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【対象を表すこともあります 〜格助詞「が」〜】

平成23年度日本語教育能力検定試験 試験 Ⅰ  問題2の⑷


【母の作ってくれる料理「を」恋しい。】
ガ格とヲ格の誤りです。これと異なる種類の誤用を例文の中から探す問題です。例文をみましょう。淡白宣言な学習ノートを目指します(?)


全部同じ種類の誤用じゃ ないですかあ?


1 運転免許証がないので、車の運転「を」できない。
2 会議を傍聴するには特別な許可「を」要る。
3 薬を飲んだので、のどの痛み「を」なくなった。
4 知らない国を旅行するの「を」好きだ。

全てガ格とヲ格の誤りです。わたしは自信なさげに 1を選択し、解答の横に△印を付けています。正答をみてもピンとこない。解説をチラ見してもたぶん納得しないでしょう。元々「ヘンコ」=変わり者、へそ曲がり、ひねくれ者要素の強いわたしは思う。上手な解説はその場で「ああ、そうなのか!」という気づきと、わかったような安心感は提供してくれますが、それは学習と研究をされた本人様だからこそ到達できた境地なのであって、プロセスを省いた「他人様の成果」だけを素直に受け入れることに抵抗を感じてしまう。すんなり入る時には都合よく利用する場合もあるけどね(苦笑)

主体を表す「が」と対象を表す「が」。
とても曖昧な、「理解」なんて言葉恥ずかしくて使えない自分がいるから(笑)

買うときは、「まあ、いずれ使うだろうから」くらいの軽い気持ちでしたが、意外と早く出番が来ています♪

「書店で見つけたから手に取って購入した」と格好つけて言いたいところですが(笑)、はま先生とむきえび先生のページで見て知った『現代日本語文法』(くろしお出版)。
他力本願寺を少しずつ離れて行くためには、自分で読んで自分が納得いく理解を得ることかと。

1 心的状態の対象

心的状態の対象とは、感情や知覚の向けられる対象のこと、なんですって。(『現代日本語文法②』 第3部 格と構文のP43)

♪粗末な姿が なんて  悲しい。
♪先祖の写真を保存するパソコンが 欲しい。
♪遠回りしているけど、今の生き方が 好きだ。♪提案とか言いながら、押し付けてくる行為が 嫌いだ。
感情そのものの形容詞が述語です(笑)

♫君を愛する炎が見えたか(ジャガー!)。
♫小さい字が見えません(遠視やね)。
♫川のせせらぎが聞こえる(ほんま好きやわ)。
♫とても離れているから、君の声が聞こえない。
♫できない人の気持ちが わかります(泣)
♫他人の痛みがわからない(2面性ですな)。
知覚を状態的に表す動詞の例です。

学校の近く(家の近所でもある)を流れる川のせせらぎを聞いてから、学校へ行きます。

問題の例文の「を」を「が」に直して、もう一度見ますと、
例 母の作ってくれる料理が恋しい。
これは「恋しい」という心的状態の対象を表す「が」が「料理」に付いています。
4 知らない国を旅行するのが好きだ。
これは「好きだ」という心的状態の対象が「旅行」なので、対象を表す「が」ドンピシャです。

心的状態の対象を表す「が」について、理解には今ひとつ(納得遅い=飲み込みが遅い)かな。今まで考えたことがなかったから。でも救いは『みんなの日本語』第9課で「(名詞)が 好きです」と、第13課で「(名詞)が 欲しいです」を学習したので、馴染みがあることですね。


2 能力の対象

述語が主体のもつ能力を表すものである場合、能力の対象が「が」で表される。

♪アスミタさんは運転ができます。
♪ミザンさんはインド語が話せます。

むむむ、納得の能力の対象「が」でございます。例文をガ格に直して、
1 運転免許証がないので、車の運転ができません。
が、ぴったり能力の対象を表してします。


3 所有の対象

『存在を表す「ある」「いる」「ない」や分量を表す「多い」「少ない」を述語とする文は、有情物を「に」で表す所在構文をとるとき、「が」で所有の対象を表すことがある。(P44)

