【オリジナル『終末の獣と魔法使い』】ヴォルフ


注意:この世界は人間が終わっとるので、設定が激重です。重いの苦手だな~という方はここから下読まないほうがいいかと…。このキャラクターは元々狼でしたが、悪い人間に改造されてこの姿になりました。この世界はそういうどうぶつが多いです。

ヴォルフ

身長:169㎝

誕生日:11月5日(正確な誕生日は判らないのでおおかみ座から。この日付の誕生星がおおかみ座であり、星言葉は「損得勘定抜きの温厚さ」。誰にでも公平に接する、差別などの問題の撤廃のために尽力する、人道的な精神を発揮するという傾向がある)

人間によって飼われ捨てられた狼は、とある団体に保護されたが、その団体は表向きは捨てられた命を保護する団体として存在していたが、実際は命の売買をする団体であり、狼…彼は狂った研究をする人間へ売られ、蛇の血を混ぜられ、人間に近い体に改造されてしまった。彼のように人間に近い体に改造されるどうぶつはこの世界では多く、問題となっている。そして、彼には更なる悲劇が待っていた。オスでありながらメスでもある……妊娠できる体に改造されたのだ。自身を改造した人間に犯され妊娠。しかし、無茶な改造での妊娠が成功するなど当然のことながらなく、死んでしまうのではないかと思うほどの激痛のすえ産んだのは異形。その異形は、命だったものなのか、そもそも命もなかったのか…。彼は産んだ異形を命だったものとし、動かぬ子を抱いた。失敗作として異形とともに捨てられた彼は、町を徘徊する中で何度も犯される。人間に捨てられたどうぶつ・人間に改造されたどうぶつ・親に虐待されている子・親に捨てられた子を保護しサポートする組織【ライフ】に保護された時には動かぬ10匹の子…異形を抱いていた。現在はその【ライフ】の代表を務める。改造の影響か、100年以上生きている。「俺は誰でも助けるほど仏ではない。SNSで見かけたのだが……今流行りの作品のとあるキャラクターを誹謗中傷している者達がいた。二次創作が原因のようだが…。そのキャラクターの絵を破きハサミを突き立てていた。よほど仲間を欲しているのだろう。票を募り、タグとやらもたくさん付けていた。ユーザー名がもはやそのキャラクターへの誹謗中傷となっている者もいた。吐き気がするほど穢い言葉だったよ、その者達の言葉は。もしもその者達が困っています助けてくださいと言ってきても、それは対象がキャラクターであれ平気でそういうことをしている報いだと言えるが…………君はどうする? 助けるか?」 ────俺を救ってくれたあの人から【ライフ】の代表を継いで数年が経った頃…。俺を改造した者のような人間や命の売買をする人間など裏世界の人間からは、【ライフ】の活動は嫌悪され、その代表である俺は、オスでありながら妊娠できるという稀有な存在なこともあり、よく襲われた。襲われるたびに重傷を負った。妊娠することもあった。その日もだった。【ライフ】の事務所から自宅への帰路、鉄パイプや金属バットを持った10人の男に襲われた。男達の鉄パイプや金属バットは、容赦なく俺の全身の骨を砕き内臓も損傷させた。男達が去る頃には俺は血だらけだった。そこに警官が2人通りかかった。声を出せない俺は、かろうじて動かせた右手を警官のほうへ伸ばし、助けを求めたが……。「こいつ見たことあると思ったら【ライフ】の代表じゃん」「ああ、何年か前だっけ? 新しい代表だよな。男なのに妊娠できちゃうw」「気持ち悪りぃw」助けてもらえない絶望を、俺は知っている。だから…。町で助けを求める者に出会ったら、手を差し伸べた。それが罠で、助けようとした者に銃で腹を撃ち抜かれても──── 彼の誕生日は彼を保護した【ライフ】前代表が決めたもので、星言葉や傾向が彼そのものだったから。優しすぎて、【ライフ】アンチの罠に掛かり、重傷を負うほど。さすがに現在はしっかり警戒するようになったが。そんな彼でも助けない者がいる。例えば…いじめ…ハラスメント…誹謗中傷…虐待…DV…ストーカー…あおり運転…古往今来悪しき言動をしていた者は助けない。助けを求めるほど困っていても、それはその者の行いの報いと言えるから。悪いことをした報いはしっかり受けるべきだと彼は考える。本来、彼はそんな人間でさえも助ける心を持っているが、【ライフ】の代表を継ぐにあたり、【ライフ】がそんな人間を救った結果どうなったかを資料室のノートや前代表の話で知り、その結果は【ライフ】の罪であると言う前代表の言葉を肝に銘じた。