私は膀胱パンパンボーイ

肝臓が沈黙の臓器なのをいいことにこれでもかと加虐を重ねている。
自他に関わらずありとあらゆることに対し不誠実な態度を取り続けてはその精算を先延ばしにして、残りの人生の全てを贖罪に使わなければいけないのかもな、と思っては、すぐに忘れる。

丈夫な子に育って欲しいという願いを込めて名付けられ実際にそこそこタフな肉体を授かったはいいものの、それにかまけて精神を甘やかしてばかりで、肉体的な痛みや金銭で何かが解決するのであればそれに越した事はないなんて事をいまだに考えている。
同情は居心地が悪いし、何も解決したくない。
前に進みたくない。狂ったフリで誤魔化していたら狂ってしまった。俺の部屋には時計が三つあって、それぞれ違う時刻で止まっている。
頭が痛い。頭が痛いのは辛い。

頬の内側を噛む癖がある。栄養が足りてないからだと尊敬する先輩が昔言っていたので、多分そうなんだろう。
俺の奥歯はギザギザだから、口内は酷い有様になっている。見た事がないからわからないけれど。

境界を失っている。
断続的に夜と朝を繰り返して、現在地は曖昧になっていく。
昨日の俺の罪をなぜ今日の俺が受けねばならんのだ。他者と関わるってそういうことか?
殺してクレメンスと思うけど、真面目に生きる事が償いらしい。

父親が肝臓が痛い気がすると言っていた。
沈黙の臓器に根を上げさせるとは、さすが俺の親父だ。
俺もそこまで生きてみます。惨めなもんすね。
ハンカチを持ち歩くところから。
朝ごはんを食べるところから。
目覚ましをかけるところから。
シラフで眠るところから。
コンタクトを外すところから。
鍵を持ち歩くところから。
ゴミをゴミ箱に捨てるところから。


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