映画『娼年』を今更観た。

休職中で暇なのと、機種変更によりAmazon primeが1年間無料になったので映画を観ることにした。
『娼年』はずっと気になっていてようやく観れたのだが思いのほかよくて、清々しい気持ちになることができた。

松坂桃李演じるリョウは、学校にもアルバイトにも価値を見い出せない無気力な大学生。
そんなときふとした出会いをきっかけに高級ボーイズクラブで『娼夫』として働くことになる。

フィクションかつ過激なシーンが多い映画にもかかわらず、めちゃくちゃ身近な話で、いつ誰がこの物語の登場人物になってもおかしくないような映画だったと思う。

今の日本ってなんとなく、楽しくない気持ちを抱えて生きてる人が多い気がする。リョウもその1人で、名門大学に通えたところでそこに価値を見いだせていないし、バーテンダーのアルバイトもあまり楽しくなさそうにしていた。そんなときたまたま出会ったのが『娼夫』という激レアバイトだったというだけであって、そしてそれに夢中になれただけであって、それ以外は今生きてる私たちと何ら変わりないように思う。
またリョウは『娼夫』として様々な事情を抱えた女性たちと出会っていく訳だが、特殊なサービスを利用する女性たちも多分普段はほかの人々と変わりなくて、普通に仕事をしたり普通に他者との関わりを持っているんだなあと思った。

日本って生きづらい国だからこそ、それを一瞬でも解消できるようなサービスが異常に充実してる国なので、
誰かがちょっとでも救われてるなら娼夫も風俗嬢もホストも存在する価値が絶対あるんだろうし
それらを利用する人が汚いとかそういう問題じゃなくて、じゃあなぜそこに行き着いたのかと考えることは、日本人の働き方とか、性格とか、もっと根っこの部分を考えることなんだと感じた。

あくまで映画なので女優さんも東京の景色も綺麗すぎてそこは違和感だった。多分もっと生々しいのが現実だろう。
それでも女性一人ひとりに心から寄り添うリョウくん(松坂桃李)には救われたし、人に言えない悩みを抱えた女性とか気軽に観て欲しい映画です。内容自体はあまり重くない。


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