中国のZ世代の心をつかんだBilibili(哔哩哔哩)はどんな怪物企業かを分析
1.Bilibiliとはどんなサービス?
中国で私が一番お勧めするコンテンツエコシステムを提供する会社。最初はACG=アニメ(Anime)、漫画(Comic)、ゲーム(Game)に関連したコンテンツ製作、共有のプラットフォームであって、10年の間にコンテンツ、創作者、消費者間で非常に良質なコミュニティーを構築することができて、2018年に上場。趣味に関したジャンルは7000以上もあり、中国のZ世代(1990年以降の世代)に一番好かれているAppと投票された。Z世代の百科事典、趣味の楽園とも言われている。
1)ユーザ状況
MAUが1.9億以上までのぼっており、Daily平均利用時間も81分。かなりロイヤリティーが高いユーザ状況となっている。
2)収益構造
収益構造は、ゲーム、コンテンツ課金、広告とECでかなり多角化にされている。最初はゲームが収益の大半を占めていたが、近年では課金コンテンツと広告も順調に成長している。
ユーザ数も課金比率も順調に成長している。
3)沿革
2.プロダクトに関して
産業のサプライチェーンに関わる全てのプレーヤーに細分化した価値提供ができている。
著作権に関わる良質なコンテンツとUGC(ユーザージェネレーションコンテンツ)が中核にあって、ユーザ間でエンゲージメント手段も整っており、マネタイズ手段も多様、ロイヤリティーが高いユーザ向けの付加価値提供もしている。
3.コンテンツ戦略に関して
最初はACGコンテンツが大半を占めていたが、2016年からドキュメンタリーコンテンツ、Lifestyle関連コンテンツの拡充も力を入れて、今はバランスよく多様なコンテンツが提供できている状況。
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機能面の充実と良好なコミュニティー環境の提供で、創作者、コンテンツ、ファンが効率良く回っている。創作者のレベルによって、細分化した支援も手厚く提供することで、良質かつ持続的なUGCコンテンツが生成されている。
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著作権関連のコンテンツもパートナーシップと投資することでたくさん拡充できた。
1)アニメーションに関して
海外作品の著作権を購入すること以外にも、オリジナル製作力にもかなり力を入れている。「灵犀文化、七灵石、艾尔平方、娃娃鱼动画,天工异彩,艺画开天、翼下之风、绘梦、海岸线」といった中国のアニメ企業に投資している。
・七灵石なども元々日本のアニメの下請けをして、産業化にかなり力を入れたため、低コストで良質の作品を生産できている。
・Bilibiliと艺画开天が製作した《三体》、《流浪地球》といったアニメは中国に止まらず、海外でも一風を風靡している。
2)漫画に関して
网易漫画、鲜漫动漫、日更计划、动漫堂に投資している。
・日更计划は日本の集英社と同じモデルで大量の製作者と契約して、統一した製作工程で管理している。新人製作者が分業化することで、お互いカバーして、持続的に良質なコンテンツ生成ができている。パブリッシュに関してはWebtoon形式を採用し、大半の作品は無料で読める。
・2018年から网易漫画の2万個の在庫もBilibiliで使用できるようになった。网易漫画には600名ぐらいの契約作者がいるため、今後も持続的に作品を作ることが保証される。
こういった動きでかなりの在庫をBilibiliで確保できた。
3)音楽に関して
オリジナル音楽、音楽関連ゲーム、バーチャル音姫、PodcastがBilibiliの投資視野に入っている。
有度文化、米漫传媒、水幻之音といった会社に投資している。
初音ミク、洛天依などバーチャルシンガーの流行によって、中国でもバーチャルシンガーブームを迎えた。有度文化が中国で有名な音楽物語シリーズ《时之歌Porject》をプロデュースし、オリジナル音楽34曲を作って、Bilibilでも31万ぐらいのフォロワー数がいる。2018年からBilibiliで独占的に関連ゲームのリリース権をゲットできて、初月売上が2100万人民元を超えた。バーチャルシンガーのLiveイベントBilibli Macro LINK VRも2019年から開催して、二次元ファンがたくさん集った。