彼が【ライフ】の代表を継ぐため、本格的に【ライフ】の活動に取り組み始めた頃には、【ライフ】は悪行の報いを受ける者は助けないスタンスをとっており、自身の悪行を理解せず反省もしない者は当然ながら【ライフ】を恨み【ライフ】の活動を妨害した。本来助ける…救うという行為にその対象を選ぶという行為は在ってはならないものだろう。だから恨まれ妨害されるのは報いだ。そう理解しながらも、前代表はスタンスを貫き、あらゆる妨害をはね除け、救うべき者を救い続けた。前代表は、彼が代表になれば、オスでありながらメスでもあるというその存在の稀有さから、恨みや妨害の矛先が全て彼へと向かうと危惧し、彼が代表になること…【ライフ】の活動に関わることさえも反対だったが、彼はそれも覚悟のうえで代表になることを選んだ。実際、前代表が危惧していた通りになったが、矛先が彼“だけ”に向いたことで、彼1人が盾になっている状況ではあるものの、彼が負傷してもすぐに指揮を執れるまで回復するうえに彼が指揮を執れない間代わりに指揮を執れる者がいるため、彼が代表を継ぐ前の妨害と比べるとそこまでの妨害にはなっていない。現在は、彼に助けないと判断された者は、ある組織に任される。その組織の名は【エンテラル】。誰でもいいから殺したかった…死刑になりたいから殺した…誰かを殺すための練習で…そんな狂人による被害を無くすために創設された組織。世界の闇を担う組織。「【エンテラル】は、ダムを建設するはずが計画が頓挫してしまった土地を買い、“刑務所よりも残酷な場所”を創った。そこはとてつもなく高い壁で囲われている。噂では壁は地下深くまでもあるらしい。中には何も無い。病院も。生活に必要な施設全て無い。家さえもな。そこで子が産まれぬよう、男女で分けられている。個人で分けられているという話もある。もちろん、とてつもなく高い壁で…な。看守のような者はそこには居ない。【エンテラル】にそこが相応しいと判断された者だけがそこに居る。“刑務所よりも残酷な場所”だから、警察も【エンテラル】を頼って、犯罪者をそこに入れているらしい。警備? 脱出は不可能だそうだが、万が一に備えて、周囲には【エンテラル】独自の警備システムがあると聞いたな。…【エンテラル】も、俺も、非人道的だと解っている。しかし、狂った人間の狂いが直ると信じ支援した結果、狂った人間の凶行で多くの命が奪われ多くの人が傷ついた。更生を信じた結果、多くの者が同じ罪を繰り返した。『あいつが笑って幸せに生きていくなんて絶対に赦さない』という被害者遺族の言葉も、【エンテラル】がこの方法を選んだ理由の一つだ」命は平等。死んでいい人なんていない。そんなのは綺麗事。死んでいい人はいくらでもいる。殺してはいけないのはそんな者のために人生を無駄にしてはもったいないから。そんな者のことを、ゴミ、クズ、クソ、と呼称するが、ゴミはリサイクルできる、クズだって使える、クソは肥料になる。ならば人間の場合は? ただ害を為すだけの存在に、命を奪われる人が、傷つけられる人が、復讐のため己が人生を捨てる人が、在ってはならない。救われるべき人が救われるように活動する。それが【エンテラル】。“刑務所よりも残酷な場所”は【エンテラル】が与える罰の中で最も重いものである。【エンテラル】が創設して様々な変革があった。【エンテラル】はどんな嘘も見破り嘘の情報を流した者や拡散させた者へ相応の罰を与える。それによりフェイクニュースや週刊誌は無くなり、人々の情報に対する意識は変わった。芸能界にも変化があり、結婚を勝手に報じられるなどメディアによるプライベートへの干渉は無くなり、好きなタイミングで結婚を発表することが普通となった。熱愛報道や不倫報道が無くなったことをいいことに派手に女遊びや男遊びをする芸能人も出てきたが、しっかり【エンテラル】が対処する。基本的に炎上はしないので、わざと炎上して有名になろうなどという魂胆は無意味である。ファンによる迷惑行為も【エンテラル】が対処する。【エンテラル】はどんな権力にも屈しない。芸能人であれ警察であれ政治家であれ容赦なく相応の罰を与える。そして【エンテラル】にとって、罪に年齢は関係ない。どんなに小さな子供だろうが容赦なく相応の罰を与える。【エンテラル】の活動により、彼が襲われることも少なくなった。