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神とよばれしアルセウス 感想

〇概要

新無印特別編 「神とよばれしアルセウス」についての感想です。丁寧な話運びが印象的な一方、ギンガ団の扱いなど少し残念な部分もありました。

〇第一話・第二話

尺的にもスケール的にもスモール劇場版という感じです。流石にTVシリーズより余裕があるのか無理なく丁寧な話運びをしている印象。展開としては概ね予想通りですが、ヒスイ要素はかなり控えめです。

あとファンサービス的な演出が目立ちました。ネタバレは避けますがDPファンは間違いなく見たほうがいいですね。個人的にはEDの原画流すのは今すぐに現行のTVシリーズでも取り入れてほしいところです。

また、ファンサービス要素としてタケシ再登場はやっぱり嬉しい!ラッキーがハピナスに進化してグレッグルが未進化なのは見事な演出。ポケモンドクター見習い(研修医)の立場から一歩進んでいた印象です。今後本編に出演する時はきっと一人前のドクターになっているでしょう。

そして新無印恒例のゴウとサトシの男性同行者の顔合わせ気まずい問題をタケシの度量の広さではなく、ゴウ側の努力・成長によって解決していたのがかなり好印象。カキもシゲルもゴウを試す立場に立ってゴウの未熟さを演出していましたが、今回誰も損することなくスムーズに顔合わせできたのがverygood!

次にギンガ団について。今回の彼らの立ち位置は悪役であると同時に主人公でもあります。アカギにもう一度会いたいという執念にはヒロイックな香りすらします。
DPでのアカギ消失はアニオリ展開ということもあって、このような特別編で補完されるのはうれしいですね。願わくば彼らも救われてほしい。

〇第三話・第四話

まず全体的な話の作りは新無印のリサーチフェロー型のフォーマットに則っていました。舞台設定・背景はDPを土台としながらも、リサーチフェローおなじみ課題解決型のお話。アルセウスは課題の主役ではなく、ファシリテーターの役割があてられていました。

ストーリーラインは暴走したヒードランの救出を中心に展開するわかりやすいものです。ギンガ団の思惑とサトシ達の正義は表面上は対立していましたが、根本的なところでは交わることはありませんでした。ギンガ団幹部にも救いがほしいと個人的に思っていたのでこの点は少し物足りなく感じました。

しかし、今作の評価点はそこではありません。たっぷりの尺・アマプラ限定というニッチなファン層の需要を十全に満たすための細やかな演出が光っていました。新無印は過去要素の回収などのファンサービスが多いのが特徴ですが、今作の演出は特に丁寧です。

具体的にはゲストキャラのタケシ・ヒカリ・シロナの扱いが丁寧かつ、情報量が多い演出でした。特にタケシは脱衣サービスだけでなく、手持ちのピンプクをハピナスまで進化させた上にしっかりバトルでも活躍させていました(メガハガネールの登場がないのが残念でしたが)。

シロナも歴史資料にはしゃぐ姿を見せたり、原作の手持ちでありながら未登場だったロズレイドを活躍させたのは満足度が高い演出です。
ヒカリは前回のスペシャルでできなかったサトシとのハイタッチもしていて期待に応えたと思います(ゴウとハイタッチしなかったのは意図的なものでしょうか)。

ただ、ゲストキャラの扱いがよかった反面メインのサトシとゴウが若干記号的な描写に留まっていたのは残念ポイントです。

ゴウは「タケシさんすげー」「サトシがまたひらめいたんだ!」のような定型のリアクション役で、普段の現象の分析・解析はタケシ・シロナに取られてしまっていた印象です。

サトシも話を進める都合上、無理に賢くされてしまっていてヒードラン救出の際は特に伏線等もなくシンプルに解決案を提案する役割をこなしていました。先ほども述べましたが、ギンガ団のそもそもの目的と直接対峙しなかったためストーリーが薄いものになっていたように思います。

総括するとファンサービスとしての細やかな演出が光るが、ストーリーは薄味というのが全体的な感想です。ギンガ団幹部のアカギにまた会いたいという気持ちはSMのレヒレ回でのマオらに通じる純粋なものであったはずなので、そこに寄り添えるストーリーだともっと面白かったのではないかなと思います。



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