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『ワン・イェン・ボゥイ』企画書【週刊少年マガジン原作大賞企画書部門応募作品】

・キャッチコピー

「一円玉で勝つ!募金スポーツの熱き戦い!」

・あらすじ

コンビニ店員の男子大学生相澤と越前は、突然店内で始まった募金スポーツ「スポーツ・ファンドライジング」の試合に巻き込まれる。

怪我をした少女の代わりに試合に出ることになった相澤。無我夢中で投げた小銭が募金箱に入り、少女のチームは試合に勝つ。

相澤の素質を認めた少女銭形愛は、実業家金輪と自分の結婚を阻止するために、また、手伝いをしている児童養護施設を再建するために、相澤たちに共に全国大会に出て優勝するように頼む。

協力するか悩む相澤たちだったが、偶然会った金輪に野試合で惨敗し、力をつけ全国大会で金輪を破る決意を固める。

特訓と試合の日々が始まるのであった。

・第一話のストーリー

コンビニ店員の男子大学生、相澤と越前は
「今夜は必ず0時前に上がれ」という
店長の指示を守らず、深夜勤務をしていた。

午前2時になると、
突然店内のモニターが切り替わり
「スポーツ・ファンドライジング」という
謎のスポーツの実況が始まる。

客のいない店内に入ってくる7人の男女。
彼らは揃いのユニフォームを着た
3人ずつの2チームと審判らしき男性だった。

審判がホイッスルを吹くと、
2チームは突然店内を駆け回り、
小銭を投げ合い始めた。

彼らの目的は
レジの募金箱に小銭を投げ入れることらしい。

レジの中で身をかがめる相澤と越前。
レジに黒髪ロングヘアの少女が
ラフプレーで弾き飛ばされてくる。

スポーツ経験者の越前が確認すると、
少女は肩を脱臼しているようだ。
応急処置をする越前。

怒りをあらわにし、
暴れるのをやめろと怒鳴る相澤。
しかし少女が制止する。
少女は代わりに試合に出て欲しい、
と相澤に頼む。

試合に出ることになった相澤。
少女はルールについて、

・オフェンスとディフェンスに分かれ、
 募金箱に小銭を投げ入れたら一点。
・投げ方は手で投げるスナップ・ショットと
 指で弾くフリップ・ショットの二種類。
・相手チームに直接触れて妨害してはいけない。
 相手や相手のショットに小銭を当てるのは可。

という説明をする。

プレイ再開のホイッスルと同時に、
高速でポジションを取り合う他の選手。
飛び交う小銭。動揺し逃げ回る相澤。
しかし一瞬、相澤から募金箱に射線が通った。
見逃さず、無我夢中で小銭を投げる相澤。
小銭が募金箱に入り、ホイッスルが鳴る。

「1対0!エンドオブザゲーム!」

それは試合終了のホイッスルだった。
少女のチームから歓声が上がる。
どうやら勝ったらしい。
暗転。

選手たちは試合が終わるとすばやく撤収した。
三角巾で腕を吊った少女が、
相澤と越前の前にいる。
「ありがとうございます。
 お陰で予選敗退せずにすみました」
少女が言う。試合終了時を思い出す少女。

終了と同時に入った一点。
だがその直後に確認すると、
たくさんの小銭が募金箱に入っていた。
相澤が一点の小銭と同時に投げた小銭だった。

少女の口元が引き締まる。
「お願いがあります」
「わたしの祖父…
 十五代目銭形平次に会ってくれませんか」

・第二話以降のストーリー

都内某所。
少女に連れられて来た相澤と越前は、
大きな屋敷の前で立ち止まる。
「スゲェ…」
銭形家十五代目当主、銭形平次の屋敷である。
スタスタと門をくぐる少女。
相澤と越前もあわててそれに続く。
庭に出ていた一人の老人が少女を迎える。
老人を祖父で銭形家の当主だと紹介する少女。
平次は連れて来た二人が何者かたずねる。
少女はまず相澤を紹介し、
「彼が私の旦那様になる予定の人です」
と言い放った。
面食らう相澤と越前。
それを見て平次が説明を始める。

銭形家次期当主である銭形愛は、
募金を元にしたスポーツ、
「スポーツ・ファンドライジング」振興の為、
実業家である金輪との縁談が決まっていた。
要するに一種の政略結婚である。

銭投げの技術を持つ銭形家と、
強い資本力を持つ金輪家が縁を結ぶことは、
両者が提携を行う為に必要だった。
しかし愛は金輪との縁談を断りたいという。
そこで銭形家の「後継」として
相澤を迎えたいらしい。

