今週の一首10~毎日お題より~

あけましておめでとうございます。。第四次スーパーロボット大戦(スーパーファミコン版)にうつつを抜かしているうちに更新が遅れてしまいました。大変申し訳ありません。ちなみに現在は六周目にとりかかっております。主人公の名前は三周目が「ユージコージ=フクダ」愛称「サイトウクン」。操縦するロボットの名前は「ゴメンネゴメンネー」でした。六周目の現在は主人公名が「アタリ=シメサバ」愛称「ゲロマミレ」。ロボット名は「ワクイエミ」です。なお、和久井映見さんとは何の関係もございません。

北を指すことを忘れたコンパスになりカシスソーダに頬杖ついた / 史

十二月八日のお題「コンパス」に投稿された一首。主体の迷いをまるで八十~九十年代初頭のようなロマンチックな雰囲気で包んだ美しい一首だと思います。この歌の魅力はなんといっても上句の比喩の巧みさ・的確さと下句のエモさのマリアージュでしょう。そのあまりのメロウな切なさと下句での定型での回収により、三句目が七音であることが殆ど気になりません。

前回も言及しましたが、十分な推敲を重ねた上でどうしようもなくなった場合、音律より歌意を優先した方がその歌の本当の良さが出やすい気がします。あくまで個人的には。しかし定型というのは所謂「鎧」なので、定型に収まっている限り最低限の質は保証されます。それはプラスになりこそすれ、マイナスにはなりません。歌人がかならず一度はぶち当たる問題ですが、この鎧を易々と脱ぎ捨てたうえでなお完成度の高い歌を詠まれる方々には本当に敬服するばかりです。
この歌の場合は三句目が七音で字余りですが、下の句がきっちり七七でまとまっているので読み終えた時の異物感が最小限に抑えられていると思います。

北を指すことを忘れたコンパスは役に立ちません。それどころか使用している人間を迷わせることになります。不安定に揺れ続けている針から読みとれるのは主体の気持ちの「置き所のなさ」でしょう。下句も併せて解釈した場合「所在なさ」も入っているような気もします。

そして下句まで読み終えたとき、一気に情景が脳内に広がります。おそらく時刻は夜でしょう。場所は家ではなくホテルのバーなどであるはずです。安易に「夜」「ホテルのバーで」「カウンター」などの言葉を使うことなく情景を想像させる巧みさが素晴らしいと思います。だいぶ前の梅鶏さんの歌の回でも言及しましたが「言わなくてもわかることは言わない」が守られているいい例だと思います。

この歌で思い出したのですがシティポップ界隈にはサブスク解禁されていない名曲がかなりあります。帝王である山下達郎でさえ解禁されていません。いつかクリスマスイブに解禁、とかしてくれないでしょうか。お願いします(お願いします?)。

ちなみに2023年3月1日、和製AORの最高峰に間違いなく数えられる大名盤、間宮貴子唯一のアルバムである「LOVE TRIP」がサブスク解禁されました。たった一枚の大名盤をリリースして忽然と姿を消した間宮貴子。彼女の行方を追うためこれからゴビ砂漠に向かわねばならないので今回はこの辺で、、、

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