仕事のつらさと漫画の話

仕事をしていると、つらいことはたくさんあるが、私が一番耐えられないのは、『この仕事をすることが本当に、世の為人の為、目の前の相手のためになるのだろうか』と、信念が揺らぐことである。

塾の講師をしていたとき、いい成績をおさめていい学校に進学することがその子のためになるとわかっていても、『無理矢理塾に行かされている子』を指導するのは結構しんどかった。自分のスキル不足でもあるのだが、試験のテクニックを詰め込むだけで、勉強の面白さを伝えられているわけじゃない、そう思うこともつらかった。

『これって悪くすると法律に反するし、制度が破綻したら詐欺になるんじゃないの?』ということをやっている会社に入ってしまったこともあったが、すぐに辞めた。会社をすぐに辞めるということが自分の経歴に傷をつけるとわかっていても、辞めた。

今の仕事はその点、100パーセントではないけれど、『相手のためになっている』と思える。

だから、政治家なんかが、私利私欲の為に業者と癒着するだとか、必要のない工事をするだとか、必要のない戦闘機を買うだとか、そういうことをやっているのを見ると、『心が痛まないんですか?』と思う。

痛まないんだろうなあ。
痛まないから、できるんだろうなあ。
それか、心の痛みを紛らわせるほどのお金が入ってくるんだろうなあ。

書いていて思ったけど、私が思っていることって、わりと『るろうに剣心』の剣心が思っていたことと近いかもしれない。
剣心も、最初は世の為と思って人を斬っていたけど、だんだんしんどくなって、逆刃刀で『目に映る人々』を守る日々を求めたんじゃなかったっけ?違ったっけ?
『るろ剣』があれだけ人気を集めた理由は、漫画としての完成度が高かったからということの他に、そういう点に共感した人が多かったからかもしれないな。昔は、剣心かっこいー宗次郎かっこいーというだけで、そこまで考えなかったけれども…。

入院中、しこしこと、主人が差し入れてくれた『ベルサイユのばら』を読んでいるのであるが、オスカルが"王宮の飾り人形"の近衛兵であることに疑問をもち、フランス衛兵隊に移って苦労を重ね、最終的に革命をすすめる市民らに味方してバスティーユを陥落させる過程が非常に面白かった。これも昔はオスカルかっこいーポリニャック夫人最低ーとしか思っていなかった。

とはいえ色んな事情で自分の思う仕事に就けない人も多いだろう世の中だが…。

せめて政治家には良心を持ってもらいたいですね、と思う。英語の民間試験導入は、一体誰のためなんですか。延期になってよかったけど、問題が先送りされただけのようにも感じる。消費税の増税は、一体誰のためなんですか。
どうもそういう、誰のためにやっている政治なのかということが、最近、増えたんじゃないかな。