【外食事業】

現在、自分自身も経営している外食店について  
まるで農業と同じだな、と感じるのです。 

自分自身、農家の長男として生まれ、将来は農家を継ぐことを望まれ育ててもらいました。 
幼い頃から学校帰りはもちろんのこと休みの日も田んぼ仕事や畑仕事を手伝い、土を触り育ちました。  

しかし幼い頃に気付いてしまったんです。  

こんなにしんどい仕事を一生懸命やってる人たちが、なぜ報われてないのか。 

力仕事も多く、知恵も出し合いながら工夫を重ねていかなければおいしいものはできない。  

頭を使うのはもちろんですが、作業が多すぎて頭も回らない。重労働で汗水流して、その作物が誰かの口に入り喜んでもらえていると信じて、朝から晩まで毎日働く。 
年中休みもなく旅行もできない。 
外食することだってほとんどなかった。  

幼いながらに、こんなに世の中のために働いている人がなぜ苦労しているのか。 
なんでうちはこんなに貧乏なんだ…

そう思いながらも田舎に住んでいたらなにも情報がなかった。 ただこの地でずっと死ぬまで生きて行くのかと、大人になるにつれて途方に暮れていた。 

やがて転機が訪れ地元を飛び出して大阪、東京へと上京し11年前の26歳の時、自分の飲食店舗を構えることができた。 

この大都会で物事を成せば、きっと未来があると信じて…

そして11年が経過した現在、10年続く企業はわずか数%しかないんだよ。 すごい事だよ! 
と周りの人たちは褒め称えてくださるようになりました。 
しかし、事実は違う。 
僕は失敗ばかりを繰り返して来た。 

 成功なんてひとつもなかった、人として経営者として失格だなと自分を責めてばかりの日々でした。 

ただそんな中、ひとつだけ守りたいものがあった。 

それは、『想い』である。 

幼い頃に農業を教えてくれた、じいちゃん。 
何度失敗してもやり直せばいい、大事なのは同じことを繰り返さないこと 

そしてこの時代、次の時代に必要とされる世の中の役に立てることを常に考えて行動しなさい。と 

自分が生きて来て、ふと振り返った時に何も残ってないではダメだ。 
いつの時代も、足跡を残していくこと。 
 
だから、お店が忙しくなって利益が出ても贅沢はしなかった。 
そのお金はすべて社員やスタッフのみんなの社員旅行や娯楽に充てる。 

自分の欲しいものは極力買わない。 

そして出来る限りのキャッシュを貯めておく。 

会社を守るため、みんなを守る責任が自分にはある。 

みんなそれぞれの命をかけて、一生の時間を僕に預けてくれた。 

卒業した子や離れてしまった子もたくさんいるけれど、すべてはご縁。命運は天にお任せしている。 

だから、絶対に無くさないこと。 
欲張って見栄を張らないこと。 
守っていくためにできることを自分なりにやってきた。 

だから会社はデカくなってないけど、店舗も増えてはないけど、ムリをしなかったのが10年以上続けれた理由なのかな、と。 

そりゃ本当は攻めの商売ができたら尚良いですよね! 

自分より若い世代の子たちがどんどん攻めの商売をやっていて成功している姿をみて、すごいなと思う。 

発想力や行動力もすごいし、自分より若い世代でここまでできるなんて、自分の学びの足りなさを痛感する。 自分ももっと勉強しないと。 
学ばないと、時代に取り残されないように、突っ走って行く若者世代の志を忘れてはいけない。 

最近はめっきり歳下の子たちと会うことが増えた。 

いつの時代も、若者世代の発想力はすごい! 

頭のかたいジジイには僕もなりたくない(笑) 

これからも柔軟性を持って学んでいきたい。 

話が逸れてしまったが、外食事業を10年続けてきて思ったこと。  

それぞれがそれぞれの思いで店舗を展開し、それは素晴らしいお店もたくさんあるけれど、 
ふと気づいた。 

今の外食業、 農業と同じだ。  

やる人が多すぎて、店舗数が多い割にきちんと利益の出ているとこはわずか。 

そして圧倒的に個人店が多くどんぶり勘定なのも多い 

今まさに新型コロナウィルスの騒ぎでみんなお手上げ状態。 

弱いところから潰れていき、生き残ったとしても以前のような活気が戻るかといえば、正直どうなのかと言われる。 

 
生産することは長けているのに売り方が下手だと言われてきた農家。 

僕も幼い頃から痛いほどその現場を見てきて、その声を聞いてきて、それは時代が流れるほどにもっともっと苦しくなっていった。 

待っていても良くなることなんてなかった。 

外食事業も同じことが言えるんじゃないかな。 

これからは、以前からの農業と同じ道を辿るような気がする。 

でも、それをなんとかしたい。 

想いを持って、人に喜んでもらいたいサービス精神で飲食店を営んでいる人が、一生懸命頑張っている人がきちんと報われる世界を作りたい。 

汗水垂らしながら社会貢献を願う人たちが、後世に残っていけるように…

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