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眠れない夜、午前0時。
世界が退廃する。
夜の足音がこわくて、スピーカーで音楽を流す。
好きな人が好きな曲をこっそりまとめたフォルダのシャッフル再生。
歌のない曲のベースラインが鼓膜を揺らす。
あの人は今頃、なにしてるのだろうとねむるまえに思ったら本物の愛だ。と思う。
夜の足音が近づく。夜は、私の足首を掴んで深い深い沼の奥へと引き摺り沈める。
息が、苦しい。
涙が頬を伝って枕を濡らした。
アイスグレーの丸い染みが今日も心を揺らす。
私なんか。
夜は私を沼に沈める。
私なんか、要らない。
聞き覚えのある英語の歌詞が手を引く。
聞き取れない歌詞のやわらかい声に、救われる。
眠れない代わりに愛おしいところを数え上げる。
ひとつ、感性の琴線が美しいこと。
ふたつ、描く世界が煌めいていること。
みっつ、誰より人にやさしいこと。

大丈夫、私はまだ、大丈夫。
明日を受け入れる準備は出来た。
アップテンポな音楽に意識を乗せて、今日のところは眠ってしまおう。

おやすみ。