胼胝

手の指に胼胝ができた。どちらの手のどの指にできたかは明かすつもりはないが、どこであれ胼胝というものは見ても奇妙なもの、触ればなお奇妙なものである。触るとほかの柔らかい皮膚と異なって、どこか硬い、しかもザラつきもある。どこか邪魔っ気である。どか胼胝になったところを元にもどせないものかと不要ながらも気を揉んでしまう。「剥いてしまえ」と剝いてみる。剥いたところで治るわけじゃなし、時を置いてまた胼胝になる。サリチル酸軟膏を入手することができて、塗ってみる。一度塗っても変わらない。二度塗っても変らない。上限超えて幾度塗ってもなかなか柔らかくなる兆しがない。幾日と塗ってやっと少し柔らかくなる。少しだけである。皮膚はもとには戻っていない。触ればなおもあの胼胝特有の奇怪な感触がある。やはり剥く。表皮を剥いてもザラついた真皮が出現するばかり。しかもそれもまた胼胝な表皮に変化する。トマァ、きりがない。そうこうするうちに薬も切れる。塗り過ぎである。薬を新たに手に入れようか。いっそ別のに変えようか。病院に行くのは厭わしい。そんなこんなに薬局で市販のサリチル酸の膏薬を購い求めようとする。当該コーナーに立ち止まる。しばしの思案。値がなかなか張る。しかも以前の経験でそこそこ痛みを伴うこともわかっている。購うに値するものであるかどうか。沈思黙考ののち諦めて、今日も局地的な胼胝の違和感をつき合いつつ日々を過ごす。アァ、コリャコリャ。チュウチュウ胼胝カイナ。

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