかせながらやっとのことで私が絞り出した答えは

「え?なんて?」

鏡をみたらさぞや間抜けな顔をしていたに違いない。普通ならこれだけ待たせて出た答えがこれならキレられても仕方がないだろう。そう、相手が普通の人間なら。

「僕と契約して魔法少女になってよ!」

先程と全く変わらないトーンでそいつは言う。これはアレだ。ドラクエで言うところの強制イベ
ント。はいと答えるまで延々と同じ質問を繰り返す不自由な二択、選択肢の無い選択肢ってヤツだ。

「え?なんて?」
「僕と契約して魔法少女になってよ!」
「え?なんて?」
「僕と契約して魔法少女になってよ!」
「え?なんて?」
「僕と契約して魔法少女になってよ!」

駄目だ。この無限ループからは抜けられそうにない。観念した私はコクリと頷いた。するとそいつは醜悪な笑みと共に口が裂けるほどニィと広げ、口の中からキラキラと輝いたステッキを吐き出した。

「これはゴーダマステッキ。これを振りかぶれば君も魔法少女になれるんだ」

まるで催眠にかかったかのように私はフラフラとそのゴーダマステッキを手にとった。すると脳裏に奇妙な言葉が響き渡った。

「ナマステ、ナマスカ、ナマステジー!インドの国からこんにちわ、魔法インド少女ナマステ参上!」

気が付くと、私は決めボーズをしながら不思議な呪文を唱えていた。予想だにしてなかった自分の行動に私は火が出るくらい顔を真っ赤にしていた。

「おめでとう、これで君も今日から魔法少女だ」

そう言われ私はハッと気が付く。短いスカートに胸を強調するかのようなデザインの胸元。いつの間にか自分は魔法少女の姿になっていた。

「君は魔法インド少女ナマステとなり、ダイバダッタ率いる悪の秘密結社デーヴァダッタと戦うんだ!」

先程まで微塵も無かった私の心にメラメラと闘志が燃え盛る。許さないダイバダッタ!悪の秘密結社デーヴァダッタは、この私が倒す!

決意を胸に秘め私は立ち上がった。落ちようとしている美しい夕日が私を照らす。私の戦いは今始まろうとしていた。だが1つだけ懸念事項がある。それは私は少女ではなく、男だと言うことだ。

そう、私の名はなかとー。これから悪の秘密結社と戦い、有名人となる男だ。

・番号【2】・文章作者【ヤマ】

ん?男が魔法少女じゃおかしいって?

ノンノン!まだアップデート出来てないなぁ!
今の時代、これくらい普通だよ?

それに、魔法「少女」になってよ。って言われたから魔法少女な訳で別に少女でも中年でも良かったの。だって、魔法が使えるから!!

そう言うとおもむろにステッキを取り出し天に掲げた。

その時、上空から緑の光線が飛んできた!

「危ない!」

奇妙な生き物が身を挺してなかとーを庇った!

「うわぁー!」

奇妙な生き物は死んだ。もういない

「これで、新しい魔法少女は生まれまい。あとはコイツを倒せば我らが世界をこの手に出来る…クックック…」

上空でゆらり、と影の様なものの中から細身のローブを深く被った男が現れた。

「我が名はオツル・コペルニクス・ハーケン!私がこの世界を!いや、特に日本をより良く支配してやろう。お前を倒してな!」

なかとーは今さっき死んだ奇妙な生き物はどうでも良かったのだが何だか怒りの様な感情が湧き上がるのを感じた。

感情のままにステッキをオツル・コペルニクス・ハーケンへ向ける。

するとステッキの形が変わり、ステッキの先がドリルのようになった!
しかも結構大きい…

「このドリルは、天を衝くドリルだぁぁぁ!!」

ドリルとなったゴーダマステッキから二重螺旋を描きながら光が伸び、オツル・コペルニクス・ハーケンを包んだ!!

