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羽生結弦選手単独東京ドーム公演「GIFT」感想⑦【僕のこと~春よ、来い】

僕のこと

エンディングロールに流れたのは、「僕のこと」。
羽生選手のShare Practiceで流れていた曲だったので、すぐに分かりました。
歌詞がじんわりと心に染みわたる曲ですよね。

最近では栄養補助食品のCMでも使われていたはずなので、その印象も強い曲です。
そのCMでは、受験生が勉強を頑張って合格するまでのミニドラマみたいな内容でした。
コツコツと努力を続けている人を照らす光のような曲です。

GIFTのスタッフの名前と共に、名曲「僕のこと」にのせてたくさんのジャンプを決めていく羽生選手の映像が流れます。

ずっと見ていて、「あれ?」と思いました。

あれ?
曲長いのに、編集無しのフルコーラス滑りきってる?
4回転ジャンプの数…多くない?

会場にいた時は正確に時間が測りようもなかったけど、それでも体感として感じていました。
これは競技フリープログラムの4分より長いぞと。
なのにこの綺麗に決めてる4回転ジャンプの回数はなに?
めちゃくちゃ難しいことやってる!

公式YouTubeチャンネルで構成を書いてくださってます。
4回転3種5本
トリプルアクセル2回
コンビネーションジャンプ3種(うち2種は4回転含む)
演技は6分近く

…すごくないですか?
詳しいことは分からないんですが、競技用のプログラムと言っても遜色無い内容なのでは?

私はただその演技の長さとジャンプの本数、クオリティの高さに圧倒されたのでした。

Share Practiceとプロローグで見せつけた、「今が一番上手い羽生結弦」をまた証明してくれたと思いました。
GIFT1部終わりのロンカプを見た時も思ったけど…

競技から離れても、このレベルを維持できる。
いやそれ以上のレベルを目指している。
羽生選手の飽くなき向上心が強く伝わってきたエンディングロールでした。

ボアブルゾンでご挨拶

公式グッズ「ボアブルゾン」。
このGIFT公演で売り上げを伸ばしたグッズの上位に間違いなく入ると思います。
実際、ドーム周辺は白いボアブルゾン姿の人で溢れていました。
私は購入を見送りましたが、本当は着たかったなと内心思っていたグッズです。

過去にもFaOIのTシャツやプロローグのパーカーなんかもよく売れていたと思います。

これはひとえに、「推しとお揃いのものを着たい」というファン心理から来るものですよね。

最近のニュースで、野球の大谷選手のユニフォームが爆売れしていると見ました。
野球界隈であっても、スケート界隈であっても、考えることは皆一緒だなぁと思ったものです。

そしてファン皆の願いは、「実際にグッズを身に着けている推しが見たい」です。

エンディングロールが終わった後、ブカブカのボアブルゾン姿で現れた羽生選手を見て、

ああ、ちゃーんとこの方は観客のニーズを分かってる。
痒いところまで手が届くなぁ。
今同じボアブルゾン着て見ている観客は大喜びだろうなぁ。

と思いました。
もちろん着ていない私だって大喜びです。
ボアブルゾン着て、動いて、話している羽生選手の姿を見られたのですから。

先程まで物語が紡がれ、その物語の住人としてプログラムを演じていた羽生選手が、マイクを持ち話し始めると、急に「生身の羽生選手」が本当にそこにいるんだなぁと実感がわく思いでした。

素の話し方がゆっくりで、優しくて、聞いていて落ち着きます。

いつものようにアイスショーに関わった全ての方々にお礼を述べていく誠実な羽生選手。

音楽監督の武部さんを紹介した後に、武部さんがサプライズで羽生選手の紹介をした時の照れたような反応が可愛かったです。
「台本にこんなことなかったじゃないですか、ハハハッ」って。

ボアブルゾン姿で恥じらうプロアスリート…

文字にするとなんのこっちゃという感じですが、
ファンは大喜びなので何も問題ないです。

会場皆でMIKIKO先生や設営の方々、大勢のスタッフさん達に心を込めて拍手した場面も、忘れられないです。
本当に、こんなに素敵な贈り物をありがとうございます、という思いで、手が痛くなるほどたくさん拍手をしました。

羽生選手がいったん退場し、武部さんから
「彼の努力、演技から僕らも勇気を貰って。きっと皆さんもそうでしょうけど。すごく力を貰いました」
と語っていたのがすごくジーンときて、涙が出そうになりました。

そして、武部さんがこの日のために作曲してくださった「GIFT」という曲が披露されました。

武部さんの「GIFT」

現地で聴いていた時の印象は、
「あたたかい」
「優しい」
「陽だまりのよう」
「希望が見える」
「癒される」

です。
NHKの朝ドラのメインテーマのような。
一日の始まり、
もしくは一日疲れて帰ってきた後に聴くのにふさわしい曲だな、と思いました。

メロデイが絶妙に繋がれて、「春よ、来い」に曲が切り替わります。
その音楽の流れがとても素敵でした。

「春よ来い」もたしか朝ドラの曲でした。
武部さんの「GIFT」に繋がるにこんなに相性の良い曲もないかもしれませんね。


次に、これまた羽生ファンには大人気の曲のイントロが流れだしました。
と同時に、照明がピンク色に染まり、
リンク中央に出てきた「春ちゃん」を照らすのでした。


春よ、来い


プロローグで使われていた時と同じプロジェクションマッピングが使われているのに気が付きました。

このドームで初めて見た方もきっと多かったと思います。
たくさんの桜の花がリンクの中で舞っていて、その中で滑る「春ちゃん」はとても美しかったです。

照明がずっとピンク色だったのが、この「春よ、来い」らしい演出だなぁと思いました。
私たちのシンクロライトの光ももちろんピンクです。

ドームの中の何もかもがピンクで染まるあのひと刻…
魔法にでもかけられたみたいに身動きひとつできずに、リンクの春ちゃんを見つめていました。

男性でこの桜の色が似合う人はなかなかいないと思うので、羽生選手はそういう意味でも稀有な存在だなぁと思います。

細身の身体、身のこなし、美しい容姿が全て合わさって、羽生選手の中性的な雰囲気を作り出している。
この中性的な雰囲気がなければ、似合う色ではないと思います。


性別を超えた「羽生結弦」というひとつの存在になって、「春よ、来い」の世界で舞う彼は、人ではなく精霊のようにも見えます。

私は基本的にあまりスピリチュアルなことに関心が無い人間です。
現実的な考え方をするタイプだと自分では思っています。
不思議な体験をしたこともないし、お守りも持たないし、幽霊なんていないと思っているし、目に見えないものは信じない。

そんな私に「精霊」などと思わせてしまう羽生選手の演技力たるや。
羽生選手に関してだけは、スピリチュアルな言葉でしか言い表せないような感情が出てきてしまうのです。

それが本当に不思議です。

実際、関東はこのGIFTがあった次の日からグンと気温が上がりました。
GIFT当日は寒かったんです。
なのに翌日から急に暖かくなりだしたので、私は

「春ちゃんが春を連れてきてくれたのだ」

と今でも本気で思ってます笑。



続きます。

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