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才能と人間味あふれる“やかましい”表現者「わいわい」さん ゲーム実況鑑賞 #9

2009年にゲーム実況を始めて十数年。通称「おいたん」として親しまれ、雑談だけで5,6時間配信も余裕のトークスキルを持ち、エンターテイメント性に満ち溢れた動画を制作。独自のポジションを築く実況者さんのお一人です。
時々無性に笑いのツボにはまって抜け出せなくなるような動画がたくさんあり、次にこのコーナーで紹介するのは、絶対わいわいさんにしようと決めていました。
とはいえ、よくも悪くもとにかくその愛すべき「やかましさ」に定評のあるわいわいさんの魅力を初見の人にも伝えていくのは、とても難しい、難しいんだけど、やってみたい!と思って書いてみました。

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なお、この動画は下記に留意いただいた上で、私が最大限のリスペクトを込めてゲーム実況者の方々を紹介するnoteです。

・ピックアップする実況者の方の対象は動画を50本以上/3シリーズ以上視聴した方(まだまだこれから面白い人や動画を発見していくことは間違いない)
・超主観(アラサー女性視点/ゲームタイトルのほとんどを未プレイ)
・Youtubeで今見られる動画限定(ニコニコでの活動などは含まない)
・あくまで動画自体の紹介(実況者さんご自身のプロフィールなどには深入りしない)

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私がこれ最高だった!という感覚を大切にしながら、動画を紹介することで、わいわいさんの魅力に迫りたいと思います。

1)企画とトークと編集力で魅せる「わいわい劇場」

まずお伝えしたいのは、わいわいさんのゲーム実況はゲーム実況の域を超えたエンタメコンテンツ化しているということです。
ゲームタイトルは彼が運営する「わいわい劇場」の素材の1つでしかないというか。

だから逆にストーリーをじっくり味わいたいという方には向かないかもしれないのですが、わいわいさんを主人公として少し違った角度からゲームを楽しみたいという方にはぴったりです。

それがよく伝わるかはわからないんですが、好きすぎて何度も見てしまっている動画がこの、保母さん的な女性が旅先で行方のわからなくなった子供たちを集めていくゲームの実況です。

なんでこんなに面白いのか考えてみたのですが、

  • そもそもこのゲーム何?っていう掘り出し物感(有名実況者さんほとんど扱ってない。調べたらスウェーデンの職業訓練校の生徒9人が7週間かけて作ったゲームらしいですよ。)

  • 子どもに話しかけるときのわいわいさんの優しい声色と話している内容のギャップ(わいわいさん、子供や犬猫小動物が出てくるとだいたいこのテンションになるんだけど、耳だけでも楽しい。)

  • 調子にのったわいわいさんが幼児を投げまくったら謎の大パニックが起きる奇跡的なシーン(そのシーンで焦ったわいわいさんの反応も含めもうこのシーンは何回見ても笑える)

要は、わいわいさんならではの実況スタイルに作品がぴったりかみ合っているとこんなにすばらしくなる!という話です。

長編シリーズで私が好きなのは「天穂のサクナヒメ」。

このゲームは、戦うことと同じくらい、いやむしろそれ以上に稲作をすることが重要な役割を担う和テイストのRPGなのですが、わいわいさんの企画力と編集力がいかんなく発揮されています。

まず素敵なのは冒頭に入る前口上パート。ここまでのあらすじを説明し、今回の動画のテーマ設定をしてから本編に入るという流れがとても丁寧でわかりやすい。しかもその冒頭の説明時の背景には、前回のシーンを回想的に入れてくれているんですが、その編集の仕方はまるで海外ドラマのようなハイクオリティです。

本編に入ってからも、会話をすべて読み上げ、何が起きたのかを口頭で補足しながらも、テーマ的に不要と思われるバトルシーンなどは大胆にカットして、30分から40分程度の尺に収めています。ここまでしなくても…と思うほど行き届いていて、その結果、本当に見やすくておもしろいのです。

