『頑張った人が一番美し』くもない世の中

新人美容師みたいな若い人が寒い中路上でクーポンを配ってるの、めちゃくちゃ苦手です。

自分ちの近所にもいた。
毎日同じ場所に立って、道行く人に笑顔でクーポン券を渡しているお姉さんが。

何度も見るから顔を覚えてしまったある日、お姉さんが通りかかったおじさんに変に絡まれていた。
こんなところで配っていて何になるんだ、毎日毎日目障りだ、と、おじさんが怒鳴っていた。

おじさんは多分、視界に入った事物をノイズとして捉えているから、不快になってるんだろうなと思った。

実際、町中に立ってるようなそういうお姉さんって、無視をしても誰かに咎められるものではないし、
クーポン一枚もらったくらいでそれ以上執拗に営業されることもないんだから、怒鳴るほど気にしなくていいのにとは思った。いちいち疲れるし

その日はお姉さんに道を聞くふりをして声をかけたら、おじさんはいなくなって事なきを得た。

お姉さんは大変だと思った。美容師になるためにはこんな目にも遭わなきゃいけないなんて、大変な職業だと思った。

いや、本当にそういった苦労というのは見なきゃいけないもんだろうか。
夢を叶えるために困難は必ずあるもんだと思うし、乗り越える経験にその後救われることももちろんあるとわかっているけど、

だからといってそれを見せつけられる必要性はあるのだろうか。

頑張ってる人は間違いなくかっこいい。
夢を叶えている人というのは例外なく頑張っていると思う。
仮に『いや、俺は頑張ってない』という人がいたとしても、そういう人のほとんどは頑張らなくていいように頑張っていると思うし、頑張らなくていい近道を頑張って見つけていると思う。

でも、それを御涙頂戴的に見せつけられるのは違う気がする。特に今の世の中なら。

道端でクーポンを配られるより、ネット上の評判をもとに美容室に行く若者のほうが圧倒的に多いと思う。
NOVELBRIGHTのように、TikTokやSNSで話題になってあっという間にいろんな過程をすっ飛ばしていけるミュージシャンもいる。

そんな時代で、古いしきたりにとらわれた環境で、結果に繋がるか分からないビラ配りをしたり、量で勝負する路上ライブをしたりするのって、見てるとちょっと寒い気持ちになってしまう。
そんな頑張ってる自分が好きで好きでたまらないなら続けるべきだとは思うけど、オナニーでしかないと思う。
誰にも刺さらない自分だけの恋愛を歌詞にしたためてる女性シンガーを見てるときに似ている。

頑張ったところで必ずしも結果につながらないなんて、何十年何百年何千年前に生きた先人たちが証明してるんだから、頑張り方は考えたほうがいいと思う。

とはいえ頑張っている人は素晴らしいです。今日もお疲れさまでした。


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