2021年 射手座の空模様

射手座の2021年は、
「福袋」のような年です。

普段、私たちは買い物するとき、
じっくり選び、吟味し、
何を買うかちゃんと解った上で
(または、解ったつもりで)
ものを購入します。
その点「福袋」は、
まるっきり違います。
「福袋」の中に何が入っているか、
基本的に、買い手は知らないのです。

もちろん、ブランドや百貨店など、
その福袋を売りに出した店の情報で、
内容はある程度、イメージできます。
ですが少なくとも、
普通に物を買うときとは、
その購買行動の仕組みは異なります。
普段は「わかっているから買う」のに対し、
「福袋」は「わからないから買う」のです。

ネタバレ禁止の推理小説やサスペンス映画、
おみくじや「ガチャ」など、
「中身が解らないから買う」
ものは、結構色々あります。
2021年、射手座の世界では、
「なにがくるかわからない」
という面白さがあるのです。

「探しに行く、買いに行く」
という行動は、能動的ですが、
中身が解らない場合、
「手に入れる」行為は、受動的です。
おみくじを引いて、
どんなに気に入らない結果が出ても、
それはどうしても
「自分で引いたおみくじ」です。
もう一度引き直すことはできますが、
最初のを「取り消す」ことはできません。
福袋も、「ガチャ」も、
その内容を「おまかせ」にしている以上、
キャンセルはできません。
内容を「おまかせ」にしたら、
私たちはそれを、
受けとらざるを得ないのです。

こう書くと、
2021年がとても消極的な年、
あまりよくない年、
というふうに感じられるでしょうか。
でも、実はこれらは
「出会い」を意味しているのです。
占いで「出会い」と書けば、
そのコンテクスト上、
基本的には
「恋人との出会い」
のようなものを連想されます。
2021年の射手座の「出会い」には
たしかに、
恋人との出会いも含まれます。
ただ、本質はそこではないのです。
「出てきたものが、自分のもの」
「中身を指定せずに、
きたものを受け止める」。
この、福袋的な展開が、
2021年の射手座の面白さなのです。

「受動的」といっても、
何もせずにただ待っていれば良い
ということではありません。
福袋も、サスペンス映画も、
「それを買いに行く」
「映画館に見に行く」
という、能動的アクションが伴います。
「何かを探しに行く」
ことは、自分からの行動です。
ただ、その「何か」を、
敢えて細かく選ばないか、
あるいは「選べない」のが、
2021年の面白さなのです。

あくまでランダムなはずの「福袋」でも、
開けてみたら
「今の自分にぴったり!」
のものが入っていることは、
よくあります。
ちょうど欲しいものが入っていたり、
好きな色のアイテムが入っていたり、
中には
「これは、まるで、
神様が私を見ていて、
特別に選んでくれたようだ!」
とおもえるほど、
自分ぴったりの内容だった
ということもあり得ます。
もちろん、一般には
がっかりする事も多いようですが、
2021年の射手座の「福袋」は、
不思議と、
「自分にぴったり」です。
あるいは、それを開けた瞬間には、
「ぴったり」とは思えなくとも、
しばらくして、
「そうだ、あの時の福袋に
アレが入っていた!」
というふうに、
「ぴったり」の瞬間が
巡ってくることもあるはずです。
2021年の射手座の人々が発見する
「ランダム」なものたちには、
よく見ると、
あなたのための意味が込められています。
それを解読することもまた、
2021年の醍醐味、おもしろみです。

射手座の2021年は、
「学びとコミュニケーションの年」です。
通常の世の中ならばここに
「旅の年」を付け加えたいところですが、
自由に旅ができる世の中になるには
まだ時間がかかるようです。
それでも、心に新しい風を入れるような、
旅に似たフレッシュな体験を、
2021年、きっと探し出せるでしょう。
好奇心を刺激され、
新しいことを学ぶ体験。
多くの人々と受発信を重ね、
価値観をアップデートしていく体験。
こうした体験にもまた、
「福袋」的な要素が含まれています。
勉強は、わからないからするのです。
相手は自分とは違う世界を生きているから、
コミュニケーションが面白く感じられます。