♫わたしには ひそやかな 思いが ある。
♫カウンさんには 中国人の 彼女が いる。
♫亀には 人に懐くという習性がある。
♫毛虫には 尻尾がない(ホンマかいな)。

こんな感じでしょうか。では例文2の「が」
♬会議を傍聴するには 特別な許可が要る。
の場合は?
こちらは有情物ではありませんが、「要る」という動詞の対象=特別な許可だと解釈して良さそうです。また、許可証か口頭かはわかりませんが、ここでの許可は「所有の対象」だととらえて問題ないと思います。かなりぎこちなく他者に納得してもらうレベルの理解度には達していませんが、個人の学習ではこれでいいと思います。

動きの主体を表す「が」

わたしはこの問題で誤答していますので、正答を見てからの後追い学習になっています。
急ぎ足で問題を解き進めると、わたしはつい正答の番号を覚えて、繰り返し学習の解答時には、ほぼ自動操縦的に正答番号を書いて、次の問題へ進む傾向があります。答え合わせの時に学習して、一応納得したのを「理解して身についた」と錯覚しているのですね(汗)

氣を取り直して、動きの主体を今回のテキスト『現代日本語文法②」で見てみますと、

動きの主体とは、時間の流れの中で、何かが起きたり、何かが変わったりする動きを引き起こす存在としての主体である。動きは動詞述語によって表される。意志的な動きであるか否か、および主体に変化が生じるか否かによって、動きの主体には、意志動作の主体、受身的動作の主体、自然現象の主体、変化の主体、心的活動の主体といったものがある。

現代日本語文法② P30

この記述の中の「変化の主体」に当てはまるのが、例文の3の「が」修正
♪薬を飲んだので、のどの痛みがなくなった。
ですね。

正答は3です。と流してしまうと、わたしの場合は理解できていなくても「わかったような氣」になってしまう。ですから、もう一度この問題を整理します。

💡もう一度新しい学習の整理を

【母の作ってくれる料理「を」恋しい。】
ヲ格⇒ガ格の誤りなのはすぐに判断できても、即時に「心的状態の対象」を表す「が」であると、そこまでは考えもしなかった。

1 運転免許証がないので、車の運転「を」できない。
ヲ格⇒ガ格の誤りで、「能力の対象」を表す「が」なので【】の文と同じ種類の誤用です。

2 会議を傍聴するには特別な許可「を」要る。
ヲ格⇒ガ格の誤りで、「所有の対象」を表す「が」なので、同じ種類の誤用です。

3 薬を飲んだので、のどの痛み「を」なくなった。
ヲ格⇒ガ格の誤りで、「変化の主体」を表す「が」を用いているので、これが異なる種類の誤用です。

4 知らない国を旅行するの「を」好きだ。
ヲ格⇒ガ格の誤りで、心的状態の対象を表す「が」を用いているので、同じ種類の誤用です。

この問題の異なる種類の誤用は、3 です。


いろいろな表情


「無理して笑う必要なんか、ないんだよ。」
そう声をかけたくなる人が、一人ではなく、います。けれど、実際本人には言ったことが ありません。

よく笑う、というか自然に笑顔が出る人がいるかとおもえば、元々そんなに笑わない人もいる。
いやらしいやり方かも知れませんが、わたしはしょっちゅう「あんまり笑わない人」の表情を確かめるようにしています。それは大人になってから気づいた自分の習性である、他人の目を気にする、少しでも他人から「いい人だ」と思われたいという、承認欲求と関連は強いと思います。

教室でも学生の表情が、気になってしょうがない自分がいます。会っていない時でも、よく笑う学生の顔は、笑顔で登場します。

無理に引き出すことは、してはいけないと思う。感情は本人のものだから、慎重に行う必要があると、思いつつも、できることなら笑顔を引き出したいという、自分の下心を抑えるのは難しいです。まあ安易にゲームを取り入れてとかは、思わないですが(苦笑) 言葉だけではないコミュニケーションは、常に意識してみがいていく必要があると、今のわたしは思います。




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