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#11「地獄のUber Eats編」東京リベンジ~ドブネズミに花束を~

泣きながら違反切符を切られ
白煙を上げて故障した原付を手で押していき

東京行きのUber Eatsは失敗に終わった

またも電動チャリで働くことになる。

それから、修理までは早く一週間ほどで終わり、
値段も6千円しかかからなかった。

直後にまたエンストして動かなくなったが
それはエンジンオイルがカラカラになっていたからで
しばらくカラカラで走っていたことになる。
(これも引き渡し時にエンジンオイルがなかったことが原因であり注意すべき点)

さぁ、雪風は復活した。(写真は復活した雪風とバイク屋さん)
と、なればすぐに次の休みに東京リベンジをするのを決めた。

借りは必ず返します!!・・・・

居酒屋で働きそのままお店に泊まり、
翌日の朝出発。

朝Uber Eats、昼から夜まで居酒屋。
それから深夜までUber Eats。

その暮らしの繰り返し、、、、

一気にケリをつけるべく東京で大きく稼ぐんだ。

夢も読書さえも、費やせる時間はなくなり
すべてを止めた。

コロナ。

「戦時」とも「有事」とも言われるそれの中、
飲食の経営をしていて、蓄えもなく、有名でもない、
そんな人間には

戦争中なら最前線に配備されたのも同じだ。

だから私はこの1月から死ぬつもりでUber Eatsをしてきた。

それがこの「地獄のUber Eats編」

身体もメンタルもボロボロに酷使して
見えるものがあるはずだ。

そう、信じ続けた。


東京へ向かう途中
高級外車の納車式を終えたのか

走り出すオープンカーを見送る
ディーラーショップの店員が
車で見えなくなるまで深々と礼をしている姿があった。

それをUber Eats配達員である私が通り抜けた。

高級車を納車する日の喜び、
そんな人生の喜びもある。

・・・
一方、3000円の反則金で号泣して
大通りでいつまでも立ち上がれなかった人間もいる。

あの出来事を許せない自分の心と戦っている。

私はそれでも小さな笑顔を忘れないようにした。
泥の河に浸かった人生の中、

笑ってみせる喜びもある。

勝ち組、負け組、という概念があるとするならば
私はそんなものの外にいる。

だから笑えるのだ。

以下はその時書いたメモ
---
色んな人生がある。
「納車式」に見送られる人。喜び、恋愛の喜び、
朗らかに笑える人になろう、あの時、夢を追えなかった悔しさも、地獄で笑うことも。警察も、
そよと風のように受け流し、朗らかに笑う。
あの愚痴も、この屈辱も、夢の欠片も、
---
何かやっぱり鬼気迫るやばさがある(;´∀`)

この日、とあるお世話になった人に会いに行き
少しお仕事をした。

その人が優しい風を持っていることに結構衝撃を受けた。

その後、原付に乗りながら
自分はどんな風を持っているだろう、と思った。

どこにいても、どんな仕事をしていても、
日々、奮闘している。そんな人。

色んな人生がある。

のだとしたら、

私は「地獄で笑う人生だ」

地べたをはいつくばりながら、喜びを見出す人生もあるのだ。
これがテレビゲームの「スキル」なのだとしたら最強のスキルだろう。

私はずっと世間知らずだと言われてきた。

今もって、私は世間知らずだろうか?


本当に馬鹿なまま死んでしまった友人がいる。
本当に馬鹿を見て生きてきた人たち。

そんな人たちに私は手向けとして、文章を書きたいのだ。

そう思い至った。

ドブネズミに花束を、

力なき弱者からの心からの喝采を、
そして彼らが快哉(かいさい)を叫ぶのを聞きたい

それが私の野心である。

もちろんドブネズミといえば「ブルーハーツ」であり
「~に花束を」といえば「アルジャーノンに花束を」を連想して欲しい。


そして、見事、東京リベンジは終わり、
この時は、北千住と南千住をいったり来たりした。

交通量の多い道もなにも怖くない
もう警察に止められることはない
(この後、この言葉は大嘘になる(;´∀`)・・・

犬。
Uber Eatsをしていると、
散歩する犬をよく見る。

信号待ちなどをしていると、その犬の馬鹿な仕草に癒される。

・・・・我々のような弱者を、
「負け犬」というのだとしたら
私は言う。

私は、勝ち負けの概念の外にいる。
そして、犬が好きだ。

次回
「ダメ沢直樹の人生倍返しだ!地獄のUber Eats編
最終回前編『ヘルブレイカー』」に続く



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