彼専属のボディーガードがついたことも襲われることが少なくなった要因である。彼自身の戦闘能力について、自身と体格に差がない数人相手ならば抵抗できるが、襲われる時は毎回集団相手か1人でもかなり大柄な人間が相手だったため、重傷を負っていた。刺される殴られる(撲られる)はよくある襲撃。待ち伏せしていた20人に全身を銃で撃ち抜かれたこともあれば、大柄な男に両腕で抱きしめられ全身の骨を折り砕かれたこともある。襲撃の中で最も酷かったのは、10人ぐらいの男達に撲られるなどされ気絶、そのまま拉致され、気がつけば地下室と思われる場所で拘束され1000人以上の男達に囲まれ、拘束により抵抗も防御も何もできない状態で殴られ蹴られ、さらに全裸にされ、鞭で打たれ、性的暴行は卵管が破裂し出血多量になってもなお続き、救助された時には拉致され1週間経過、数ヶ月意識不明となった。彼は自身のせいで誰かが傷つくことを嫌いさらに自身の耐久力と回復力の高さを解っていたためボディーガードを断っていたが、専属ボディーガード立候補者の押しに負けたため、専属のボディーガードがつくことになった。なお、真実をしっかり報じるメディアはちゃんと残っており、更生のシステムも在る。ちなみにだがパパラッチも無くなった。彼の服装は【ライフ】の前代表が彼を保護した時に寒いだろうと着せた服がベースになっている。前代表が自宅のクローゼットから出した服なのだが、彼よりも前代表は身長が大きかったため、彼にはちょっとサイズが大きかったが、それが気に入った。助けてくれただけではなく寒さを気遣い急いで自宅に戻ってまで服をくれたのが嬉しかった。肌の露出は改造されたどうぶつ特有の習性で、元々どうぶつなのできっちり着るのが苦手らしい。しかし、隠すべきところは露出しようとは思わずちゃんと隠す。【ライフ】は改造されたどうぶつ向けにオーダーメイドで服を作っており、彼も作ってもらっている。野菜も食べるし、美味しいと思っているが、元々狼なのでやはり肉が好き。しかし、改造されたどうぶつの中には狼にとって捕食対象であるどうぶつもいる。そんなどうぶつと仲良くなったこと、【ライフ】の活動で捕食対象であるどうぶつを世話することで、彼は精神的に肉を食べづらくなった。同じように食について悩む改造されたどうぶつは多かった。さらに問題なのが、人間も改造されたどうぶつと交流することで肉を食べづらくなり、その結果肉が売れず、畜産農家は生活に困り、【ライフ】に家畜を託し、畜産農家を辞めたこと。残念ながら、元々畜産農家に飼育されていたであろうどうぶつを【ライフ】が保護することもあった。これらの問題を解決すべく、彼は培養肉の開発に尽力した。畜産農家から託されたどうぶつたちの細胞から培養肉を開発すること18年。【ライフ】は培養肉の開発に成功。【ライフ】の培養肉は普及した。培養肉のために細胞を提供するという型で畜産農家という職も復活した。改造されたどうぶつは、姿は人に似ているが人でもなく、元々はどうぶつなのでどうぶつなのだが、姿が人であるため、どうぶつとしては生きられない。人の暮らしをするしかない。だが、各国の法整備の遅れ・偏見・差別などにより、戸籍は無く、働くことも、住むことも、【ライフ】という組織がなければ生活ができない。そんな世界を彼は50年以上かけて変え、彼の尽力により、改造されたどうぶつは、ティアゾオンという種としての呼称を得て、今では生活できるようになっている。

・人間の世界で驚いたこと…「肌の色が違うだけで同じ人間であるのに差別することには不思議に思ったが…俺達(どうぶつ)も差別やいじめをすることがあるな…。俺は野生ではなかったし、一匹だったから、そのような経験はないが…」
・人間の世界で驚いたこと②…人間は残酷な食べ方をするんだなと思ったことがある。
・人間の世界で驚いたこと③…「家がゴミ屋敷になることは良くないが、思い出がある物を無理に捨てさせる片づけ方はどうかと思う。この骨型おもちゃを捨てろと言われたら、俺は悲しい。遠い昔に【ライフ】のみんなから貰った誕生日プレゼントだからな。今までみんなから貰った物は全て家に置いてある」
・今まで貰ったプレゼントの中からどれか一つを【ライフ】事務所に持ってくるのがヴォルフの習慣。持ってくる物は日替わり。(あ、今日はネックレス着けてる。骨型だ)(今日はブレスレット着けてるな。骨型だ)(あ、狼の絵柄のボールペンだ~!! 可愛い…!!)(万年筆か。あ、名前が入ってる。大人っぽいのもアリだな…)【ライフ】職員にとって、この習慣は、楽しみでもあり、癒しでもあり、贈るプレゼントの参考でもある。ヴォルフは、ただ精神が落ち着くので持ってきているだけなので、職員にとっていろいろとプラスになっていることは知らない。