二次元のPodcastアプリ猫耳FMにも出資している。猫耳FMには二次元の音声漫画、Podcastドラマ、Podcast本などの音声コンテンツがあって、徐々に人気になり始めている。
4)ドキュメントリー
ACGコンテンツに止まらず、Bilibiliは二次元コンテンツ以外へ拡大するため、たくさんのドキュメンタリー作品を拡充して、今では中国で一番のドキュメンタリー在庫を持っているプラットフォームとなっている。
云集将来,狮林影视,中影年年,潜影文化に投資している。
・云集将来には芸術、政治、経済、地理、宇宙探索、社会問題など幅広いジャンルで作品生成能力が持っている。
・狮林影视は元々大学時代からBIlibiliで単独で発信した作者で今趣味を仕事にして事業化にした。フォロワー数が150万人も超えている。
4.コミュニティー文化の建築
ユーザ間のインタラクションが非常に高く、コンテンツ消費より、創作者と持続的な関係を構築している。正規メンバー(Bilibiliの100問の質問に回答したコアファン)も9700人以上存在しており、リテンション率が80%以上と高い。
コミュニティー独特の文化がかなり形成されている。
1)二次元アバターをメインキャラクターとPFに定着、二次元用語もPF内でかなり利用されている。人格化されることでかなり親近感が湧く。
名前自体は『とある科学の超電磁砲』の主人公御坂美琴の愛称であるbilibili(ビリビリ)を利用して、看板娘は22娘が姉で、33娘が妹である。App起動時には看板娘が乾杯のイメージを使って、投げ銭の時にマリオーの飛び込み姿となって、エラー画面も全て看板娘の画像を利用している。
プラットフォーム専用のスタンプも二次元用語がたくさん利用されている。メンバーシップの原価も233という二次元流行語を使っている。
2)弾幕文化の継続的な最適化
Bilibiliの正規会員には100問を回答しないとなれない仕組みでコアファンが厳選されて初めて弾幕投稿ができる。ユーザ層が若いゆえ品質の低い弾幕が最初かなり存在していた。ただし、下記手段で最適化することで、エンゲージメントと不正投稿の間にいいバランスが取れた。
・特定Keywordの非表示設定
・AIで品質の低い弾幕の排除、コメントする人のレベルによってコアファンではない人のコメント排除、画像認識でコメントがビデオにある人の顔を被せない設定など
3)良質創作者の還元、エンゲージメント強化
2018年からフォロワー数が1000人もしくは類型生成数が10万以上の投稿者向けにインセンティブプログラムが導入された。
“一键三连”というワンクリックで「いいね、投げ銭、Keep」ができる機能が用意されて、良質創作者を判別する重要な指標となっている。
4)季節によって、その季節に相応しいデザイン変更によるサプライズ
生成時のプログレスバーがクリスマス、端午の節句、ハロウィンなど季節によって異なる。エイプルフールでVIP会員が降格されるみたいなゲーム性の強いキャンペーン。会員の誕生日にApp起動時に「お誕生日おめでとう」のメッセージ表示。
5)ブラックリストボード&審査員システム
不正コメントを投稿したら、申告&モニタリングに発見され次第、ブラックリストボードで公開され、ユーモアが混じった、処罰理由なども書かれる。Bilibiliの正規会員も審査員申請できて、不正ユーザに処罰投票&コメントすることができて、プラットフォームのオペレーションも省くことができている。
6)オフラインイベント
Bilibili Macro LINK VR というバーチャル音姫が出演するライブも多数の二次元ファンを魅了している。2019年の状況はこちらに
https://www.bilibili.com/bangumi/play/ep316239?spm_id_from=333.788.videocard.2
Bilibili World という日本のコミケみたいな展示会も中国で毎年広州、上海で開催している。
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