2)クリエイティビティに驚愕!「いろいろつくってみる」系ゲームは必見

もうね、まずはこれを見てほしいんです。

実際にキャンバスに自分で自由にいくつも絵を描き、その絵によってストーリーが変化するアドベンチャーゲームなんですが、その絵がめちゃくちゃうまい、だけでなくネタとしてもおもしろい。
シリーズ最後にここまで描いてきた全作品がギャラリー的なスペースに並ぶシーンがあるんですが、これがまた壮観で。
トークスキルだけでなくこんな才能もあるんだ!ということに大変驚かされました。

そして、わいわいさん、立体もいけます
このBeseigeというゲームは自ら兵器的な装置を作って各ステージで巨大な要塞や平和な村落をぶっ壊したりするゲームです。わいわいさんは2年前にこのシリーズを途中まで実況済みで、アップデートしたのでもう一回最初からやってみようとなったのでタイトルに「帰ってきた」がついています。

2度目だし普通にやったらつまんない実況になるよね、といって自らハードルを上げ、常人では思いつかないようなマシンを構築、試行錯誤を重ねていくんですが、面白すぎてもう。
収録時間が毎度膨大なようで、その編集もかなり凝っていて、こんなことはたぶんわいわいさんにしかできるはずないと断言できる仕上がりです。

わいわいさんはこのほかにも陶芸や海賊船、遊園地のアトラクションなどさまざまな創作にチャレンジするのですが、どれをとっても定石通りの進め方をしないし、生み出すものの質が高くて、次はどんなものをつくってくれるんだろうってわくわくが止まりません(笑いも止まりません)。

また作っているときのわいわいさんの無邪気に楽しそうな感じ(そして時にアイディアが沸かずに苦しそうな感じ)も見ていて癒されます。

そういえば、何かつくってみる系の動画に限らず、ここまで紹介してきた動画すべてにおいて、サムネイルのつくりこみにもわいわいさんのクリエイティビティは反映されていますので動画一覧を眺めるだけでもセンスの高さがうかがえるかと思います。

3)視聴者とのコラボレーションがさらにコンテンツのクオリティを向上

わいわいさんは本人もすごいですが視聴者の方々もすごいんですよね。

どういうことかというと、このnoteで紹介するのは編集されたゲーム実況動画が中心ですが、ゲームや雑談の生配信も(時期によって偏りはあるものの)積極的に行っていて、そういった取り組みを経ての、視聴者との息の合ったかけあいが実況のさらなる面白さにつながっていると感じます。

動画コメント欄でみんなの意見を聞くようなこともたびたび行っており、中でもそのやりとりがラジオ的に面白いシリーズとして取り上げたいのがこちらです。

動画自体はサムネイルの通り、「新オヤジリウム」という、さまざまな種類のオヤジを育成してコレクションしていく、いわゆる放置ゲーです。
このゲーム自体も意味不明で最高なのですが、この動画では、わいわいさんが視聴者のコメントをどんどん拾ってお返事していくスタイルで進行しており、その内容がとても微笑ましくて好きです。
生配信でもないのに、こんなにコメントに反応してくれるのはきっと投稿した視聴者の方もうれしいのではないでしょうか。

そしてそんなやりとりが極まってついに視聴者がつくったゲームをやることになるのがこちらです。

絵が下手な人が描いたというよりは、あえて下手に描いたみたいな味のある感じがかわいらしく、そしてその見た目とは裏腹に、セーブポイントなし、初見殺し盛りだくさんの鬼畜ゲームとなっています。「二人の天才が渋滞している笑」というコメントもありましたが、まさに。謎の展開に笑いながらも大苦戦するわいわいさんが面白くて最高です。

さらに、これはゲーム実況とはまったく関係ないのでオマケですが、案件として視聴者から枕の宣伝を頼まれて、本格的なショートムービーをつくってしまっていて、そのクオリティが思いのほか高くて感動します。

