里親類型について

里親の種類
里親には対応する児童の特性や、児童との関係、また里親の希望に合わせて4つの種類に分けられている。

里親の種類と要件
「保護者のいない児童、あるいは、保護者に監護させることが不適当であると認められる児童(=「要保護児童」)を養育することを希望する者であって、都道府県知事が適当と認める者」。そのような児童を一時的に、あるいは継続的に自身の家庭にあずかり養育する。

・養育里親
養子縁組を目的とせずに、要保護児童を預かって養育する里親。基本的には、実親の元で暮らすことができるようになるまでとなるが、期間はまちまちで、長い場合は成人になるまで委託を続けるケースもある。数週間や 1 年以内など短期間委託するなど、ニーズに応じた多様な里親委託ができる。施設で育つ子どもたちにとっては、社会に出る前に一般家庭での生活を経験することはとても重要な機会である。
また、将来的に養子縁組に至るケースも見受けられる。この場合、児童が15歳を超えている場合は普通養子縁組になる。
事前に研修を受けてから登録する。またこの登録の有効期間は5年間で、更新研修を受ける必要がある。
また、委託できる児童は4人までで、実子等を含めて6人までとなる。
子どもたちは何らかの形で実親や保護者との関係を継続する場合がある。定期的な面会や外出等の工夫や家族再統合の支援を行うなど、親子関係が永続的なものになるよう配慮することも必要であるので、里親の協力を求める場合もある。

尚、養育里親であっても、長期間委託が続くなどして、手続きを経て普通養子になるケースもある。(児童が15歳未満の場合は特別養子縁組となるが、15歳を超えてから養子になる場合は戸籍にも記載される普通養子となる。ただし、18歳未満について例外が適用される場合がある。)

・専門里親
虐待された児童や非行等の問題を有する児童、及び身体障害児や知的障害時児など、一定の専門的ケアを必要とする児童を養育する里親。実家庭への家庭復帰や家族再統合、自立支援を目的とする。専門里親は、養育里親よりも難しい養育であるので、専門的な研修を受けることが必要。また、児童の養育は丁寧にする必要ですので、養育に専念できる環境が必要。
なお、専門里親は、養育里親の経験が3年以上などの条件があるケースがある。
専門里親に委託できる児童の数は2人までで、委託期間は2年。必要に応じて、委託期間の延長が認められる。専門里親の登録有効期間は2年で、更新には研修を受ける必要がある。
児童相談所では、特に、施設から措置変更で委託する場合は、必要に応じて、施設の指導員等子どもの担当職員やファミリーソーシャルワーカーに委託後の里親への助言や養育相談の支援を依頼するとしている。

・養子縁組里親(養子縁組を前提とする)
保護者のない子どもや家庭での養育が困難で実親が親権を放棄する意思が明確な場合の養子縁組を前提とした里親。児童が15歳未満の場合は特別養子縁組制度により、裁判所の審判により、実子扱いでの入籍が可能。審判は、特別養子縁組を届けた後、6か月間同居しての様子を見たうえで決定されるようになっている。
実親が行方不明になったりで、裁判所の手続きができずに養子縁組に進めないケースも時折ある。
児童相談所では、「養子縁組を希望する里親の場合、子どもとの適合を見るために面会や外出等交流を重ね、里親の家族を含め、新しい家族となることの意志を確認する。 子どもとの面会等に際して、里親の呼び方など子どもへの紹介の方法はそれぞれの状況に応じて対応する。
また、養子里親の年齢は、子どもが成人したときに概ね 65 歳以下となるような年齢が望ましい。子どもの障害や病気は受け止めること、養子縁組の手続き中に保護者の意向が変わることがあることなどの理解を確認する。
養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組があり、特別養子縁組は実親との親子関係が切れ、戸籍上は長男・長女等と記載される。しかし、裁判所での審判決定によることは記載され、実親をたどることはできることを説明する。
また、特別養子縁組の手続きは、養親となる者が居住地の家庭裁判所に申し立てを行い、6 ヶ月以上の養育状況を踏まえ、審判により成立する。6ヶ月の期間は申立時点から起算されるが、申し立てる前に、児童相談所から里親委託され、養育の状況が明らかな場合は、この限りではない。特別養子縁組は、父母による監護が著しく困難又は不適当である等特別の事情がある場合において、子どもの利益のために特に必要があると認められるときに成立するものであり、そのような場合には積極的に活用する。
なお、特別養子縁組の成立には、父母の同意が原則として必要とされるが、父母において子どもの利益を著しく害する事由がある等の場合には、父母の同意がなくても、家庭裁判所は特別養子縁組を成立させることができる(民法 817 条 6 のただし書)。 」としている。

愛知方式
従来の里親委託においては、新生児期に子どもの病気や障害の有無を把握できないことから、概ね1歳から2歳に到るまで、乳児院で養育し、様子を見る事例が多かった。一方、愛知方式では、できるだけ早く永続的な家庭での養育をすることが、子どもの健やかな成長、発達に有効との考えから、新生児の段階で特別養子縁組を結ぶ(この際、性別、病気、障害の有無を問わない厳しい条件がつく)。利点としては、①新生児を育てられない、女性を自責の念から解放する。②新生児の早期の愛着形成。③里親の不妊治療からの解放が挙げられる。
(メモ)
・特別養子縁組里親では、養親の資格として、原則25歳以上と20歳以上の夫婦であることが求められる。
・親族里親以外は研修が必要。
・養育里親には、里親手当9万円/月(一人)
一般生活費月約5万2000円
※特に支援を要する児童は加算あり。

・親族里親
親が死亡、行方不明、拘禁、入院や疾患などで養育できない場合、扶養義務者、又はその配偶者がその子の養育を行う場合の里親。児童の精神的な負担を考慮し、養育里親よりも親族里親が優先されることが多い。
なお、親族里親のうち、叔父叔母など扶養義務のない親族については、養育里親と同様に里親手当が支給される。
なお、① 委託について、「両親等子どもを現に監護している者が死亡、行方不明又は拘禁等の状態になったことにより、これらの者による養育が期待できない場合」には、疾病による入院や精神疾患により養育できない場合なども含まれる。なお、実親がある場合は、実親による養育の可能性を十分に検討する。
② 本来親族は、民法 730 条に「直系血族及び同居の親族は、互いに扶けあうとされている。

このほかに季節里親として、お正月やお盆、夏休みなどに1週間前後、施設から家庭に帰省できない児童を迎える里親や、週末に児童たちを家庭に迎える、週末里親や、短期的に委託を受ける短期里親がある。

・ファミリーホーム
小規模住居型児童養育事業は、家庭的養護を促進するため、要保護児童に対し、この事業を行う住居(ファミリーホーム)において、児童間の相互作用を活かしつつ、児童の自主性を尊重し、基本的な生活習慣を確立するとともに、豊かな人間性及び社会性を養い、児童の自立を支援する。

養育者の住居において行う点で里親と同様であり、児童5~6人の養育を行う点で、里親を大きくした里親型のグループホームである。
(参考 全国里親会(一部修正)、中日新聞)

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