・ヴォルフは【ライフ】の5代目代表。代表歴は歴代代表の中でも群を抜いて長い。
・人間に捨てられたどうぶつ・人間に改造されたどうぶつ・親に虐待されている子・親に捨てられた子を保護しサポートするのが【ライフ】の主な活動だが、ヴォルフを含め歴代代表が困っている者を放っておけない質なので、いじめ被害者の心のケアなど、様々な支援活動をしている。戦争時には戦地で犠牲を出さずに多くの命を救った。災害時にも当然支援活動をする(そんな質のヴォルフが助けない選択をする者はよっぽどのヤバい奴である)
・【ライフ】は世界公認組織。
・将来凶行しそうな奴はする前に…という感じで芽を摘んでいるので、【エンテラル】は正義か悪かと言われたら正義ではない。悪をシバく悪。(世界公認組織)
・ヴォルフも助けない選択をすることがあるので100%の正義ではないが悪でもない。(ヤバい奴を助けていたら罪のない人が最悪死ぬことになる)
・人間の世界で戸惑ったこと…(元々狼なので大抵のことには戸惑ったが)流行語や若者言葉。
・ティアゾオンが【エンテラル】に処されたことは一度もない。もちろん【エンテラル】がティアゾオンを特別扱いしているわけではなく、ティアゾオンも対象に含まれている。獣(けだもの)なのは人間なのかもしれない。
・ヴォルフの身長について…狼だった頃もそこまで良い環境ではなかったのと、改造の影響、マッド研究者のところに居た頃も町を徘徊していた頃も当然良い環境ではなかったので、ちょっと小柄。
・ヴォルフの見た目について…顔立ちはマッド研究者の趣味。オッドアイに関しては、蛇の血を混ぜたら偶然なった。
・ヴォルフの妊娠が成功していたら…一生マッド研究者に犯されていた可能性が高い。産まれた子はマッド研究者の実験台にされていただろう。
・卵管破裂に関して…とあるドラマ(サスペンス)で、政治家の不倫相手の女性が(おそらくイチャイチャしていて)卵管が破裂してしまい出血多量で死んでしまうのだが、「サラ~と言ったけどエグい死因だなぁ…。しかも不倫の末に…嫌な死に方過ぎる…」と思ったのが、発想のきっかけ。
・【エンテラル】の辺りの設定はかなり悩んだ。没にすることも考えたが、チラリと見たニュース番組をきっかけに、この設定は入れようと決意。
・ティアゾオンがいる世界では培養肉普及してたほうがいいよなと判断した。「肉が売れず~畜産農家という職も復活した」は養殖も含む。皮革は寿命などで亡くなってしまったどうぶつが基本。
・この世界では、いじめやハラスメントや誹謗中傷による自殺は殺人と同等、という認識。【ライフ】や【エンテラル】の活動によりそうなった。悪役を演じたとか本人は何も悪くないのに誹謗中傷されても、【ライフ】が救い、【エンテラル】が誹謗中傷した奴を処す。いじめの被害者がいじめの加害者への復讐でいじめることも、まず【ライフ】が被害者を闇堕ちする前に救うので無い。もちろん加害者は【エンテラル】に処される。
・この世界では、この人やこの作品を好きってなってる自分が結局好きだから自分勝手な言動をする者をファンと呼称する。そうなってしまった。
・この世界では、少年法が無くなったので、未成年でも名前や顔が公表されるし、罪に相応しい刑が科せられる。18歳未満でも死刑が相応しければ死刑。年齢関係なく死刑になると【エンテラル】の“刑務所よりも残酷な場所”行き。少年法が廃止になると犯罪を起こしていないがその恐れがある少年を補導することができなくなってしまうという問題があったが、【エンテラル】が創設されたことにより、その問題は解決された。年齢関係なく犯罪を起こしていないがその恐れがある者は【エンテラル】が対処するので。0歳~13歳は刑事責任年齢に達していないため刑罰は受けなかったが、受けるようになっている。更生のシステムが適応されるケースは稀。精神状態・責任能力を判断するための鑑定の一つである精神鑑定も、逃げ道にならないよう厳しくなっている。精神疾患だろうが認知症だろうが罪に相応しい刑が科せられる。催眠術を使った犯罪に対応するためにこの鑑定が残されている。
