かろうじての「善さ」を保つ世界の危うさよ/『ブラック・クランズマン』(2019年アカデミー脚色賞/スパイク・リー)
2019年度のノミネート&脚色賞受賞作、『ブラック・クランズマン』を観た。同タイトルのノンフィクション小説の映画化で、1970年代、黒人初の市警巡査となったロンが白人至上主義組織として名高い「KKK」潜入捜査を行うというセンセーショナルな物語。
ユーモアを交えながらテンポよく進むストーリーに、時折差し挟まれる「毒」にドキリとし、それが単なる演出でなく、むき出しの「真実」を描いていることに気づいてまたぞわり、とする。
物語が進むにつれ、その「毒」は、じんわりと全身を浸食して