中心静脈カテーテルと車椅子の話〜或いは苦難の一日〜

10/7の妊婦健診の際に緊急入院となって、一ヶ月半が経った。
先週からは、某大学病院のMFICU(母体・胎児集中治療室)にいる。
大学病院がいかに面白い場所かは、また別のページで書く。

転院してすぐ、中心静脈カテーテルの手術を受けた。
これは、私の血管が細く弱く、点滴が刺しにくい・すぐ漏れるため、長期にわたる24時間点滴に耐えられるように、私の点滴刺しかえの負担を減らすために、という理由での手術であった、のだが…。

手術といっても簡単なものだということで、これまでの2回のシロッカー手術とは異なり、絶飲食も、家族の同席も必要なかった。スッポンポンになる必要もなかった。
緊張はしていたが、5〜10分で終わりますよ、と言われ、安心していた。
左上腕に、局所麻酔をされる。

…聞こえてきた会話。

『抵抗あるな…』
『妊婦って造影剤微妙ですよね…』
『解剖学的な変異があるのかも…』
『メンタルが…』
『無理に突破しないで、詰まったら反対側で…』

どうも、手術が難航している様子。え、ここまできてメンタルが問題になる?(⌒-⌒; )前よりは落ち着いてますけど…。

結局だいぶ時間がかかった。
手術後に受けた説明によると、『本当はもっと奥の方まで入れたかったけど途中までしか入らなかった』ということらしい。

それでも一応手術は成功しましたということで、部屋に帰されたが、帰ってから、カテーテル侵入部からどんどん血が溢れてきた。透明なテープを貼られているので、服が汚れるようなことはないけれど、かなり怖い。新しいテープを取りに行った看護師さんがなかなか戻ってこない。
ようやくテープが届いて、血液汚染部をきれいにし終わった頃には、とても疲れてしまっていた。昼食が運ばれてきたが、食べる気もせずウトウトしていた。

40分くらいして目が覚めて、ああ、食べなきゃ、と起きようとしたのだが…。

寝ぼけてベッドのギャッチアップをしたら、ベッド柵がテーブルに引っかかり、押してしまった。
ガシャン!
手付かずの昼食は全部派手に落ちていった。

さすがに泣いた。

看護師さん達に平謝りに謝った。

幸い、車椅子で院内の売店に連れて行ってくれるとのことだったので、行ったのだが、これがまた難儀だった。

そもそも髪もボサボサだし適当な寝巻きを着ているので、売店のような人が沢山いるところに出て行くのはなかなか抵抗がある。シャワーももう10日くらい入っていない。

加えて、車椅子を押してくれたスタッフさんが、どうも車椅子の操作に慣れていないらしく…同行してくれた看護師さんが、いちいち、斜面はこうやっておりて、そこ気をつけて、と声をかけていて、ぶっちゃけ超怖い。

怖さと恥ずかしさ。

私は思った。

仕事で、こんな風に、車椅子を押して利用者さんと一緒にコンビニまで行ったことがよくあったけど、あれこんなに怖くて恥ずかしかったんだな。
私はちゃんと介助できてたのかな。

それでも、絶対安静の身には約一ヶ月ぶりのコンビニはきらきらして見えた。コンビニが、USJのお土産物屋さんみたいに思えた。

本当はいろいろ見たかったのだけれど、時間がかかっては迷惑だろうと思い、入院前によく食べていたパスタを買った。入院してから、あんなに食べたいと思っていたコンビニのパスタと、まさかこんな形で対面するとは思わなかった。

その後も中心静脈カテーテルは何度か血液漏れを起こした。

看護師さん曰く、途中までしか入っていなくて、アソビが大きいから、カテーテルが動くと血液が漏れてしまうのだろうということだった。ガッデム。
カテーテルが入っていると長袖も着られないし、一日二回詰まり防止の生理食塩水を流さないといけないし、数日ごとにペリペリとテープを剥がして(これがまた痛い)消毒しないといけないし、え?患者の負担を軽減するための処置じゃなかったの?むしろ負担増えてない?という感じ。

来世は血管太く生まれつきたい。