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『ラグナロクオンライン』での「姫」の観測記憶

『ラグナロクオンライン』(以下『RO』)をプレイしていたのは2002年11月頃~2006年10月頃、だいたい2000年代前半になります。
(『FF11』等も既にサービス開始していた時期なので、『RO』が起源では無い用語等あるかもしれません。記憶頼みで書いているので、誤りなど有ればご容赦願います)

当時はまだ女性プレイヤーは少なく、女性キャラの中の人は大抵男性だという状況でした。
ですが女性キャラという時点で特別扱いされる状況はもう既に出来上がっていて、例えば臨時パーティーを募集する際、同じ職業でも女性キャラで募集する方が遙かに集まりが速かったのです。
加えて、装備やアイテム等を貢がれる事も度々有ったとか。
なので、男性が女性として女性キャラを演じる、いわゆる「ネカマ」プレイヤーが多数発生しました。
(もちろん男性であることを明かして女性キャラをプレイする人も多かったのですが)
しかし、中の人が女性というケースも数少ないながら有った為、これに賭けて、女性キャラに色々貢いだり口説いたりする「下半身直結厨」と揶揄されるプレイヤーも出現しました。
また、女性キャラと見ればセクハラする輩も発生。
「見抜きいいですか?」「…しょうがないにゃあ」
というコピペのオリジナルが生まれたのもこの頃です。
このような状況を嫌い、女性である事を隠して男性キャラでプレイする人も居たようです。
しかし、セクハラ等のデメリットを上回るメリット(貢ぎ物や経験値)を狙って、敢えて女性キャラ(の支援&回復職)を選び、女性であることを強調してプレイする人も出現しました。
このようなプレイヤーは周りに男性プレイヤーを多数侍らせていたので、「姫」と呼ばれました。
男性プレイヤー(の特に被ダメージが多い前衛職)の受けを狙い、「聖」「癒」「天使」「姫」「猫」を含めたキャラ名を付けるプレイヤーが多数発生、「†聖天使癒猫姫†」というネタみたいな名前のキャラが数多く現れたりもしました。

余談ですが、私が所属していた固定パーティー(のちにギルドに発展)の初期メンバー5人のキャラの男女比は2:3でしたが、リアルで会ったら全員男性でした。
まあチャットで分かってた事ではあるのですが。リアルで会う直前まで期待してたとかは…( ´゚Д゚)・;'.、グハッ

話が逸れましたが、このように2000年代前半の頃から既に、
 男性プレイヤーは女性プレイヤーを持ち上げ、
 女性プレイヤーは男性プレイヤーを利用する
という状況が出来上がってしまっていました。

『RO』の支援&回復職は私もプレイしていましたが、他のゲームの支援職や回復職と同様、把握すべき情報量が多く、瞬時の判断力を求められ、時には非情な判断を下す事も必要…と、とても立ち回りの難易度が高い職業です。
(なお所属ギルド内では下手な方でした(ノ∀`)アチャー)
そして『RO』では、この「支援&回復職である自分以外が全滅」した時の立ち回りもかなり重要なのです。
いわゆる「美味しい狩場」は、経験値は高いが強力なモンスターの沸き密度と速度も高く、そしてキャラの人口密度も高い、つまり他のパーティとの距離がとても近いのです。
このような状況なので、モンスターが突然多数沸いて処理しきれずパーティが全滅(決壊)すると、残ったモンスターは隣のパーティに襲いかかります。
ところが隣のパーティも既に手一杯だとこちらも決壊し…という負の連鎖が起こります。これが何度も連鎖した地域はモンスターが高密度で残ってしまう為、相当な高レベル&高技能のパーティでないと処理できない事もしばしばです。
なので、生き残りやすい支援&回復職は、残ったモンスターを近隣のパーティに延焼しないところまで誘導するのが「最後の仕事」となります。
(なお、私の所属していたギルドの上手い人は、これでいつも上手いこと誘導して上手いこと逃げて、無事に戻ってきて見事パーティを立て直すのですが、私はだいたい逃げ切れずに死んでしまうのでした_(:3」∠)_)
ところが、決壊すると見るや否やワープ魔法で逃げ出す支援&回復職の人もいて…これが高確率で女性キャラなんですよねえ。
そうなると残されたモンスターは私たちのパーティに向かってきます。美味しく平らげる事もありましたが、健闘虚しく決壊する事もあり…。

また、この支援&回復職は育成が少々面倒なこともあり、「養殖」と呼ばれる手法が採られる事もありました。方法は色々なので細かくは触れませんが、語感から察して下さい。
そうすると、装備も経験値も自力でまともに稼いだことのない支援&回復職が出来上がります。
レベルは高いし装備は立派、そして女性の支援&回復職なので臨時パーティにも呼ばれやすい。しかし日頃から取り巻きにちやほやされているので性格はお察し、プレイヤースキルはポンコツ…という「地雷」の誕生です。

『RO』をプレイしていた当時は「慈悲深い性差別主義者」なんて言葉は全く知らなかったんですが、ゲーム内のあちこちで目にしていたって訳ですね。

ただ、これは「慈悲を与える男性」と「慈悲を受け取る女性」の共犯だとも思うのです。
上で触れた「男性キャラを選び男性としてプレイする女性」のように、この共犯構造に背を向けている人もいるわけですから。
また私はモテないタイプの男女平等マンなので、全く空気を読まずアドバイス(なお私の場合は失敗談が多め)してしまいがちなのですが、このような発言を取り巻きの男性が止めず、また「姫」も耳を傾ければ、せめて「地雷」と化す事は避けられたのではと思います。

もっとも、当時覗いていた『RO』専門サイト等の掲示板では、「地雷な姫」の笑えない笑い話などは多数見ましたが、「姫じゃなくて天使、むしろ女神!」などと素晴らしいプレイを称える話は、ゼロではないがごくごく稀にしか見た覚えがありません。
だからこそ「女神」とまで言われたのでしょうが。

掲示板で思い出しましたが、サークルクラッシャーの如く、「姫」がギルドを崩壊させた話も何度か見た覚えが有ります。
そういえば私の所属していたギルドに、他のギルドやパーティにもちょくちょく顔を出していた方がいるのですが、その方から「姫」によってギルドが崩壊して行く様を聞いた覚えも有ります。
もっともこの辺りの話は「姫」だけの問題ではなく、取り巻きに「下半身直結厨」かこれに近い男性が多かったという事も原因だったのでしょうが。

ともあれ。
下心込みの慈悲でもって女性プレイヤーを持ち上げる男性プレイヤー。
下心込みで慈悲を受け取り男性プレイヤーを利用する女性プレイヤー。
「姫」は、このような環境で養殖され増殖したのだろうと思います。

そして、『RO』の人気が下火になると、他のゲームへと移住し…。



私のいたギルドに女性プレイヤーが居なかったのは、運が良かったと思うべきなのでしょうか。
もっとも、女性キャラの比率が高く、意識的あるいはナチュラルにネカマプレイしている人が何人もいたのが、ある種の防波堤になっていた可能性も否定できないのですが…。

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