「公衆手洗い推進パートナーシップ」発足のお知らせ

 このたび「公衆手洗い推進パートナーシップ」を発足いたしました。
 「公衆手洗い」とは、「広く一般に開放される手洗い設備であり、その習慣」のことです。私たちは、公衆手洗いの推進により、街・都市・公共空間において「手洗い」という基本的な感染症対策を、誰もが実施できるようにすることで、公衆衛生の向上に資すると考えております。
 「公衆手洗い推進パートナーシップ」は、公衆手洗いを推進するための、自治体・民間企業のパートナーシップです。

なぜ手洗いなのか

 2020年、COVID-19の感染拡大は、全世界に公衆衛生について再検討することを要請しました。この世界が、常に感染症の脅威と隣り合わせであるという事実を踏まえ、様々な感染症対策が講じられております。
 しかし一方で、2020年に実施したアンケート調査によって、最も基本的な感染症対策の一つである「手洗い」の欲求・需要は、都市空間においては、まだまだ満たされていないことが明らかになりました。

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 また、スタンフォード大の研究者 Tomasu Pueyoによると、感染制御施策ごとの費用対効果の比較においても、手洗いをはじめとする基本的な衛生習慣の改善を、最も費用対効果が高い施策と評されます。

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公衆手洗いとは

 「公衆手洗い」とは、「誰もに開かれた手洗い」であり、その要件として「誰でも無料で使える」「どこにでもある・どこにあるかわかる」「衛生的に使える」の3要件があると考えております。
 もともと「公衆手洗い」というコンセプトは、「公衆トイレ」から着想を得ています。これから成長していく国にとって「公衆トイレ」整備や「公衆トイレ」における排泄行為の習慣化は、基本的かつ重要な公衆衛生政策の一つです。明治維新直後の日本も、開港した横浜港周辺を起点に、全国への普及を目指した歴史があります。同じように、「公衆手洗い」の整備や公共空間における手洗い行動の習慣化もまた、次の時代の主要な公衆衛生施策になると考えております。

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公衆手洗い推進のための3つのアクション

 「公衆手洗い」の整備を推進する上で、それを公共投資に依存するのではなく、民間企業の事業活動に内包することでより速やかかつ柔軟な社会実装をする、「企業の公共性」の考え方に基づいた「公衆手洗い」整備を進めております。
 具体的なアクションとしては、公衆手洗いの3要件に対応する形で、「公衆手洗いの新規設置、既存手洗い場所の開放」「公衆手洗いの立地ををマップ化する」「備品や清掃による衛生環境の充実」に取り組んでまいります。

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公衆手洗いから始まるまちづくりの三方よし

 「公衆手洗い推進パートナーシップ」のコンセプトは、「公衆手洗いから始まるまちづくりの三方よし」です。街を歩く一人ひとりの手洗い行動が、公衆衛生の向上に繋がること。企業・自治体による公衆手洗いの整備が、衛生的で安心安全な街を実現すること。衛生的な街になることで、人々の経済・社会活動が活発になること。これらの好循環を生むことを目指しております。
 2020年、COVID-19の感染拡大は、全世界に公衆衛生について再検討することを要請しました。今後の世界においては、常に感染症の脅威と隣り合わせであるという事実を踏まえ、社会インフラの再定義が求められております。COVID-19の感染制御のみならず、インフルエンザをはじめとする様々な感染性疾患に対し、公衆手洗いという基本的な衛生習慣の構築により、レジリエントで魅力的な社会を後世につないでいくための持続可能な「まちづくり」が求められています。
 今回の銀座での取り組み「WELCOME WASH GINZA」は、日本を代表する商業地域「銀座」の特色を活かす形で設計されました。商業施設を主とする事業者側の「おもてなし」としての公衆手洗い整備をトリガーに、公衆手洗いのある街を目指します。
 本パートナーシップは、今後の他地域への展開を前提にしておりますが、地域ごとの特色を活かした文脈の上で「公衆手洗い」推進を展開することで、「企業の公共性」発揮の土壌となると考えております。

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