動揺して断る相澤。
合点がいった様子で愛に聞き返す平次。
「ならばお前が素質あり、
 と認めたということだな?」
返事をする愛。
状況を飲み込めない相澤。
「ならば」と平次。
「スポーツ・ファンドライジング全国大会に
 優勝して実力を知らしめたら問題無かろう」
驚く相澤と越前。
「実は…」と平次。
「愛とチームを組んでいた二人が、
 金輪の手の者によって怪我を負わされた。
 アレでは試合は無理じゃ」
次の試合は2週間後、
それまでに相澤と越前は、可能な限り
スポーツ・ファンドライジングを
上達しなければならない。
二人は特訓のため、
しばらく銭形家で暮らすことになる。

次の日。
相澤たちは電車でとなり町に向かっていた。
となり町には、愛が手伝いをしている
児童養護施設があるという。

児童養護施設。
全力で子供達に抱きつかれる愛。
顔色ひとつ変えずに、
子供達の相手をしてくると伝えて庭に走る愛。
「ホント懐いてるでしょう、ウチの子供達。
 職員が少ないからすごく助かってるわ」
と、施設長らしき女性が言う。
そこへ子供達がやってくる。
「おい相澤!愛ちゃんと
 スポファン優勝するってホント?」
あいまいに返事をする相澤。
「じゃあこれつかって!」
と言って女の子が差し出した大量の一円玉。
施設長によれば、
子供達が頑張って貯めたお金だと言う。
施設の子供たちは身寄りの無い貧しい子たちで、
また施設自体も、
資金不足で運営がうまくいっていないらしい。

そこへ車が着く音。続いてドアを閉める音。
「おや?一円玉なんか集めて
 おままごとでもするのかい?」
黒服の取り巻きに囲まれてあらわれたのは、
黒いガウンを着たサングラスの若い男。
金輪コンツェルンの金輪会長だ。
「ちがう!
 これはこころのこもったぼきんなの!」
口答えする女の子。
「いーや違う。
 そんな少額の小銭に心なんてこもらないよ。
 人にお金をあげる時は、
 高額であればあるほど気持ちが伝わるんだ」
そう言って金輪は手にした長財布を逆さにし、
地面にじゃらじゃらと五百円玉を落とした。
「心のこもったお金だ。拾ってもいいよ」
泣き出す女の子。
「てめぇふざけてんのか!小銭ぶつけんぞ!」
思わず怒鳴る相澤。
越前が子供達を避難させる。
「悪いけど僕は
 スポーツ・ファンドライジングの選手だよ。
 そういう冷やかしは間に合って…」
金輪の頬を一円玉がかすめる。
金輪の表情が冷ややかなものに変わる。
相澤が女の子の渡した瓶を抱いて、
その中の一円玉をつかんで構えていた。
「…1on1でもするかい?」
黒服が金輪と相澤の後ろに募金箱を置く。
「いいぜ、俺が勝ったら
 この子に土下座して謝れよ」
鼻で笑う金輪。
ホイッスルが鳴る。

左右に動いてゆさぶりをかける相澤。
金輪は頬を抑えて微動だにしない。
肩口を狙って一円玉を投げる相澤。
こともなげに手で払う金輪。
「僕が勝ったらお前が土下座するのか?」
長財布を取り出し構える金輪。
「供物の雨(オフェリング・レイン)!」
口の開いた長財布を上に向かって振る金輪。
飛び出したたくさんの五百円玉が
相澤に向かって降り注ぐ。
「うあああぁぁ!」
地面に叩きつけられ、無様に倒れる相澤。
「はい、一点」
金輪が歩いてきて箱に小銭を入れる。
「無駄な時間を過ごした。帰るぞ」
黒い高級車に乗って施設を去る金輪達。
「ちくしょう…」とうめく相澤。
暗転。

児童養護施設の建物の中。
相澤が愛に手当てを受けている。
いたた、とうめく相澤。
「スポファンの優勝者は、賞金の代わりに
 試合で集めた募金の送り先を決められるわ」
「私はこの施設に送ってもらうつもり。
 でも金輪は自社の関連会社に送るみたい」
愛が言う。
「それってもしかしてマネーロンダリング…」
「あなたと結婚するにも施設を再建するにも、
 私たちはかならず優勝しないといけないの」
「だから」
まっすぐに見つめる愛のアップ。
「頼むわよ。誰よりも強くなりましょう」
「わかった、よろしく頼むぜ、愛ちゃん」
相澤はサムズアップでそれに応えるのだった。

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