空想日記 X年2月8日(火)

朝っぱらから遭遇した。今度は家の近所で。

猫だ。また、僕をあちらへ誘っている。

行かないよ。僕を向こう側へ連れて行くのは、諦めておくれ。

それでもじりじりと寄ってくる猫に、身を屈めて視線を合わせ、僕は言った。

「      」

猫は弾かれたように僕から離れて行った。

良かった、憑き物を祓えたようだ。

僕は、袖の中で結んでいた印を解いた。

(津田)

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