POWERのセトリを落とし込んでおきたい

以下、はてブロからの続きです。

今回のツアーのセトリについて、色々意見が出ていたのは知っているし、個人的にも思うところがないわけではない。

しかし多くの人が口にしていた「アルバム曲をちゃんと歌って」は、それだけでは核心を突くことは出来ないのではないかと思う。

何故なら今回のツアーは32曲中16曲、実に50%が、表題となったアルバムからの楽曲だからだ。(横浜以降は14/32の43%)

アルバムを引っ提げたツアーならば当然、と思うかもしれないが、前回ツアー【Mixed Juice】では33曲中10曲の30%、ソロがあった【rainboW】は除外するとして、配信だった【W trouble】は27曲中11曲の41%、コロナ禍前の【WESTV!】では27曲中9曲の33%と、ここ数年のツアーだけで見ても、セトリにおけるアルバム曲割合は今回が最も高くなっている。

では何故今回こんなにも「セトリ落ち」が発生してしまったのか。理由は明白、アルバム新曲数が多すぎるのだ。

ジャニーズWESTは両A面シングルを出すことが非常に多く、その分アルバムの曲数は自然と既存のシングル曲に割かれることも多かった。
私は正直その現象が歯痒く、もどかしく思っていた。
それが今回のアルバム『POWER』では通常片面シングル、しかもたった1曲であった上、近年の形態別限定曲も相まって、新曲が20曲という、有り難くもとんでもない事態になっていた。

ジャニーズWESTが過去にリリースしたアルバムの、シングル曲を除いた新曲数をご覧頂きたい。

『POWER』  20曲
『Mixed Juice』13曲
『rainboW』   19曲(ソロ込)
『W trouble』 12曲
『WESTV!』  9曲

ソロが7曲あった『rainboW』すら上回っている今回の『POWER』が、いかに異常な曲数かお分かりいだけるだろう。というか『WESTV!』9曲て。マジかよ。

アンコールも含め30曲前後しか歌えないアリーナの公演時間の内、20曲もアルバムの新曲で埋めてしまうのはまず無理だろう。コンサートは(noteに飛んでここまで読んでくださるような)特定の層だけに向けて作られているわけではないのだ。

セトリ落ちは……いやそもそもこの言葉が苦手だという人もいるらしいのだが、これは「担当」などと同じように最早別の意味は持たない単純なオタク用語として昔から使っているので、そこはご勘弁いただきたい。

セトリ落ちさせるくらいならアルバム曲を減らせばいいじゃないか、なんてことは個人的にはしてほしくはない。

初日からセトリ落ちが話題になった一因に、リリース時点でファン人気が高く、アルバムで一番好きかもと言っていたメンバーもいる『恋にて』が今回のツアーで歌われなかったことがあると思っている。

ではもし、アルバム制作段階でツアーまで考慮し、これは披露しきれないなと判断されて『恋にて』がそもそも世に出なかったとしたら?あの曲に出会うことすら出来なかったとしたら?

それは悲しいことだな、と私は思う。

勿論、最初から知らなければこんな思いをせずに済んだのに……なよくある恋愛漫画的意見の人もいるだろうが、永遠ではない限られた活動期間の、さらに限られたリリースの機会の中、ジャニーズWESTが歌う曲は1曲でも多く聞きたいと、私は願ってしまう。

どちらも正解不正解はないと思うけどね。

あとまぁこれに関してはもう慣れなんだろうな、と。
アルバムの新曲がたとえ十数曲でも、平気で3〜4曲はセトリ落ちを食らうし、好きな曲がことごとく歌われないので「お前はもうこの曲を好きとか言うな」と知人に言われるような経験を何度もしているから、ありふれた出来事だと麻痺しているんだろうな、きっと。今回だって『恋にて』はアルバムで一番好きだったよ。(事後なのでセーフ)