2021年にあなたが出会うものは、
「その中身をあらかじめ指定できないもの」
が多いだろうと思います。
ですが不思議と、
今のあなたの置かれた状況で、
すばらしく役立つものが見つかるのです。
2021年に学んだことはすぐ、
あなたの役割や担当分野で、
その威力を発揮するでしょう。
あなたの日常をダイレクトに変え、
あなたの生き方にまで、
影響を及ぼすかもしれません。
あなたは今、
「前例に拘らないライフスタイル」
「まだ誰も試したことのない働き方」
などを模索中なのだと思います。
より自由に、より伸びやかに、
より広い場所で生きる方法を、
探している最中であるはずです。
2019年頃から始まったその試みに、
2021年、素晴らしい燃料や材料が
「これでもか!」
というほど、注がれます。
中身の解らない「福袋」的なものに、
それらが詰まっているはずなのです。

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[時期について]

1月から2月は、
非常に忙しい時期となっています。
「任務」を新たに設定し、
ガンガン動ける時です。
2020年にやり残したことを、
一気に片付けていく人もいるでしょう。
2020年に見えていなかったことが、
年明け以降、
なぜかクリアに見えてくるかもしれません。

2月は途絶えていた音信が
「復活」する気配があります。
懐かしい人から連絡がきて、
心がウキウキしてきそうです。

3月から4月は、
人間関係がとても賑やかになります。
公私ともに「人」に対して
多くのパワーを注ぐことになるでしょう。
場合によってはタフな交渉に臨んだり、
「真剣勝負」に挑む場面もありそうです。
いずれの場合も、
自分の立場や意向をしっかり整理し、
説明、主張することが重要です。
「言葉足らず」からの摩擦は、
避けたいところです。

5月から6月は、
「再会」の季節です。
ずっと会いたかった人に会えるかもしれません。
相手はあなたのために、
素敵なお土産を用意してくれているようです。

5月半ばから7月は、
家族や身近な人との関係が濃密になります。
引越や家族構成の変化など、
ハッキリした動きが起こるかもしれません。
家族が人生の転機を迎え、
そのサポートで忙しくなる人もいそうです。
この動きはここだけのものではなく、
2022年前半に続いていく、
スケールの大きな変化です。

7月末から9月は、
大活躍の季節です。
チャンスが巡ってきたり、
重要な役割を任されたりしそうです。
目立つ立場に立たされる人、
リーダー的な立場に立つ人もいるでしょう。
未体験の分野に飛び込んで
「学びながら結果を出す」
ようなこともできるかもしれません。

8月後半から10月は、
「人に恵まれる」時期です。
人からの好意を受けとりやすくなりますし、
好きな人、気の合う人と行動できるでしょう。
また、かつてのチームを
「再結成」することになるかもしれません。
10月は特に、
古い交友関係が復活する時間です。
恋愛にも強い追い風が吹きます。
失った愛が復活する可能性も。

11月から2022年3月頭にかけて、
経済的にとても嬉しい上昇気流が生じます。
欲しいものが手に入りそうですし、
収入アップも期待できます。
自ら「稼ぎを増やす」ために奮闘し、
大きな成果を挙げる人もいるでしょう。

12月から2022年1月は、
熱い挑戦の時間となっています。
自分の限界を越えるための闘い、
古い殻を抜け出すための闘いができる時です。
忙しくもゆたかな、
ほくほくの年末年始となりそうです。

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[愛について]

2021年、愛に追い風が吹くのは、
1月上旬、3月下旬から4月中旬、
5月から6月頭、
10月から11月頭です。

2020年後半、
怒濤のような愛のドラマを経験した人も
少なくなかっただろうと思います。
あるいは、愛する人とケンカする、
といった場面もあったかもしれませんが、
そのあとは情熱を溶け合わせるような、
熱い和解ができたはずです。

2021年、射手座の愛にも、
「コミュニケーション」の波が押し寄せます。
カップルはとてもたくさん語り合えるでしょう。
一緒に散歩しながらいつまでも話をしている、
といった、爽やかで密度の濃い時間を
多く持てるだろうと思います。
お互いに学びあい、教え合うような関係も
すくすく育ちます。
「アドバイス」がうまくいくのは、
尊敬しあっている関係においてです。
どちらかがどちらかを馬鹿にしたり、
軽んじたりしている場合、
「アドバイス」には力関係が含まれ、
無意味な摩擦を生みます。
「教え合える」「助言し合える」ということは、
その関係がうまく行っていることの、
すぐれたリトマス紙のようなものかもしれません。

愛を探している人は、
学びの場や、知的関心を共有できる場に、
出会いが見つかるかもしれません。
旧友との再会、学生時代の交流の復活などが
愛への入り口になる可能性もあります。
地域コミュニティの活動への参加や、
兄弟姉妹、幼なじみの紹介などにも、
妙味があります。
懐かしい場所、それでいて、
新しいことを吸収できる場所。
たとえばそんなところで出会った相手と、
素敵な関係を築いていけそうです。

