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英国最高勲章と日光金谷ホテル


訪英中の天皇陛下に英国王室から英国最高勲章であるガーター勲章が贈られた、というニュースをみて色めきたったワタクシ。というのも、1906年(明治39)明治天皇にこのガーター勲章を奉呈するために来日した、ヴィクトリア女王の3男・アーサー王子(コノート公)が日光で滞在したのが日光金谷ホテルだった、というご縁があるからです。1873年の創業以来、おそらく初めてのウルトラVIPを迎えることになったホテルの晴れがましい様子を、曽祖父の晩年の著書から引用してみましょう。

ホテルは、全館を挙げて特別の装飾を施し、ロビーには桜を飾り、藤棚を拵え、食堂には富士を中心とした盆景を作って、殿下を歓迎した。

昭和29年「ホテルと共に75年」金谷眞一

ガーター勲章は、今を遡ること14世紀、舞踏会で靴下留めを落とした伯爵夫人が笑われそうになった時、国王がそれを拾って自分の脚につけ、「思い邪なる者に災いあれ」と言って救ったことがきっかけという説もあります。そしてこの勲章は実際にガーターベルトがモチーフなのですね。

中央にはセント・ジョージ・クロス。ザ・イングランド!

金谷ホテルはこのガーターベルト部分と“KANAYA HOTEL“を組み合わせたマークを作り、特製の銀のカトラリーやコーヒーセットなどを制作しました。勲章そのものではなく、あくまでガーターベルトのデザインを拝借したのでしょうが、畏れ多いところに名前を入れたものです。

銀のコーヒーポット

コノート公は日本にはその後1918年にも大正天皇へのガーター勲章奉呈の際にも再び金谷ホテルにお越しになりました。1929年の昭和天皇への奉呈の際にはジョージ5世王の3男・グロスター公が来日し、同じく金谷ホテルにご宿泊。その頃までこの銀器は使われていたようです。その後このマークはホテルの食器やグッズなどにも使われ、英国王室をお迎えした歴史と名誉を長く伝えてきました。金谷ホテルにお越しの際にはぜひ探してみてください。

天皇皇后両陛下をはじめ皇室が利用されるロンドンのホテル、クラリッジズにも、皇室ご滞在にまつわるエピソードがあるのでしょうか。いつかゆかりのお品など紹介されたらいいですね。

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