訳あって多分普通の人より早くひとり暮らしをしていた
1人でベットに横になってる時だった

実家からスマホに電話がかかってきた
出た瞬間母の嗚咽が聞こえてきてただ事ではないことをあのとき察していたと思う。

「お父さん亡くなっちゃった」

途切れ途切れの声でそう伝えられた

このあたりから僕の記憶は曖昧で情報を処理しきれない状態で涙よりも先にこぼれ落ちるように

「なんで?」

と声が出た

ここでは死因は伏せさせていただくがタバコも酒も好きだったが適度に楽しむ性格で持病も特にはなかったから

覚悟とかも何もできてなかった。それくらい唐突だった

実家へ帰る特急に乗りながらずっと頭を抱えて
なんで?
ってずっとずっと考えた

実家へついた時にはもう横たわった父が居た
幸い苦しんだ顔はしておらず綺麗な優しい顔つきだった

あぁ、こんなことになるならお酒飲みすぎないようにとか油物ちょっと控えたほうがいいんじゃない?
とか言わなきゃよかったな

親父はほんとに優しい人だから控えてたと思う
ものすごく申し訳ない気持ちになった

実家に帰ってからというものあまりにも急だったこともあり悲しさなんて感じる暇もなくやらなければいけないことばかりだった。 

兄貴が親戚に電話をかけたり、母と親戚で宗派のことの話をしていたり、お坊さんや火葬場の日程調整したり。
気付いたらお通夜も過ぎお葬式の日になっていた

生前好きだった食べ物や手紙を入れて火葬炉の中へと入っていく。祖父から渡された数珠を握りしめながら周りはみんな泣いていた気がする。

納骨の際涙は滲んで頬を伝っていたが
溢れるほどではなかった

東京へ戻らなければ行けない日になり家族と別れる前
母から
「これお父さんのカレンダー、あんたが持ってきな」
と言われ小さい卓上カレンダーを貰って帰路についた

一人きりのアパートに着いてもらった卓上カレンダーを見ていたら子供達の小さいイベント事も全部カレンダーに記入していた。小さく。けど、綺麗な親父の字で

そしてその中に
「あやめの試合の日❗⚾」
と書かれたカレンダーの日付けを見付けた瞬間
涙がボロボロと溢れてきた

小さい子供のように声を上げて泣いた
隣人とか一切気にかけず。涙が止まらなかった

なんで?なんで?って

あんなに優しい人がなんでこんなに早く亡くならなきゃいけないんだよ

もっと会いに行けばよかった。
一緒にお酒も飲みたかった。

父の日用に買ったプレゼントどうすればいいんだ
親父の喜ぶ顔が見たかったのに

ほんとに親父は今でもあの人以上に優しい人は見たことないってくらいに優しい人だった。我慢する人だった。

俺の憧れの人だった

もう一度だけ、会いたい
声が聞きたい、話がしたい

夢でもいいから親父と会わせてくれ

そう願いながらその日眠りについた
そして、ひとつの夢をみた


部活の先輩がニトリでタンスを盗もうとして取り調べを受けてる夢だった。


なんで?


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