【伝説Re:03】「真名野長者伝説」⑥生と死
暫くして、般若姫が都へ旅立つ日となった。
皇子の言う通り、幼い玉絵姫を長者夫婦に託し、大小の船百二十隻、千人余りが同行して豊後臼杵が浦より出航した。
長者夫婦は般若姫との別れの際、一寸八分の黄金の観音像を手渡した。
出航してから順調だった天気は、周防の国の平群島付近で大暴風雨にあい、多数の人が死んでしまった。
「天よ我の命と引き換えに静まれたもう」
嘆き、悲しんだ般若姫は、自ら荒れ狂う海の中に身を投げた。
すると、海は穏やかになり、雲がスーッと消え去り太陽が輝いた。