英語の語順のヒミツ その2

英語の語順のヒミツ。今日は、いよいよその核心に迫っていきましょう。

まず、次の英文を見てみましょう。

① Jane ate some cake.  
② Some cake ate Jane.
③ Ate Jane some cake.× 

このように、英語は語順を入れ替えると、意味がまったく違ってきます。
は、かなりシュールな画になってしまいますね。
③はホラーっぽいですが、命令文なのに過去形で始まり、some cake が文のどこにもつながらないので、残念ながら文法的にアウトです。

一方、日本語では、「ジェーンはケーキを食べた」でも、「ケーキを食べたジェーンは」でも、「食べたジェーンはケーキを」でも、意味はわかります。

日本語には、「てにをは」などの助詞が名詞について、迷子札の役目を果たしています。そのため、文中のどこにあろうと、主語や目的語が路頭に迷うことはありません。                      

では、迷子札のない英語は、何を意味のよりどころにしているのでしょう?

答えは、語順です。英語は、語順に意味があります。

語の語順は、言葉のナビゲーション・システムなのです。

それを習得するために、高校ではまず最初に5文型を学びます。英語の主語・動詞・目的語などが、どういう順番に並んでいるのかを5つのパターンに体系化したのが5文型です。しかし、それを知っていても、多くの人は英語の旅路で迷子になってしまいます。なぜでしょう?

5文型は、いわば羅針盤(コンパス)です。コンパスは、それだけでは単に北を指し示す道具にすぎません。地図と、それを読み解くスキルがあって初めて役に立つ道具になります。つまり、ある程度英語を日本語で読み解くスキルのある人が、頭の中を整理しながら読むための道具が5文型なのです。中学ではなく、高校で習うのはそのためです。しかし、そのスキルが未熟なうちは使いこなすことができません。そのため、多くの人が迷子になってしまうのです。

しかし、「なぜ語順に意味があるのか」を知れば、自分の中に英語のナビゲーション・システムをインストールすることができます。ナビは、目的地をインプットさえすれば、そこへの道筋を導いてくれます。地図を読み解くスキルは必要ありません。それと同じように、自分の中に英語のナビがあれば、思ったことを英語で表現できるようになります。しかも、このナビは小学生でもインストールすることができます。

そんな便利なナビを見つけるヒントが、前回の英語のしっぽのつかみ方①「英語の語順はズームアウト」です。日本語とは真逆のベクトルでしたね。では、英語はなぜズームアウトで物ごとをとらえるのかを見ていきましょう。

ここで、ちょっとしたお遊びをします。

<用意するもの>
①ペットボトルの水
②グラス
③白紙のカード4枚
④筆記用具
⑤セロテープ
*カードは、名刺くらいの大きさなら、コピー用紙を切っても、書き損じた書類や誰かの名刺の裏でもかまいません。

Step1) まず、4枚のカードに、次の単語を1つずつ書きます。
the water 
・ the glass  
Pour (注ぐという意味の動詞、Pは大文字で)
・白紙のままにしておきます。

Step2) 次に、それぞれのモノに対応するカードを、セロテープでくっつけましょう。
ペットボトルには the water  のカードを、
グラス には the glassのカードを、
そして、(ここがポイント!) 
Pour  のカードは「注ぐ」という動作なので、左手の甲に貼り付けます。(右利きの人も左手の甲の親指の付け根くらいに貼ってくださいね)

ここまでは、いいですか?
準備はできましたね。

Step3) 貼ったカードが、自分の方に見えるように位置を調節します。
そして、おもむろに左手でペットボトルを持って、グラスに水を注いでみましょう。

さて、その時、カードはどういう順番で並んでいるでしょう?

左から、Pour     the water       the glass と、並んでいます。

これは、「その水をグラスに注いで下さい」という英文にそっくりです。
ただし、Pour the water the glass では、英語としては不完全です。

もう一度、目の前の状況を見てみましょう。

水がグラスに注がれる様子が見えますね。ボトルの口から流れ出て、グラスの中に入っていく様子です。その様子をあらわす言葉が必要なのです。

それが、into です。中を表す in と方向を表す to がひとつになって、水がグラスの中へと入っていく様子を表します。

Step 4) それでは、まだ何も書いていなかったカードに into と書いて、流れ出る水の前に、右手で添えてみて下さい。

すると、左から Pour the water  into the glass. となり、水がグラスに対してどんな状況なのかもわかる、完全な英語になります。

つまり英語の語順は、動作や様子を、ただ見たまま並べているだけなのです。

ですから、動作を行う主体(主語)から始まり、それが行う動作(動詞)、その動作が作用するもの(目的語)・・・と、ズームアウトしていくのです。

英語において、語順を変えるということは、見たままの様子を変えることになるので、意味が変わってしまうのです。

どうでしょう?
英語が簡単な言語、という意味がわかっていただけたでしょうか?

英語の文法とは、こんなにもシンプルな法則だったのです!!!

ぜひ、周りの人たちと実際にやってみて、面白がってみて下さい。

では、今日のまとめです。

<英語のしっぽのつかみ方②> 英語の語順は見たまんま!

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