黄金色の景色

 また金木犀の香り。景色はわたしの中で黄金色に染まります。今年は特に、大切な友人や知人たちから、結婚や子どもの成長の知らせがたくさんありました。届けられた喜ばしさもまた、この黄金色の景色にむすびついて形を作っています。
 最近ひとりの人が逝きました。わたしは息がしたくなって、代わりに書く日々でした。書くことは「これをしている間だけはちゃんとしていられる」と思えるもののひとつです。誰しも自分なりの仕方で、目の前の出来事と丁寧に混ざり合う方法、暮らしの知恵のようなものを苦労しながら身に付けてきています。そのすべてを手本にしてきて良かった。と、そんなことを思いました。そうして、わたしの中でもゆっくりとその人は逝きました。今や黄金色の景色です。

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