・悲劇を未然に防ぐ。【ライフ】も【エンテラル】もそんな世界にすることが目標。【ライフ】が救い、【エンテラル】が排除する。救うだけでは駄目だった。悲劇を未然に防ぐ世界になったかを%で表すと90%くらい。
・この世界において罰は地位も職も年齢も性別も国も関係なく平等に下る。【エンテラル】によって。
・【ライフ】の敷地内には、ヴォルフが今まで産んだ子の墓がある。

古いノートを見つけた。【ライフ】の活動日誌のようだ。読んでみると、これは、【ライフ】が“魔法”によって苦しい・悲しい・痛い・つらい・死にたい・怒り・殺意・快楽などの様々な感情を感知し状況を把握することで救うべき人を救う、今では当たり前のこのシステムが導入された頃、そして、【エンテラル】が創設されて間もない頃に書かれたもののようだ。書いた人が個人的に書いていたもののようだが、これだけ昔のノートが読めるほど綺麗に残っているのは、この資料室の本棚にあったからだろう。誰がここに置いたのかを想像しながら読み進める。「保育園で恐怖の感情を感知。保育士が園児にカッターの刃を出し脅している状況と把握したため、警察に通報するとともに、ヴォルフさんと職員10名が魔法で保育園へ向かう。エンテラルの人達も保育園に来ていた。エンテラルにも似たようなシステムがあって、“お札を使う術”だとか。エンテラルと正式に合同で動くのは初めてだ。調査の結果、園児にカッターの刃を向けていたのは指導だったと保育士が答える。そして、ライフやエンテラルがシステムを導入する前から、保育士5人による園児への虐待があったことが判った。園児を宙吊りにする、寝た園児に『ご臨終』と言う、容姿をバカにする、倉庫に閉じ込める、泣いている園児を携帯電話で撮影、撮影した写真に不適切なコメントを記しグループに配信……といった虐待行為を確認。はぁ…書いていて気分が悪い…。園長もこれを隠蔽していた。マジでなんなん…。調査中、エンテラルの人達と話すことがあったけど、ふつーに優しい人達だった。友達になりたいレベルで、連絡先交換したかったけど、『俺らとこうやって仲よくするのは、今みたいに合同で動く時だけにしろ。俺らは所詮人殺しだ。今までシバいてきた奴にも、あそこで青ざめてる保育士どもにも、あんな奴らにも家族はいるんだ。そんな家族から俺らは奪ってんだ。家族を。だからこそ、家族には、何でその罰を下すのかってのを、しっかり説明してるがな…。てめぇんとこのトップにも言っとけよ。耳にタコができるくらいにな』って言われた。ちゃんとヴォルフさんにも言っといた。『解った』と言って笑ったヴォルフさんの顔は、少し寂しそうだった。園児を虐待していた保育士5人は警察に逮捕されたのちエンテラルへ送られ、虐待を隠蔽していた園長もエンテラルへ送られた。そして、エンテラルから発表があった。『反応がおもしろいからなどという理由でこのような行為をする者は、たとえ永久に保育の世界から追放したとて、他の職でも同じことをする。いじめと同じだ。保育士という職の大変さを考慮しても、5人の行為は赦されるものではない。よって、5人を“刑務所よりも残酷な場所”へ送る。この5人の行為を知りながら、保身のために隠蔽した園長も同罪だ。よって、同じ罰を下す』やり過ぎだという声もあるけど、俺は…保育園に駆けつけた時に見た園児たちの顔を思い出すと…相応しい罰だと思う。保育園がなくなると保護者の皆さんが困るので、俺達ライフは、建物はそのまま利用しつつ、子どもたちの精神面を考えて外装と内装を変え、新しい保育園ができるまで、臨時の保育園をすることになった」…あまりの重さに読む視線がここで止まる。「おや? 君も必要な資料が────!! それは…」聞き慣れた声に顔を上げると、ヴォルフさんが資料室に入ってきていた。ヴォルフさんの視線は自分が持っているノートに向けられており、見ただけで何のノートか解ったようだった。「大丈夫か?」「…ちょっと…気持ちが重くなりましたけど……大丈夫です。ここに書いてある場所って今でもライフの保育園ですよね?」「ああ。臨時では済まなかったということだ」と苦笑するヴォルフさん。「…今でも守ってるんですね。その…エンテラルとの関係と言うか…エンテラルの人達との約束」フッと笑ってヴォルフさんは短く「ああ」と答えた。本当は今でも寂しいんだろうなぁと思いながら、ノートについて話しつつ、ヴォルフさんが探しにきた資料を一緒に探すのだった。