プロローグ感想⑪【パリ散~エンディング】

アンコールの拍手の中、モニター画面に映し出される時計。
プロローグ冒頭では巻き戻っていた時計の針が、進み始めました。

そして、11時11分を指していた時計は、11時12分になります。


今まで観客が楽しんできた時間旅行が、時を刻み現在に、そして未来に向かって進み始めたことが示唆されます。

この演出にもグッときました。

ここから一歩前へ踏み出す。
誰にも未来は分からないけれど、確実に時間は進んでいく。
羽生選手のプロとしてのプロローグ(序奏)の時間を、ファンとして会場にいて共に過ごせた事をとても嬉しく思いました。


ショーの冒頭でSEIMEIを演じたこと、何か意味があるのかなと考えていたのですが、
私が思うに、やはりそこで「今が一番上手い羽生結弦」を示したかったんじゃないかと思います。

過去を振り返る映像の中で、平昌で二連覇したところから巻き戻っていました。
生まれたての頃から、北京で4Aを跳んだところまで。
ここまで一緒に時間旅行をしてきた観客たちは、「平昌の頃が頂点だった」とは思わないでしょう。


「今も、頂点だ」と。


それは、他の誰かと比べるということではありません。
羽生選手自身が、今までの道のりの中で、「今も頂点」だということを、目の前で鮮やかに証明してくれた気がしました。

ノーミスで高難度のSEIMEIといい、ジャンプ無しで芸術を表現した「いつか終わる夢」といい、全ての悲しみや苦しみ、喜びという感情を包み込んでくれた「春よ来い」といい。

やはり、この方は競技の狭い世界の中ではおさまらなくなったんだ。

ジャンプ飛べてよかったね、スピンレベル4取れてよかったね、なんていう話ではない。

こんなにも見る人の心に訴えかけてくる演技は、
点数がどうとか、メダルの色がどうとか、もうそんな世界から飛び越えているんだなと思いました。

プロの道を選んでくれて、心から良かったと思いました。
そうでなければ、この日見た数々の演技、感動は味わえなかったのですから。

羽生選手も、プロになって良かったと思っていてくれたらどんなに良いか。
ひっそりと、願っておきます。


ショーの続きに話を戻します。

「パリの散歩道(パリ散)」のギターイントロが流れて、プロローグのツアーTシャツを着た羽生選手がリンクに現れました。

パリ散の演技。ソチ五輪で金メダルを獲得した、これもSEIMEIと並ぶ名プログラムです。
文句の付け所が無い、二枚目を演じる羽生選手。
そのスピード感が、やはり現地とTVで観た時とは違っていました。

ヘランジの決めポーズ。「これぞ羽生結弦」というポイント。
コロナでなければキャーキャーと黄色い声援を飛ばしたいところです。
マスクの下でグッと声援を飲み込みながら、大きな拍手で反応を返します。

終わって四方にご挨拶してくれた後、最後の最後に流れたのはAdoの「私は最強」でした。

ここで、リンクをぐるぐると周りながら手を振ってくれます。

アイスショーの終わりになると大体出演者がリンクを周って観客に挨拶してくれるのですが、
羽生選手は、後ろの後ろの席まで必ず見てくれます。
かえって最前列の方々は絶対目が合わない、などという説もあるくらいです。
…という噂を信じて、「羽生選手と目が合った!」という幻想を頭の中に作り上げて、後列の席にいる自分を慰めます(笑)。

でも、羽生選手がアリーナから最後列まで丁寧に視線を飛ばしてくれているのは事実だと思います。
そういうところに、彼の誠実さが表れていると思います。

笑顔を振りまいてくれた羽生選手は、いつものように生声で「ありがとうございましたー!」と言ってリンクを去っていきました。


ところで、アンケートに使ったバングルのことですが、初日の私たちはお行儀よくカバンにずっと仕舞ったままでした。

しかし、二日目の観客の皆さんは、アンケートで使ったバングルを灯して羽生選手に向けて粋なサプライズをしたと後で知りました。
青く幻想的なバングルの光が一斉に灯されたのを見た羽生選手が嬉しそうに涙ぐむ、という光景をTV放送で観ながら、

う、うらやましい。
私たちもそれ、やりたかった!
羽生選手を喜ばせたかった!

と、思った初日だけ参加組は私だけではないはず…。


色んなことが思い出に残ったプロローグ横浜。
夢の時間は終わりました。

でも、あれから一か月近く経った今でも、何度も何度も思い出してしまいます。
確実に記憶から薄れていく感覚をなんとか繋ぎとめたくて、残しておきたくて、長々と感想を書いてきました。
文章力皆無なのに、見切り発車で書いてしまいました。

自己満足でしかない内容ではありますが、こうしてnoteに書いてみようと思い立ったのは、ひとえに、このプロローグが今まで見たどんなショーよりも感動的だったからという理由に他なりません。

日々忙しい中ゆっくり書く時間もなくて、なんとかプロローグ八戸公演が始まるまでに終わらせたかったのですが、結局間に合わず。

最後の方は駆け足になってしまいましたが、
(八戸公演最終日はあともう数時間で始まります…)
とりあえずプロローグ横浜の感想はこれで終わります。


ここまで読んで下さった方々。
本当に、ありがとうございました。


そして、あともう少しで始まる八戸公演最終日。
どうか、怪我なく、羽生選手の満足いくように、笑顔で終われますように!

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