「ヘヘッ、スゲェじゃねぇか…!」

光の中でオツル・コペルニクス・ハーケンはそう呟き…………消えなかった。

・番号【3】・文章作者【ペグ】

オツル・コペルニクス・ハーケンは戦闘直前に大量のアルコールを摂取していた。説明しよう!オツル・コペルニクス・ハーケンはアルコールを大量摂取することにより、一時的に無敵状態になるのだ。

「にゃーん!痛くも痒くもないもんねー!!!うわあああああん人肌が恋しいよおおおおおお!!!!!はあ!?なんだよ別に寂しくねえよ!!!バカにすんじゃねえよ!!!にゃんにゃんにゃん🎶おすずしゃああああん、きゃあわいいねええええんもぉすんごぉぉぉおおおいきゃわいいいいいいいいいねぇえええええ????」

説明しよう!オツル・コペルニクス・ハーケンはアルコール大量摂取によって無敵になれるのだが、色んな意味で無敵の人になってしまうのだ。人目とか好感度とかどうでも良くなるのだ。

なかとーは冷静な様子。

「帰ってもいいですか?」

オツル・コペルニクス・ハーケンは両手を掲げる。

「はあああああ!?!?なんだおまえ!!!バカにしやがって!!!俺は召喚の呪文が使える!いけえ、たかひろ!!!!!!」

空から光が降り注ぎ、光の中からたかひろ店長がやってきた。だが様子がおかしい。手には大瓶のお酒が握られているようだ。

「あんれぇ!?なかとーさあん!?えっーーーーーwwwww何その格好やっばああああああああwwwww」

今日は水曜日。あまやどり休業日だ。休日を謳歌して家でお酒を飲んでいたところ突然召喚されたのであろう。たかひろ店長はテンション高めになかとーに絡み、肩に手を回した。

なかとーはうんざりした表情だ。

「めんどくさ…」

「なかとーさん、広島じゃないの!?なんでいるの!?!?まじで!?ウケるんですけどwwwwマッジでうけるwwwww今から飲みに行きましょ!?!?!?」

・番号【4】・文章作者【なかとー】

左右の酔っ払いに嫌気がさしたなかとーは叫ぶ。

「3分間も待ってられねえ!!!!バルス!バルス!!バルス!!!!バルスー!!!!!!」

オツル・コペルニクス・ハーケンとたかひろ店長は「おすずぅぅぅぅぅー」とか細い悲鳴をあげながら消滅した。

・番号【5】・文章作者【きくぞう】

「なかとー様!!」

酔っぱらいのオツルとたかひろ店長を魂まで浄化させ、一仕事を終えた魔法少女なかとーのもとへおすずが駆け寄る。

「あの酔っぱらい達には、ほとほと困っていたんです。本当に助か…」
「100万円」
「え?」
「まさか、タダで助けてもらえるとでも思ったのか?魔法少女も何かと入り用でねえ…。悪漢を退治した活躍料として占めて100万円。耳揃えて払ってもらおうか。ナマステ!」
「そ、そんなお金、あ、ありません…」
「ああん?!」

青ざめた表情で怯えるおすずに、魔法少女なかとーが凄む。と、その時、魔法少女なかとーは何かを思い付いたかのようにニヤリと下卑た笑みを浮かべた。

「そうかそうか、金がないなら仕方ねえなあ。俺も魔法少女だ。金の無い奴から無理やり取ることは出来ねえよ。ナマステ!」
「な、なかとー様!!」

おすずの顔がパッと明るくなる。だが、

「金がないなら、あまやどりを差し出してもらおうか!ナマステ!」
「え」

驚いて呆気にとられるおすずに、魔法少女なかとーが顔を近づけた。

「ちょうど東京にプレプレの2号店が欲しかったんだ。この場所なら立地条件もいいし、客もあまやどりの常連をそのまま取り込める。おおそうだ、おすずさん。なんならあんたをプレプレ2号店の店長にしてやるよ。たかひろ店長も消えちまったし生活も不安だろ?ナマステ!」

舌舐りしながら魔法少女なかとーが近づき、おすずの手を取った。

「は、離して下さい!」

バシッ!!

