名刺代わりの小説10選
5年前に書いたものがあったので。
10選んだつもりが8を飛ばしてて9しかなかったのに今更気がついたけど当時の私そのままでいきます。許してください。
1.北村薫「空飛ぶ馬」
「日常の謎」はここからはじまったといわれる、短編ミステリーです。主人公の女子大生と、彼女が好きな落語家を中心に話が進みます。
主人公が本好きということもあり、随所に本が散りばめられた作品。もっと本が読みたくなる本です。
あとは言葉の使い方と、風景描写の色合いが好き。さらりと読めるけど、自分の中に残る言葉がある、おすすめの作品です。みんな読んで好きになろう!
「絵を見たり音楽をきいたりしたってさ、それで動かされるって結局、そこに自分を見つけるからじゃないのかなあ。小さい頃の自分を見つけて懐かしかったりする。今の自分を見ることだってある。それから未来の自分十年、二十年先の未来もあるだろうし、何万年先の未来もある。到底、手が届かない自分をさ、微かに感じたり、逆に生まれるずうっと、ずうっと前の自分を感じたり。そういうことを考えたら、人間って死ぬもんじゃないって気になるね」
このセリフがすごく好き。シリーズ4作目の「六の宮の姫君」にでてくる主人公の友達のセリフです。
2.有栖川有栖「孤島パズル」
こちらは長編の本格ミステリーです。ちゃんと読者への挑戦もあります。
有栖川有栖さんには、「作家アリスシリーズ」と「学生アリスシリーズ」がありますが、わたしは学生のほうが好き。特に2作目以降。
すごく細やかな伏線のはられた作品です本格ミステリーといってもとっつきにくいわけではなく、登場人物の会話のテンポがいいのですらすら読めます。あと京都弁です。テンポがほんといい。
魅力は、なんといっても探偵がかっこいいこと。江神さんといいますが、ほんとうにすてきな方です。
探偵というと、偉そうというか、謎解けるおれすげー、みたいなところがある方多い気がしますが(偏見)江神さんはそうじゃない。できれば謎なんて解きたくないけど、巻き込まれた以上、事件を最善な結末に導くために苦悩しながら謎を解いてる感じが好きです。犯人の気持ちも思いやってる感じが好き。
あとは、書評か解説で書かれていた気がしますが、小さなエピソードから登場人物の性格を描写するのがうまいと思います(←えらそう)
登場人物のことがすごく好きになる作品です。分厚いですが、ぜひ読んでみてほしい。
3.赤城毅「書物狩人」
古書と歴史をめぐるミステリーです。短編が基本ですが長編もあります。主人公がとっても魅力的。あのラスボス臭が好き。
世界史を受けていた人なら懐かしいワードがたくさくでてきます。歴史好きの人にオススメ。そうじゃない人も、好きになれる作品だと思えます。ほんとに主人公が好き。
ただ完結してしまったのが残念なところ。でも、シャーロックホームズとモリアーティ教授みたいな感じで復活してくれることを願ってます。
4.岡田淳「こそあどの森シリーズ」
児童書ですがほんとに好きなシリーズ
登場人物のキャラがしっかりしててユニークでおもしろい。独特の世界観とちょっと不思議なストーリーにはまる。絵も話も両方書いてるのがすごいな、と思います。各本一枚だけあるカラーイラストの色使いと、そのイラストをつかうタイミングがうまい(←えらそう)。
児童書だけど、児童書だからこそさらりと読めるのでぜひ読んでください。
児童書だから、分かりやすい話も、大学生になって読んだからこそ好きになった深い話もある。できるなら子供の時読んで、おとなになってからまた読み直して欲しい作品。
5.伊坂幸太郎「オー!ファーザー」
伊坂さんの淡々とした感じとはりめぐらされた伏線はすごく好き。一度目は続きが気になってざーって読んで、二度目以降で伏線に気がついて感動する。
設定がすばらしい話だと思うのです。
映画化もされたらしいのでぜひ見たい。最後にしあわせになるミステリーが好きです。
6.ダニエル・キイス「アルジャーノンに花束を」
ドラマ化されてるっぽいけどぜひ原作を読んでほしい
訳がすごい。和訳が本当にうまい。原文を読んだわけじゃないがそれがわかる。ほんとに訳がすばらしい。そして悲しいけど綺麗な話、知能と心と人、それについて考えさせられる。
どの話も結局はここに集約できるきがするが、幸せとは何かってことだよな〜…
古めだけどおすすめです。
読む前まではアルジャーノンは女性だと思ってたのは内緒。
7.柴村仁「セイジャの式日」
プシュケの涙からはじまるシリーズの3作目。悲しいけれど綺麗な話。
柴村仁さんは、人の会話が好き。学生らしいやりとりも、シリアスなシーンのやりとりもリアル。
柴村さんの話は残る言葉があるから好きなのです。あとは、イラストも世界観にすごくあってると思う。おすすめ。個人的にはハルさんが好きだけど、一番好きなのはAちゃんの短編。女はこわいけど強いと思った。
9.梨木香歩「村田エフェンディ滞土録」
正直梨木さんはこれと西の魔女が死んだしか読んでないけど、私は村田エフェンディのが好き。現実なんだけど、ちょっと浮世離れした不思議な感じが好き。トルコが舞台ということもあり、ほんの少し信仰や神様についても考えさせられます。
鸚鵡がほんとにいい役目をはたしている作品。
「人が全てを注視するなど、所詮不可能なのだ。何かは見落とすものだ。」など、名言も多い作品。
10.ジェフリー・ディーヴァー「ボーン・コレクター」
計算しつくされたミステリーをかく作者さんです。ほんとにどんでん返しにつぐどんでん返しで、作者の掌の上を転がされまくります。
主人公とヒロインのキャラクターも好き。脇役もいいキャラです。人をしっかり人として書いてる気がします。変な言い方だけど。
分厚い長編が何冊も出てるのでたっぷり楽しめます。お時間ある時にぜひ!