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小説家の読解力と妄想力が注ぎ込まれた最高の癒しコンテンツ「鉄塔(三人称)」さん ゲーム実況鑑賞 #6

鉄塔さんは三人称という3人グループで活動されているメンバーの1人。2bro.の方々もそうですが、個人でも実況をあげていて三者三様に面白いのですが、特に今回は私が沼のようにどっぷりハマってしまった鉄塔さんです!
3人の時の面白さ、2人の時の面白さ、1人の時の面白さ、それぞれの実況の楽しみ方についても考察していきたいと思っています。

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なお、この動画は下記に留意いただいた上で、私が最大限のリスペクトを込めてゲーム実況者の方々を紹介するnoteです。

・ピックアップする実況者の方の対象は動画を50本以上/3シリーズ以上視聴した方(まだまだこれから面白い人や動画を発見していくことは間違いない)
・超主観(アラサー女性視点/ゲームタイトルのほとんどを未プレイ)
・Youtubeで今見られる動画限定(ニコニコでの活動などは含まない)
・あくまで動画自体の紹介(実況者さんご自身のプロフィールなどには深入りしない)

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今回も動画を交えて、すてきなポイントを見ていきましょう。

1)小説家ならではの妄想力と読解力に魅せられる

謎の多いゲームってあるじゃないですか。
エンディングに考察の余地が残されているような、悪く言えばすっきりしない、よく言えば主体的な解釈で没入できるゲーム。
昨今、ナラティブゲームという概念があるくらい、世界的にそういったジャンルのゲームは人気が高いのですが、実況で見る場合はその方がゲームをどう解釈するかというのが、実況の面白さを左右するんですよね。

私が最初に鉄塔さんのソロ実況シリーズを最後まで見てこれはすごいものみた!と鳥肌が立ったのはそんなゲームの一つ「moon」をみた時のことです。

1997年にアンチRPGとして、界隈を震撼させて、以来販売終了後もプレミア価格で取引されていたのがこの「moon」。
2021年にSwitchで復刻したことから、鉄塔さんがプレイしています。

王道RPGの主人公の後ろを追いかける少年が、主人公が“無慈悲に殺した”モンスターをラブの力で救っていく、戦闘不要なゲームスタイルを基軸にストーリーが展開します。
鉄塔さんがどうやって助けたらいいのか?を推理して試行錯誤しつつも抜群の推理力で謎を解いていく様子も非常に面白いのですが、#10でエンディングをみた後に、図解しながらこれは何が言いたい作品なのかを整理して考察するパートがありまして。
それが、他では味わえないアハ体験的な腑に落ちる感覚に満ち満ちていたことから、この方の動画をもっともっと見てみたい!と思ったことを覚えています。

もう一つ、考察力に舌を巻いた作品がこの「Twelve Minutes」です。

12分を何度もループしながら、幸せの絶頂から突き落とされるように警官に急襲される謎の出来事の真相を探っていきます。

ただ、このゲームはハッピーエンドではないのです。一瞬ハッピーエンドを匂わせた後に、とんでもないドンデン返しが起こり、気持ちの整理がつかないまま、突然にエンディングが訪れます。でもだからこそ、ゲームという媒体特性を活かした表現を拡張するような神ゲーなのです。

その良さを説明するレビューも参考までに貼っておきますね。

この神ゲーを味わい尽くすにはゲームへの深い理解が求められますが、自分1人では見落としも多くなかなか難しい。鉄塔さんの実況は、そんな、このまま終わったら不完全燃焼だ!というところに入る、こういうことだったんじゃないか解説がすばらしいのです。

鉄塔さんはゲーム実況者でありながら、小説やエッセイを執筆されています。それゆえに、物語の構造を作り手視点で紐解くスキルに長けており、考察の材料を普通の人が見落とすような細かいところから見つけてきます。

こうした自分でプレイすることによる体験とはまた違った質の体験ができるのがゲーム実況の楽しみの一つです。
鉄塔さんの解釈を聞いてからプレイしている部分を最初から見直すと、さらにゲームの面白さが一段上がる感覚があります。

2)タイプ相性表を自作し、ピカチュウの可愛さに身悶え。「あの頃」のポケモンの楽しみ方。

本格的に鉄塔さん沼に溺れてしまった感覚があったのは実はポケモンでした。

以前に紹介したポケモン界のトップ実況者ライバロリさんがポケモンコンテンツを楽しみつくすプロとすれば、鉄塔さんは、ポケモンというゲームと出逢った「あの頃」に帰って、「こんなふうに楽しめたら最高」をやり尽くす、「見た目はおじさん、心は少年(でも人生経験はおじさん)」の純粋なプレイヤーです。

