ロジックモデルの作成方法や他の評価方法との違い

ロジックモデルとは

ロジックモデルとは、「もし~ならば、こうなるだろう」という仮説のもと、資源(インプット)と活動(アウトプット)、成果(アウトカム)を繋ぎ合わせ、事業が成果を上げるために必要な要素を体系的に図示化したものです。事業の設計図と言えるでしょう。

ロジックモデルは、事業の目的や目標を明確にし、事業の効果や影響を測定するための指標や方法を決める際に役立ちます。また、事業の進捗や成果を評価する際にも、ロジックモデルを参照することで、事業の強みや弱み、改善点や課題を見つけることができます。

ロジックモデルの構成要素

ロジックモデルには、一般的に以下の5つの構成要素が含まれます。

  • 資源(インプット):事業を実施するために必要な人材、資金、物資、情報など

  • 活動(アウトプット):事業を実施するために行う具体的な行動やプロセス

  • アウトカム(短期・長期):活動によって生じる直接的または間接的な変化や効果

  • インパクト(活動終了後の長期アウトカム):事業が目指す究極的な目的や社会的な変化

  • 仮説(ロジック):資源からインパクトまでの因果関係や前提条件

これらの構成要素は、一般的に左から右へと矢印でつながれて図示されます。例えば、以下のようなロジックモデルが考えられます。

この例では、教育支援事業のロジックモデルを示しています。資源としては、教師や学生、教材や設備などがあります。活動としては、教育プログラムの開発や実施、学習支援や相談などがあります。短期アウトカムとしては、学生の学力や自己効力感、参加意欲などが向上します。長期アウトカムとしては、学生の進学率や就職率、生活水準などが向上します。インパクトとしては、社会的不平等の縮小や社会経済発展などが期待されます。仮説としては、「もし教育支援事業を行えば、学生の学力や自己効力感が向上し、進学率や就職率が高まり、社会的不平等が縮小し、社会経済発展に寄与するだろう」というものがあります。

ロジックモデルの作成方法

ロジックモデルを作成する際には、以下のステップに沿って進めると良いでしょう。

  1. 事業の目的や目標を明確にする

  2. 事業のインパクトを考える

  3. 事業のアウトカムを考える

  4. 事業の活動を考える

  5. 事業の資源を考える

  6. 事業の仮説を考える

  7. ロジックモデルを図示する

  8. ロジックモデルを検証する

ロジックモデルは、事業の関係者や利害関係者と共に作成することが望ましいです。また、ロジックモデルは、事業の状況や環境に応じて柔軟に修正や更新することが重要です。

他の評価方法との違い

SROIとの違い、関係性

  • ステークホルダーの特定はしない

  • 最終的に一つの数字(社会的価値の総額)にまとめるのが必須ではない

    • ただし評価のためにアウトカムは定量評価できるべき

  • SROI分析の1ステップとしてロジックモデルが採用されることもある

  • 外部要因の除外も必須要件として入っていない

Theory of Changeとの違い

  • ロジックモデルが(仮説ありの)ロジックのもと、インプットがどれだけあればアウトカムやアウトプットがどれだけ得れるかという施策の効果や貢献度を測定することに主眼を置いている

  • Theory of Changeは課題や問題が引き起こされている構造・原因とそれを解決するための変化の法則を図示化したものなので、課題の解決へ変化のプロセスや仮定を明らかにすることに主眼を置いている

ロジックモデルのメリット

ロジックモデルには、以下のようなメリットがあります。

  • 事業の理解度や共通認識を高めることができる

  • 事業の計画や提案、実施や管理、評価や報告などに一貫性と論理性を持たせることができる

  • 事業の効果や影響を定量的に示すことができる

  • 事業間の比較やベンチマークがしやすくなる (アウトカムが似ている場合のみ)

ロジックモデルの課題

ロジックモデルには、以下のような課題もあります。

  • 事業の複雑さや多様性を十分に反映できない場合がある

  • 仮説が正しいという保証がない場合がある

  • インパクトを測定するためには長期的な視点と高度な分析力が必要な場合がある

  • アウトカムの種類が全く違う事業同士を比較することには使えない


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