英語の語順のヒミツ その1

英語と日本語の最大の違いは、おおざっぱに言うと「語順と発音」です。

それをクリアすると、英語学習の速度と習熟度がスパイラル状に向上します。つまり、格段に楽になるのです。

では、まず最初に「語順」から攻略しましょう。

英文を和訳するときは、日本語の語順になおすために、英文を一度読んでから、後ろにある情報を前に持ってくる「返り読み」をしますよね。

短い文ならそれでよいのですが、一文が長くなる英字新聞レベルになると、このやりかたでは太刀打ちできません。時間がかかるばかりか、情報が前後にいったり来たりするふれ幅が大きくなるので、日本語に直すことに意識が集中してしまい、肝心の情報をつかむ作業に専念できないからです。

つまり、中学レベルで使う技は、その後役立たずになる、ということです。

そのかわりに、高校になると品詞分解やスラッシュ・リーディングなどの手法が導入されますが、それを使いこなせない多くの人が英語からドロップアウトしてしまいます。運よくそれらをクリアした人も、リスニングでは苦労し、会話はほとんどおぼつかない状態で、日本の英語教育の多くは終了します。

なんと労多く、実の少ない収穫でしょう。

最大の原因は、英語を日本語の枠にはめて捉えなおそうとしたからです。

これは、あとでも触れますが、日本人の思考パターンによるものです。外来品を日本の風土に合わせて加工するのは、日本のお家芸です。あんぱんやカレーのように、英語も日本人が扱いやすいように、自分たちの思考の枠に取り込んでから理解しようとしたのが「返り読み」なのです。

明治時代から、英語の学習法はさほど変わっていません。最初に教えるのが「返り読み」なのですから。そして、一部の学校ですが、いまだにカタカナで英語にふりがなをつける先生もおられます。カタカナは日本語です。

英語は外国語であり、日本語に取り込んでは意味がないのです。

では、どうするか。

英語を英語の感覚でとらえに行くのです。                「内に取り込まないで、外に向かって行く」という意識のシフトチェンジが必要なのです。

もう少し具体的に説明しましょう。

わたしたち日本人が住所を書くときは,
東京都○○区○○町123番地     というように表記しますね。

これを英語表記にすると、
123 ○○cho  ○○word  Tokyo   となります。

表記が真逆になっているのがわかると思いますが、実はこれが英語と日本語の思考のベクトルを表しているのです。

日本人は、広いところからものごとを捉え、自分に近いところで帰結する。 英語はその逆で、自分に近いところから捉え、広いところへと意識が広がる。

つまり、ものごとの捉え方のベクトルが、日本語はズームイン、英語はズームアウトになっているのです。

日本人が外にあるものを内に取り込んで加工するのが得意なのも、繊細な技術を極めることに長けているのも、このベクトルが働いているからだと私は考えています。(あくまで仮説ですが)

日本のすばらしい技術や文化を生んだ(であろう)このベクトルですが、英語を学ぶ時は、いったん忘れた方がよさそうです。

なぜなら、英語の思考のベクトルが、そのまま英語の語順になっているからです。

英語の基本の語順は、誰がする、何を、どこで、いつ の順に並んでいます。

たとえば、「きのう、京都の南座で歌舞伎を見た」を英語で言うとき、
①まず、
I saw Kabuki   
..と自分に近いところから言いはじめ、

②そのイメージをズームアウトすると南座という劇場が見えるので...
 I saw Kabuki at Minamiza  

③さらにズームアウトすれば京都の町並みが見えるので...
I saw Kabuki at Minamiza in Kyoto  
...というように広げていく。

④時は3次元を超えた概念なので、いくらズームアウトしても見えないので、最後に昨日を付け加える、というわけです。 
I saw Kabuki at Minamiza in Kyoto yesterday.             

ですから、時を表す語と場所が入れ替わることは、ふつうはありません。

どうですか?住所表記と同じベクトル、ズームアウトで並んでいますよね。

英語はとてもビジュアル的な言語なので、実は簡単なのです。
ですから、日本語に取り込んで自分たちの手の内で学ぶのではなく、英語の思考のベクトルに、思い切って飛び込んでみればよいのです。

英語の語順には、さらなるヒミツが隠されています。それは次回にするとして、今日のまとめです。

<英語のしっぽのつかみ方 その1> 英語の語順はズームアウト!

#英語


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