見出し画像

大発生した雪虫の卵の守り方がとんでもない方法だということを知っていますか?

今年は全国のニュースでも話題になりましたが、北海道では雪虫が大量発生しました。正確には大量発生したのは体に白い綿毛ある「トドノネオオワタムシ」ではなく、白い綿毛がない同じグループに属する「ケヤキフシアブラムシ」です。この記事では総称して雪虫と呼ぶことにします。

僕が住んでいる札幌でも、大量の雪虫が飛び回り、場所によっては前を向いて歩けない(目などに入るのを防ぐため)状態でしたが、そんな雪虫の一生のサイクルを知っていますか?道民でも結構知らない人が多いと思いますが、この虫は子孫を残すためにすごいことをやります。

春にケヤキの樹皮などにある卵から孵化した幼虫は、ケヤキの新葉へ向かい、葉の裏側から汁を吸い、その刺激で葉の表面にできたコブの中で過ごしつつ増殖します。

その後、6月くらいになるとコブの中から羽の生えた状態で飛び出し、次はケヤキからササなどの根本に寄生して、そこでも再び増殖します。ちなみに、今年の北海道は真夏日が異常なほど多く、その高気温がここでの増殖のサイクルに拍車をかけたため、大量発生の原因となりました。

ササなどで増殖を繰り返した雪虫は、秋になると再びケヤキの木へ向かい、樹皮に卵を産みに行くんですが、この方法がすごいんです。

体の中に卵を抱えた成虫は、樹皮にたどり着くと卵を植え付けず、樹皮にくっついたまま息絶え、自分の体皮で卵を守り、そのまま卵は越冬します。

春になり体皮が朽ち果て、卵から幼虫が誕生すると、再び新葉へ向かうというサイクルです。

自然界には自分の命を使って卵を守る生物がいますが、あんな小さい雪虫も、実はそんな方法で子孫を守り続けているすごいやつなんです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?