咄嗟に出た平手打ちが魔法少女なかとーの頬にヒットした。

「ッツ!…いてえな。あー、めんどくせえ」

気だるそうにしながら、魔法少女なかとーはおすずにゴーダマステッキを向けた。

「ヒッ」
「今すぐ、たかひろ店長の元に送ってやるよ」

そう言って、魔法少女なかとーはゴーダマステッキに魔力を込める。

「ゆ、許して…」
「ごめんで済むなら魔法少女はいらねーんだよ
!真身如来、応身如来、釈迦如来!天罰テキメン、マホトマ・クラッシュ!」

ゴーダマステッキから放たれた閃光が、おすずに向かって放たれた。

「キャアアアア!!」

物凄い爆音と共に大爆発が起こり、もうもうと煙が辺り一面を覆う。だが…

「て、てめえは?!」

おすずを庇うように目の前に居たのは一人の魔法少女。

「ティック、ティックァ、ティッケスト! インドの国からお元気ですか、魔法インド少女ダイバダッタペグ、ただいま参上!」

・番号【6】・文章作者【ヤマ】

なかとーは少しばかり狼狽えた。

もう魔法少女はいないんじゃなかったのか?
どこかで生き残りがいたのか?

そんな考えのなかとーをよそにペグが語りかける。

「今、すずさんに攻撃したよね?
ってことはすずさんの代わりに殴っていいってことだよね?やったー!」

魔法少女ペグは喜びながら大きく振りかぶる。

「いや、それどういう理屈?」

となかとーが言い終えたと同時にペグの姿が消えた。

一瞬の閃光の後、魔法少女なかとーは数百メートル先までぶっ飛ばされていた。

咄嗟にステッキから出した「月刊ラーメン大好き」を盾にしなければ致命症は避けられなかっただろう。

「なんだ?あのパワーは?ありえないでしょ!?」

狼狽えるなかとー

もう既にペグは次の手を用意していた。

「遠くまでいったなー、そこまで行くの面倒だからコレでいっか!」

そう、ロケットランチャーである。

「俺はゴリラだ!!」

ペグの叫びと共にロケットランチャーからおよそロケットランチャーらしからぬ極太のビームが発射された!

「なんでロケットランチャーからビームなん!?」

思わずツッコむなかとー。

しかしツッコミを入れてしまったおかげでビームの回避に間に合わない!

ビームに呑まれるなかとー

「ウワァーーー!!」

・番号【7】・文章作者【ペグ】

ビームに呑み込まれたなかとーだったが、全身にダイヤで出来たボドゲのサマリーを貼り付けていたお陰で被害は衣類だけだった。

金のふんどし一丁のなかとーは、服が燃えたのでその焦げで咳き込んでいる。

ペグはだるそうな表情を見せた。

「えー、めんどいんだけどーロケランでも死なないとかめんどすぎるんですけどー」

「うるせえ!今度は俺の番だな!?」

なかとーがステッキを構えた瞬間、ペグがすっ飛んできて重い一発を喰らわす。

「ボドゲと違ってターンなんかねーんだよ!!!!!!!」

ズドォォオオオオオン!!!!!

なかとーは地球外まで吹っ飛ばされた。

意識が遠のきそうな中、遠ざかる地球を眺め地球って青いんだなあとしみじみ思う。

そう、オレはユニだしサポテカは面白いし、ナスに油を吸わせたらいいし、広島は関西だし、オレはアイドルだ。

SO!!オレはアイドル!!!!!!!

・番号【8】・文章作者【なかとー】

「神よ、もし、もしも一生に一度だけ俺の願いを叶えてくれると言うのなら、どうか私にゴーダマステッキを分け与えたまえ!」

 拳を握り締め、なかとーこれ以上ない程の念を錬る。生まれてから体内に培われてきた気が錬られ、激しいオーラとなりて全身を包むのが分かる。

もし、この世にスカウターがあるのなら、なかとーの戦闘力は、今、物凄い勢いで上昇しているだろう。それほどの気の充実を感じる。そう、奇跡とは起きるのを待つんじゃない。自らが起こすものなのだ!

「これで良い。もう思い残すことはない。後は燃え尽きるだけ。
今あるのは音楽と、そして私…。だから…俺の歌を聴けーっ!」

(♪〜 ED:ライオン)

「第二章:霧島先輩とオレ」に続く…

To be continued

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