まず、このポケットモンスターLet's goピカチュウ。

実は鉄塔さん、ポケモンタイトルはプレイ未経験。アラフォーにしてこのゲームからポケモン初挑戦だそうで。

私はポケモンに限ってはプレイするのも大好きなので、実況者の方にも楽しんでいただけたら、という思いがあります。

冒頭からピカチュウのあまりのかわいさに蒸せて言葉を失う鉄塔さん。
その後も新ポケモンを見るたびに喜びや驚きの声をあげる姿をみて、これはハマってくれそう、とわくわくしました。

気付けば配信でもないのに3時間近い動画をアップロードするのが当たり前になるほど、鉄塔さんはポケモンにのめりこんでいきます。

ただのめり込んでいるからいい、というだけでなく、鉄塔さんのプレイスタイルが魅力的で長尺動画も一瞬に感じられます。
具体的にこういう点がすばらしいと思ったところをいくつか挙げてみます。

【鉄塔さんのポケモンプレイの素敵なところ】
・初めて出会ったポケモンには全部ニックネームをつける(そこに詰まった鉄塔さんの人生の軌跡がまたいとをかし)
・なるべく全種類のポケモンのレベルを上げて1匹1匹にメインストーリーの戦闘で活躍シーンをつくる
・相性表はカンニングせず自作する(結構間違えて大苦戦に陥る)
・強さに紐づく「性格」や「能力」は敢えて見ない(ポケモンとの一期一会の出逢いを大切に)
・道端の戦闘相手の名前を毎回ちゃんと呼び、都度セリフにツッコミを入れていく
・ピカチュウを溺愛し、ピカチュウの服にたくさんお金使っちゃう
・ポケモン愛が高まった挙句、最高のエンドロール自作しちゃう

何より素晴らしいのはこうしたプレイを経てポケモンという大きな物語の中に鉄塔さんは小さな物語をたくさん創作していくところです。

特に印象的だったのはシオンタウンで親を探すカラカラを助けにいくイベント。道中で捕まえたカラカラ(途中で進化してガラガラになる)にイベント最後の戦いに挑ませて、勝たせてあげることで敵討ちのような展開をつくります。その後、そのガラガラが強くなって活躍していくのをみて「強くなったなー」と声をかけてあげる鉄塔さん。
それはもう、立派なカラカラ成長譚で、見ているこちらはほわんと温かい気持ちになります。

そしてポケモンにどっぷりハマった鉄塔さんはその後、発売するソードシールド、ポケモンスナップ、ダイヤモンド・パールを実況していきます。

ソードシールドは、ピカチュウ版と比べ物にならない量のポケモンが出てくるのですが、それでも、なるべく前回同様全ポケモンレベル上げ&ニックネーム付けを続けます。

これまでよりも技の使い方が洗練されていったり、相変わらずタイプ相性間違えて苦境に立たされたり、その全てが引き続き中毒性のある面白さです。
こちらもぜひみていただきたいです。

ポケモンガチ勢のストーリー実況はとにかく早く終わらせて育成して対戦していくことに重きが置かれがち(それはそれでおもしろいけど)なので、ネタバレなしで純粋にストーリーやポケモンたちとの出会いを楽しむ実況は逆に新鮮なのです。

ポケモンやったことないけど面白いの?と思ってる方に是非これ見て!とオススメしたいポケモン実況動画No.1になりました。

3)友達同士で集まってゲームしてるくらいの「ゆるさ」に癒される

鉄塔さんのソロ実況のすばらしさもまだまだ語り足りないのですが、この項目では三人称3人でのグループ実況の楽しみにも触れていきます。

グループ実況にもいろいろありますが、この3人の特長はなんといっても、仲の良い友達同士で放課後集まってゲームしてるみたいな心地よい「ゆるさ」です。

相性が良いゲームは、難易度はそこそこで自由度の高いアクションゲームやサバイバルゲーム。
特にこの3人の組み合わせの良さが最大限発揮されていると感じた最近のシリーズは、幾たびもサメに襲われながら、漂流するイカダでサバイバルする「RAFT」です。

何か明確な目的に突き進んでいくわけでもなく、凝った建築をするわけでもなく、3人の役割分担が明確なわけでもない。みんながやりたいことをやりたいようにやって、仲良くまったり漂流生活を楽しみます。その力の抜けた感じが、ストイックな日々に疲れて、ぼーっと眺めるYouTubeコンテンツとしてはちょうどいいのです。

ただ、もちろん何も考えずに、だらだら実況していてもこの心地よいゆるさはつくれないと思うのです。
たとえば3人での会話のリズムが秀逸なのは三人称としてずっとラジオをし続けていることが大きいかもしれません。誰かひとりがずっとしゃべっているというわけではなく同じくらいの量で話せて、それぞれが他の2人の面白いところを自然に引き出す会話ができるんです。

