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泡沫文集

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浮かんでは消える雑多な思考の文字起こし
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#思い出

Let's play video game!

ぼくたち一九八〇年代生まれはテレビゲーム世代だ。小学生の時分、仲の良い友だちのほとんどがファミコンをはじめとしたテレビゲーム機を持っていた。ちょっと尖った子の家にはメガドライブがあり、裕福な家庭の子はネオジオを持っていた。中学生や高校生の頃には、スーパーファミコンやセガサターン、プレイステーションが登場していたと思う。 ぼくはというと、両親の頭が固かったおかげで、テレビゲーム機の類は一切買ってもらえず、友だちの家にお邪魔して遊ばせてもらうばかりで、いつも肩身が狭い思いをして

リビングの壁をキャンバスに

物心ついた頃、実家のリビングの壁はキャンバスだった。クレヨンや油性マジックで思いつくまま、壁一面に一心不乱に描いていた。 両親は止めなかったのか、止めたのに言うことを聞かないから諦めたのかは覚えていないけれど、何回か悪戯描きの上に新しい壁紙を貼っていたから、良い気はしていなかったのだろう。 キャンバスが真っさらになると、その上に新たな作品を描いていた。しかし、五歳になる頃には、リビングの壁には戸棚が置かれキャンバスに手が届かなくなってしまった。今ではどんな絵を描いていたか