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国産コロナウィルスワクチン「ダイチロナ」について

メディアでの情報提供も減少し、非医療関係者にはその動向はみえづらくなってきていますが、新型コロナウイルス感染症患者は現在も発生し続けており、特に高リスク群における重症化のリスクは未だに存在しています。今後もインフルエンザ同様、感染予防及び重症化リスクの軽減予防としての定期的なコロナウィルスワクチン接種が重要となってきます。
最近、コロナウィルス感染症に対する日本国内で開発されたワクチンが接種可能となりました。当院でも今月より接種が可能となります。
今回は、この国産コロナウィルスワクチンの特徴を簡潔に紹介致します。


国産コロナウィルスワクチン(ダイチロナ)の特徴

ファイザーやモデルナのワクチンと同等の有効性

第一三共社の国産コロナウィルスワクチンに関して行われた臨床試験では、ファイザー社やモデルナ社のワクチンと比較して、ウイルスを抑制する中和抗体の上昇が同等(非劣性)であることが示されています。

安全性に関しても重大な懸念なし

コロナウィルスワクチン全般に副反応は一定数起こります。注射した部分の痛み、疲労、頭痛、関節や筋肉の痛み、寒気、発熱等が多く、重大な副反応としてはアナフィラキシーがあります。このような副反応を含む安全性に関しても、ファイザー社やモデルナ社と比較しても変わりなく、重大な懸念は認めないとされています。

設計図となるmRNAの長さが短い

第一三共の国産コロナウィルスワクチンもファイザー社やモデルナ社と同様のmRNAワクチンであることは同じです。しかし、細かいところでは微妙に違っていて、例えばスパイクタンパク質と呼ばれる主にワクチンによる抗体産生の標的としている構造(コロナウイルスのトゲトゲの部分)に関しては、ファイザーやモデルナ社のワクチンは、全長のスパイク蛋白質に2カ所の変異を入れたものであるのに対して、国産ワクチンではスパイク蛋白質全長ではなく、そのうち重要部分のみを切り取ったmRNAを利用しているところが異なっています。

冷蔵保存が可能

あまり知られていないですが、一番異なる部分で、かつとても助かる特徴がこの「冷蔵保存ができる」という特徴です。ファイザー社やモデルナ社のワクチンは、冷凍保存が必要で保管や輸送がとても大変です。一方、第一三共のワクチンは冷蔵状態での保管や輸送が可能ですので、診療所での取り扱いが容易で、遠隔地での接種も可能にします。インフルエンザワクチンも冷蔵保存ができるのですが、この「冷蔵でOK」という特徴は、実はワクチン接種を広める上で、とても重要なメリットになります。

まとめ


日本独自で国産コロナウィルスワクチンを持っているということは、今後のパンデミックが起きた際の備えとしても重要ですし、おそらくダイチロナは今後の国内コロナウィルスワクチン接種の主役となっていくことが予想されます。
当院では、第一三共の国産コロナウイルスワクチンの接種を2024年1月より開始します。患者様には、安心して接種を受けていただけるよう、万全の体制を整えておりますのでご希望の方は当院へご予約くださいませ。

参考

厚生労働省:第一三共社のオミクロン株対応1価ワクチンについて


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