生コン測定の謎:え?このハイテク時代にまだスランプ試験で消耗してるの?

えぇ、何かをパクりました(笑)
 
はい、24本目の投稿です。よろしくお願いします!

私の本業は品質管理です。土木工事、建築工事で使用する現地の土などを採取・試験をしたり、現場で測定・調査・分析したりしています。

今日は、その中の「測定」についてお話しします。

以前は生コンクリート事業部にいたので、そちらの品質管理を担当していました。一応「コンクリート主任技士」持ってます!(鼻高々)

でも、未だに疑問に思うことがあるんです。
これだけテクノロジーが発展しているのに、なぜ生コンクリート(以下「生コン」にします)の受入検査が手動なのか...不思議でしょうがないんですよね。まず、生コンについて簡単に説明しますね。

生コンクリートとは、工場で練り混ぜられた、まだ固まっていない柔らかい状態のコンクリートのことです。

主な原材料は「セメント」「骨材(砂や砂利など)」「水」「混和剤」。
固まる前の軟らかい状態なので、自由な形に成形できます。
種類は「強度」「柔らかさ」「骨材の大きさ」で分けられます。

この3項目は数値化されており、
「強度」は決められた型枠に成形されたコンクリートを圧縮(曲げる場合もあります)破壊し、破壊した時の値で決められます。

「柔らかさ」の数値化は後ほど説明します。

「骨材の大きさ」その生コンに入っている骨材の一番大きい値(mm)になります。

ざっくりですが、こんな感じです。
 
今回は「柔らかさ」について話します。

ラーメン屋さんでも麺の硬さを「粉落とし」「はりがね」「バリカタ」「ふつう」「柔らかめ」と分けていますよね。
おそらく茹で時間で数値管理されてるのかな?

生コンでも、この柔らかさを数値化しているんです。「スランプ試験」という試験方法で数値化します。
 
ここからは、同業専門職の方が読まないことを祈りつつ、どういったことを試験するのかを説明します。

本来は専用の器具があるのですが、同じカタチのイメージとして、工事現場でよく見る「コーン」ってありますよね?
これの上1/3をカットした容器に生コンを満タン入れます。

あくまでイメージです。

天端を平らにして、コーンをまっすぐ上にスッと抜きます。

生コンが硬ければあまり形は変わらず、柔らかければ「はぐれメタル」のような形になります。

この「コーンの頂点から何センチ下がった生コンになったか?」の数字が柔らかさの指標になるんです。硬いほど数字が小さく、軟らかいほど数字が大きくなります。

途中の本来すべき作業工程はカットしてます。詳しく知りたい方は、「生コン スランプ試験」と検索すればYoutubeに載ってるので是非御覧ください。

ここで問題なのが、コーン(実際は「スランプコーン」)を抜く作業。

JISの規格書にはこう書いています。

『スランプコーンを静かに鉛直に連続して引き上げる。スランプコーンを引き上げる時間は,高さ300mmで2秒〜3秒とする。』

引用元:https://kikakurui.com/a1/A1101-2020-01.html

 2〜3秒...あいまいですよね。慣れていない人だと、抜き始めに早く上げちゃって、残り半分をスローにあげちゃったり、まっすぐ上じゃなく斜めにあげちゃったり。

こういったバラツキがあるから機械化すればいいのにって思うんです。

でも、敢えてしない理由も、なんとなくわかっています。現場で受入試験をして不合格だった場合、その生コンは使用できません。
1車分「お持ち帰り」になると、4m^3(4立方メートル)積載で約8万円の損失になるんです。

機械化してより正確に測定するのがいいのか、現場の方に忖度して人による測定がいいのか。

試験器具も中途半端な重さなので、安易に運んで腰を痛めやすいんですよね。もっと簡単・軽量でシャッと測定できる改善をしてほしいものです。

まとめ
生コンの柔らかさ測定、通称「スランプ試験」。一見アナログで時代遅れに見えるこの方法、実は現場の実情と深く結びついているのではないでしょうか。

正確さと現場の柔軟性のバランス、そして作業者の安全性。これらを考慮した新しい測定方法が生まれる日は来るのでしょうか?

私はもうこの仕事に携わらないので、正直どっちでもいいんですけどね(笑)。

みなさんの仕事にも、「なんでこんなやり方してるんだろう?」ってことありませんか?そんな疑問が、イノベーションの種になるかもしれませんよ。

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