2024/8/17

昨日の大恐竜展の余韻から、恐竜熱が高まってしまい、録画して塩漬けにしていた「ダーウィンが来た:謎の恐竜王国ゴンドワナ」(2024年4月21日放送)を見ました。

ゴンドワナ大陸とは、ジュラ期〜白亜紀にかけて存在した巨大な大陸で、これが分離して今のアフリカ大陸、南米大陸、南極大陸、インド亜大陸、オーストラリア、マダガスカル島になりました。
ちなみに大陸移動説は、提唱したウェゲナーが「南米大陸の東側とアフリカ大陸の西側ってパズルみたいにピッタリ合うんじゃね?」と思いついたのが始まりだそうです。南米が攻めでアフリカが受け、ってことですね。

(画像は神奈川県立生命の星・地球博物館ホームページより引用)

昨日の大恐竜展にも展示されていたスピノサウルスが生息していたのは、現在のエジプト〜モロッコ、当時のゴンドワナ大陸の一部です。そんなわけで番組にはスピノサウルスも登場してました。
スピノサウルスの権威らしい、イブラヒム先生なる古生物学者が解説していました。最近のスピノサウルスの復元図が、カッチョいい二足歩行のティラノサウルス型から、四足歩行で太い尻尾のずんぐりムックリスタイルに変わってしまったのは、この先生の研究成果によるものだとか。
私は「ジュラシックパークⅢ」に登場したような、スリムでスタイリッシュなスピノサウルスが好きだったので、なんとも複雑な心境です。
イブラヒム先生についてもう少し掘り下げてみました。彼のフルネームはNizar Ibrahim。ドイツ生まれで、現在はイギリスのポーツマス大学で教鞭を取りながら、モロッコでのフィールドワークを続けているようです。

https://www.nizaribrahim.net

業績を見てみたら、2020年にNature誌に論文を発表してました。

(Ibrahim N et al. Tail-propelled aquatic locomotion in a theropod dinosaur. NATURE. 2020)

https://www.nature.com/articles/s41586-020-2190-3

Natureといえば、世界で最も権威ある科学雑誌の一つ。そこに論文を掲載するのは、科学者にとって一生に一度の夢みたいなものです。
ちなみに、Natureは商業誌でもあるので、恐竜とか宇宙とか医学とか、一般ウケしやすい分野の論文は載りやすいという話もあります。地味な魚の研究をしてる友人が嘆いてました。

その論文を読んでみました。
これまでスピノサウルスの尻尾の完全な化石は見つかっていなかったのですが、今回彼のチームがモロッコでほぼ完全な尻尾の化石を発見。上下に神経棘が発達していて、まるで巨大なオールのような形状だったそうです。
そこで、彼らはその尻尾のモデルを作って水中で動かす実験を行い、陸生恐竜や水棲動物の尻尾と比較しました。その結果、スピノサウルスの尻尾は水中において陸生の恐竜の8倍、イモリやワニのような水棲動物にも劣らない程度の推進力を生み出せる事が分かり、スピノサウルスが半水棲であったことを示す強力な証拠が得られたそうです。

(発掘された尻尾の骨と、それを元にした復元図。筋肉のつき方も骨から分かるんですね。)

(尻尾のモデルを作って、水中でパタパタ動かして実験したみたいです。これを見ると、水中で陸生恐竜(コエロフィシス)の8倍の推進力を出せてる事が分かります。)

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