そして「セトリ落ち」のもうひとつの意味である「セトリに入っていた曲がなくなる」について。

セトリが初日と変わることは良くあるし、特に今回は新曲披露という明確な理由があるので、あまり引っ掛かりはしなかったのだが、それでも気になる人が多かったのは恐らく、去年のドームでの大幅なセトリ改変から時間が経っていないからだろう。
去年のことは私も流石にビックリしたし、悲しかったし、そんな想いを消化しきれていない人は余計に今回のセトリ落ちに敏感に、過剰に反応してしまったのではないかと思う。

ただ、私はステージは生物だと思っているのでセトリに限らず、全て同じに!何もかも平等に!という主張は、理解はできるが声高に叫ぶものでもないかなと思っている。
……こんなことを言ったら「一個一個変わらぬものをやるのがプロじゃねぇのかよ!」とライバルに怒鳴られてしまうだろうけども。二幕始まるぞ、準備しろ。(伝わらない)

冗談はさて置き。
個人的に、今回の構成で引っ掛かったのはそれらではない。

32曲中12曲、約38%
これは何かというと、前ツアー【Mixed Juice】でも歌った曲の割合である。

無論、ライブは現地に行って実際に体験して楽しむものだ。それを数字を持ち出して論ずるのは、少し卑怯だとは思う。
けれど私はどうしても、この引っ掛かりをきちんと整理して落とし込んでおきたかった。

この数字が果たして高いのか低いのか。
こうなったら気になるタチなので算出してみた。

【Mixed Juice】8/33曲 24%
【rainboW】  5/30曲 17%
【W trouble】  6/27曲 22%
【WESTV!】  6/27曲 22%

やはり高かった。
もっと言うと【POWER】における、ドームでも歌った曲の割合は32曲中12曲、この12曲は最初に挙げた12曲と同じ曲である。

つまりは、今ツアー・前ドーム・前ツアーと直近3回のライブ全てで歌われている曲が12曲、約4割を占めているということだ。

今回の【POWER】はこの12曲、アルバム新曲16曲、c/w新曲2曲、未リリース新曲1曲、そしてパリピポアンセムで構成されている(初日の場合)

……そろそろコイツ気持ち悪いなと思われている頃だろう。安心してほしい、それは自分でも思っている。エゴイチを含め約3万字弱の文字を綴っているのだ、今更である。

無闇矢鱈に昔の曲をやってほしいと言っているわけではない。それは慎重にならざるを得ないものだと、理解はしているつもりだ。

けれど、メンバーがたまに口にする「先のことを考えるより、今を全力で」の反動が、今回私にとってはデメリット部分として引っ掛かってしまった。
確かに"今"だけを全力で考えた時、今回のセトリはきっと"正解"なのだとは思う。

「定番は大事」と云う言葉を大切にしているのは知っている。しかし、先輩にとっての「定番は大事」と、今のWESTにとっての「定番は大事」では、言葉の意味が変わってくるのではないかとも思っている。
来年は節目の10周年、そこで外せない曲もあるだろうから余計に。

あとは単純に、今回はいままでの半分くらいしかリハの時間がなかったと言っていたので、それも一因なのかなと思っている。

まぁ何を言っても、私は今回のツアーをとても楽しんだし、オタクは結局与えられたものをただ楽しむだけなので、来年もとても楽しみにしている。


ついでなのでちなみに。
よく言われるロックについては良くも悪くも私は特に気にしていない。
ツアー初日、終わりの見えないバンドでライブの前半を虚無で過ごしたトラウマがある私にとって、いまのWESTのロックコーナーなんてかわいいもんである。探していたものが見つかってよかったね、くらいにしか思っていない。何事も経験がオタクを強くするのだ。


他人の行動に自分の感情の起伏を預けるのは、手軽で楽しくもあり、同時に危うくもある。
だからこそ、オタクという趣味を楽しむのなら、それに流されすぎず、きちんと自分の感情の確立と整理をしていかなければいけないな、と自戒も込めたnoteでした。

はてブロから続く長文、お付き合いいただきありがとうございました。
楽しくオタクしよ〜ね〜!


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