愛の問題を抱えている人は、
2021年、誰かに「相談する勇気」を
持てるかもしれません。
コミュニケーションと学びは、
愛の問題を解決する上でも、
とても役に立ちます。
愛の問題はデリケートで、
「誰にでも話していい」
ものではありません。
カウンセラーや法律家など、
信頼できる専門家の助言を求めて、
問題解決の糸口を見いだせるかもしれません。

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たとえば、わたしたちは、本当に笑っているひとの顔と、つくり笑いをしているひとの顔のちがいを感じ取ることができます。それはなぜかというと、両者では働いている脳の部位もちがうし、動かす筋肉も異なるからです。
つまり、コミュニケーションというのは、まず身体で伝わるわけです。面と向かってひとの顔を見る場合でも、テレビのようなメディアを通じてだれかを見る場合でも、わたしたちは身体のコンタクトでまずつながり、そのつぎにそれが表象的に解釈される。現代のように、メディアが接触を重視するようになった時代においても、身体のほうがまず伝わる
(石田英敬・東浩紀『新記号論』ゲンロン叢書)

いわゆる「コロナ禍」で、人と人とが直接合うことが難しくなり、私たちは一気に、多くの通信デバイスに頼るようになりました。もとい、今までも「スマホ中毒」的な人はたくさんいたわけですが、会議も、打合せも、ラジオの収録も、なんでも「リモート」でできる世界は、多くの人にとって未体験ワールドだったはずです。
「わざわざ交通費をかけてまで、会う必要が無い」という認識が拡がったのが、いいことなのかわるいことなのか、それは今後、解ってくるかもしれません。

「コミュニケーション」は、文字や音声、映像などがあればできる、と私たちは考えています。文字や音声や映像を、私たちは「情報」と呼びます。それは頭の中で処理され、「意味」を伝えてくれるものです。考えれば解る、言えば解る。私たちはそう考えています。でも、引用部を見ると、その認識がぐらぐらと揺らぎます。
本当に私たちは、「言葉」と「脳」だけで、他者と「コミュニケーション」できるものなのでしょうか。どうも、そうではないようです。私たちの生身の身体性から切り離された「言葉」や「意味」は、本当に十分な「意味を持つ」のか。そのことがどうも、信じられなくなるのです。

「身体でまず伝わる」。
歴史的に、人間の移動と情報通信が切り離されたのは、それほど遠い昔ではありません。私たちは「伝える」とき、移動したのです。星占いのシステムにはまだ、その痕跡がしっかり残っています。「学び」と「旅」は、いつも同じジャンルとして扱われるのです。三蔵法師が長旅の末に手にした経典を読んだ、その「読み」に、あの冒険旅行の身体的体験が無関係だったとは思えません。

2021年、射手座のテーマは「コミュニケーション」です。その対話は、どんな身体的体験となるのだろう、と私は考えました。これだけ「リモート」が称揚され、人間の存在感を映像や音声に置き換えることが習慣化した中で、私たちの身体もまた、変わっていくのでしょうか。
2020年の終わり、星占いの世界では「風の時代」という言葉が飛び交いました。「風」は知識や情報、関係性、コミュニケーションといった「かたちのないもの」です。ですがだからといって、私たちは自分の身体を失うわけではありません。「まず身体で伝わる」という仕組みを失うわけではないのだと思うのです。

からだ、こころ。私たちはこれらを、まだ、十分に大切に扱う方法を知りません。2021年の射手座の人々は、そのことに気づくのではないかと思います。
私たちの心が欲しているものは、私たちの人生に必要なものです。本当に伝え合わなければならないことはなにか、本当に理解しなければならないことは、なんなのか。
「情報」もまた、ひとつひとつバラバラでは、意味を成しません。それを組み合わせ、ひとつの大きな認識や世界観に統合して行くには、別のリクツが必要なはずです。「別のリクツ」とは、たとえば哲学がそれです。あるいは、「フレームワーク」とか、ある種の思想、主義などもふくまれるかもしれません。
射手座は、哲学の星座です。個々の情報は、それ自体では意味を持たない、ということを、あなたはよくわかっているのです。
頭と心と体をバラバラにせず、バラバラの情報の渦に吹き飛ばされず、まるごとで「わかりあう」ための方法。2021年のあなたは、それを、何らかの形で探し当てるだろうと思います。