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悪人

ある日、ジョンはATMコーナーでお金を引き出そうとしていた。その時、彼の目に留まったのは、他人の財布が置き忘れられている光景だった。周りには誰もいなかった。彼は一瞬、手に取ろうかどうか迷ったが、誘惑に負けて財布を拾い上げた。

財布を開けると、現金に加えて、クレジットカードや身分証明書が入っていた。ジョンは罪悪感を感じつつも、他人のものを手に入れた興奮で心が高鳴った。彼はその場を離れ、財布を持って自宅に向かった。

帰宅後、ジョンは財布の中身をじっくりと調べた。現金はもちろん、クレジットカードの情報を使ってネットショッピングを楽しむことも考えた。しかし、何かが彼を躊躇させた。財布の持ち主のことが頭から離れなかったのだ。彼はその人がどれほど困っているか、そして自分の行動がどれほど大きな影響を与えるかを考え始めた。

数日後、ジョンは決断を下した。彼は財布を持って再びATMコーナーに行き、周囲を見渡した。もし持ち主がまだそこにいるなら、直接返してあげたいと思った。すると、彼の前にその財布の持ち主である女性が現れた。彼女は不安そうに周囲を見渡していた。

ジョンは心臓が高鳴るのを感じながら、女性に近づき、財布を返すことにした。彼女は驚きと感謝の表情を浮かべ、ジョンは彼女からの感謝の言葉に心が温かくなった。この瞬間、彼は自分の選択が正しかったと感じ、罪悪感が消えていくのを実感した。

この出来事はジョンにとって大きな教訓となった。物を盗むことは一時的な快楽をもたらすかもしれないが、正直でいることが本当の幸せにつながることを学んだのだった。彼はそれ以降、他人の物を尊重し、自分自身もより良い人間になろうと決意した。

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