これだけ視聴者から愛され、良いコラボレーションができているのは、わいわいさんの人柄ゆえなんだろうなと思います。

4)喜びも苦しみも実況とともに。生きざまあふれる作品たち

ゲームプレイと生きざま。
この二つが絶妙に溶け合っているのがわいわいさんのゲーム実況の妙なのでは、とずっと思っていました。最後の項目にまわしていますが、実は何よりも書きたかったわいさいさんの魅力です。

初見の人にオススメできるようなゲーム実況ではないかもしれないのですが、実は私が最初にわいわいさんに夢中になった動画はこの「RAIN WORLD」というゲームでした

「RAIN WORLD」はわいわいさんが「なめたん」と名付ける、食物連鎖の底辺にいるような弱い生き物を操作して、マップを探索、家族を探す鬼畜ゲームです。実はわいわいさん、難易度が高すぎて、先が見えなくて、一度このゲームを投げ出します。#4での出来事なのですが、投げ出す瞬間の切羽詰まったところまでしっかり収録されていて、当時は見ていて非常にハラハラさせられました。
そして次は数日後にと告知した後、なかなか手がつけられず、1年後にようやくチャレンジするんです。1年たってからの#5では「投げ出しぐせを断ち切りたい」と語り、再び頑張り、#9でエンディングについにたどり着いたときにはとても胸打たれました。

まるで、その過程の全てが一つのメタな作品のようでした。

つまりわいわいさん、ただ面白いだけじゃないんです。めっちゃがんばるんです。
そのがんばる姿がなんとも素敵だし、そのがんばるプロセスにおける情けない姿もさらけ出すところに親しみが持てるんです。

鬼畜ゲームをがんばるわいわいさんの動画の中で1番人を選ばずオススメかなと思うのはこの「Stilt Fella」というゲームではないかと思っています。サムネにもあるとおり竹馬を操作していくつものステージをクリアする鬼畜ゲームです。

このゲーム、ほかの人のでも見たことがあるのですが、とにかく難しい。一歩前に踏み出すだけで一苦労、みたいな操作性の悪さ。にもかかわらず、わいわいさんは何時間もかけてこのゲームの膨大なステージを心折れずにクリアしていきます。少しずつプレイスキルが向上して、気付けば神業をいくつも繰り出すほどの腕前になっていくのにもドラマを感じます

わいわいさんはゲーム実況動画を制作すること自体においても、独自のハードルがあって、十分な撮れ高になるまで何時間も収録するし、自分が面白いと思わなければすぐ没にします。効率とは真逆、です。

こちらはそんな没にしたゲーム実況動画を集めたものです。見てみると、実況動画として形にするのって難しいんだなーと改めて思わされるし、こういった形でまとめると、見ていて楽しいものに昇華できるんだなーと、その一工夫が大事だなと感じます。

まとめ)やかましさも、不器用さも、そのすべてが詰まっているからこそ珠玉の逸品が生まれる

わいわいさんは、一見するとどーんと構えたおおらかなキャラクターに見えるのですが実はとても繊細な方。動画一本にもクリエイティビティとホスピタリティをしっかり込めているからこそ、時にプライベートであった出来事に落ち込んだり、スランプに陥ったりして、長く動画を公開できない日々が続くことがあります。

わいわいさんはそういう状況にあることをその都度報告して、視聴者と密にコミュニケーションをとることを大切にしています。

そうした様子を見ていると、苦労している部分やプライベートを決して見せないプロフェッショナリズムもあれば、こうしてすべてさらけ出していく誠実さもあるんだよなーとゲーム実況のスタイルの奥深さを感じます。

それはプライベートを知っているから、ファン視点で動画が面白くなるということではなくて、その弱点にも思える部分も込みで動画の旨味が増すような感覚です。そんなわいわいさんだからこそこれからどんな作品が生み出されるのかとても楽しみです。

最後に、ゲーム実況ではないんですけど、わいわいさんの雑談が信じられないくらい面白くて、37:52 ミッフィーの映画の話】が大好きなので、知らない人にはぜひきいてほしいなと思いまして。今年本人がついに切り抜きをまとめた雑談傑作選をはりつけさせていただきます(笑)。こんなに映画のあらすじを面白く話せる人いるんでしょうか。

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