8/4(日)現役競馬誌記者 今週の1鞍 札幌11R エルムステークス(G3)
連日の暑さに耐えかねて、まだ夏が少し涼しかった頃に思いを馳せることにした。平成元年の『優駿』を開いて一種の納涼をする。
同年10月号では、主に8月の結果が載っている。関屋記念はミスターブランディ、北九州記念はタニノスイセイ、新潟記念は抽選馬のハーディゴッド、小倉記念はダンツミラクルが勝利している。
そういえば函館記念はかつて8月の重賞だった。この年はスピークリーズンが1番人気グランドキャニオンを差し切り、京成杯に続く重賞2勝目をマーク。このほかストロングペガサスが7歳(現6歳)で初勝利、スイートミトゥーナが新馬戦Vでミスターシービー産駒初勝利などのニュースもあった。
この頃の北海道開催は札幌→函館だったので、函館記念の「対」ともいえる札幌記念は7月(年によっては6月)に行われていた。平成元年といえば札幌競馬場に芝コースが導入された年で、それまで札幌記念はダート2000mで施行されていたことをご存じのファンも多いだろう。
同レースは芝コース導入「元年」にはすぐ芝2000mとはならず、翌年から芝に変更された。このため平成元年の札幌記念は新ダートコースでたった1年だけ行われたが、小回りになったぶん従来の距離では設定できず、この年だけダート1700mで実施されている。勝ったのは、のちに最優秀ダートホース に輝くダイナレターだった。
札幌でのダート重賞は途絶えたと思われたが、平成9年に北海道開催の順序が函館→札幌となるパラダイムシフトが発生。前年に創設されたシーサイドSが函館から引っ越しする形で移され、札幌で9年ぶりにダート1700mの重賞が行われることになった。これが今日に続くエルムSである。
さて第29回を迎える今年エルムS。過去10年のデータが示すように前走3着以内が【8-7-3-38】と中心を形成している。また連対馬は20頭中18頭がダートのオープンクラスで連対があり、人気薄の激走はあまり見られないレースだ。
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