また、生配信も数多く投稿される三人称ですが、編集してあげる動画では、視聴者のことをしっかり配慮し、退屈しないように丁寧な編集が施されています。

さて、三人称チャンネルを見るとわかりますが、三人称としてずっとやってきているゲームといえば、マインクラフトです。
実は私はまだあまりマイクラの動画は観られておらず、魅力を語れる立場にないのですが、その上でやっぱり触れておきたい。

何から手を付ければいいか?と思う人もいるのではと思いますが、マイクラのゲームルールを深く知らない人でも、三人称のマイクラ実況が楽しいのがよくわかるのがこの「マイクラ肝試し2020」だと思います。

他の実況者の方がつくった肝試しステージに三人称が挑むシリーズなのですが、次々と制作者さんたちがつくった罠にはまって大騒ぎする三人称の様子は本当におもしろい。ボケようとしているのではなく、一生懸命プレイしているだけなのに、そのポンコツさとリアクションの独特さがお笑い芸人のコント番組みたいに秀逸なのです。

比較してほしいわけではないのですが、運営視点側でも動画があがっていて、他のチャレンジャーの動画も見られるので、いかに三人称がテンポよく仕掛けに引っ掛かって大騒ぎしているかがわかります。

そんな3人のゆるい空気の流れるコンテンツは膨大で、ほっと一息つきたくなったら見たい動画は尽きることはなさそうで安心です。

4)二人になったときのわちゃわちゃ感と持ち味の相乗効果にも注目

他のソロ実況者の方もよくコラボして2人での実況をあげています。2人実況だと、コラボ相手に応じて、ソロの時とは違った強みが発揮されやすくなります。
加えてこれはグループ実況と共通ですが、ソロよりも実況がゲームプレイに及ぼす影響力が高まり、2人の関係性によって、動画の雰囲気がより魅力的に変化する可能性を秘めていると思っています。

鉄塔さんの場合は、同じく三人称のぺちゃんこさんとの実況が、得意分野や考え方の違いによる相乗効果がすばらしいことが伝わりやすいと思ったのでご紹介します!

特に最近、これはいい!と思ったのが「Toodee and Topdee」というパズルゲームでした。
2D担当と3D担当に分かれて2Pでプレイするのですが、2Dはアクションゲームスキルが問われ、3Dはパズルの謎解き要素が強いので、アクションゲーム得意なぺちゃんこさんと謎解きで解決できるパズルが得意な鉄塔さんの役割分担がきれいにはまります。

このnote投稿直前にあがった動画ですが、実況界隈ではよくとりあげられる、「みんなで空気読み。」では、2人がなぜこんな素敵な雰囲気を醸し出せるのが、端的によくわかります。

つまりどういうことかというと、このゲームって敢えてお互いに空気をよまずにふざけあうのが定番のプレイなんですが、この2人は3戦全部、超まじめで超楽しそう
ちゃんと空気を読もうと必死なのに、結果が微妙だったり、予期せぬトラブルが起きたりして、どうしてこうなっちゃうのーと笑える、その展開が三人称らしいのです。

ロボットを組み立てる空気読みで、2人ともテンション爆上がりして「ガシーーンガシーン」と効果音を叫びながらわちゃわちゃしているのも少年の心を忘れていない感じが最高です。(私と年齢はそう変わらないけれども)おじさんたちが仲良しで無邪気なのってなんでみてるの楽しいんだろう。私が変なのかな。

まとめ)勘所をおさえた「ゆるさ」があるからずっと観たくなる

YouTubeって何かしながらみることが多いので、あまり気合を入れて向き合っていると面白くてもずっとはみていられない。

三人称の動画はそういうときにちょうどいい。本当にラジオみたいな感じです。マインクラフトでも全然壮大なことしないし、鉄塔さんはアクションもホラーも割とてんぱってすぐポンコツになっちゃう。それがいい。

相性の良いゲームを見つけてそれを自分にあったスタイルで無理せず実況すること、それにより他の人にはつくれない世界を創れることが動画の面白さを左右するなーと三人称をみていると感じます。

そして中でも鉄塔さんがゲームのストーリーに完全にのめりこんで夢中になり、一生懸命プレイし、理解しようとがんばっている様子は、みていても楽しくて、みているだけじゃなくて私もやってみたい!と思うのです。

実際、他の方の実況では私には無理だなーと思ってみているだけにとどまっていたのに、鉄塔さんのやっていたゲームは自分でも何本か購入してしまいました。
おそらく小説家でもある鉄塔さんのゲームプレイスタイルが、本を読むのが大好きな私の理想のゲームの楽しみ方にフィットするんだと思います。

これからも、三人称としての鉄塔さんもソロプレイする鉄塔さんもそれぞれに楽しんでいけることが幸せです。

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