ドライヴ【三橋雄斗】
たまに、自動車を借りて二人でドライブに行くことがあります。
二人とも運転免許を持っていますが、
ひかりちゃんは、スーパー超絶ハイパーウルトラペーパードライバーなので、
二人のときは、99.999%僕が運転します。
残りの0.001%は、ひかりちゃんが「今日こそは運転極める」と、ハンドルを握りますが、
なんか危なっかしい運転で、
思わず僕が「危ないよ!!」「カーブだよ!!」「チャリンコ気をつけて!!」
などと口うるさく言ってしまい、
1kmで心が折れて、「代わってくれ。もう免許証返上する。」と言い、助手席でふて寝します。
プライドが傷つけられたのか、
それから、また長い期間運転しなくなるのです。
これでは、ひかりちゃんが一生運転できなくなってしまうし、
僕だって安心して助手席に乗っていたい。出先で酒を飲みたい。
何とかして、ひかりちゃんに運転を極めてもらいたいのです。
そんなある日、テレビで『とにかくほめる自動車教習所』の特集を放送していました。
教習所といえば、まあまあ厳しく指導して頂くことが多い印象です。
しかし、その教習所は、
何をしても誉めるのです。
S字クランクで脱輪しても「脱輪してすぐに止まったの偉いよ!いい判断!」
エンストしても「いまのエンスト最高だね!エンストしたとわかるまでの時間が早い!」
など、なんでも誉めるのです。
それを見て、「これだ!」と思い、
半年以上ぶりにひかりちゃんをドライブに誘い、
交通量の少ない道で、ひかりちゃんに運転してみないかと言ってみました。
前回の運転から時間が経っているのでプライドが回復していて、「まあ、やってみるか」とハンドルを握ってくれました。
そして、僕は誉める。
「いいハンドルの握り方!10時10分!」
ひかりちゃんは、運転するのが久しぶりすぎて、シフトの存在を忘れていて、シフトが『P』のまま走り出そうとしました。
自動車は動かず、エンジンがブオーンとなりました。
それも誉める。
「まるでF1だね!」
シフトを『D』に入れ、走り出しましたが、
信じられないくらいノロノロ運転。
「いいね!歩くよりかは速いよ!」
しばらく走ると、ロードバイクが数台前にいました。
追い越せばいいのですが、それが怖いらしく、
「なんでこんなにチャリンコ乗ってんだよ、歩くか電車乗れよ、邪魔くせーな」
運転に慣れていないと、こういうのにもすぐにイライラしてしまいます。
そんなひかりちゃんも誉めなければなりません。
なんとか絞り出した誉めが、
「いい闘志!!」
そこでひかりちゃんは、「さっきからイジってるだろ!」と言ってきたので、
思わず「いい洞察力ですね!」と言ってしまい、
すぐに運転を代わらせられました。
誉めるのは難しい。
【相方へ】
最高でした。思わず泪してしまいました。そして僕もひかりちゃんに全く同じことを思っていました。運命ですね。
料理楽しみです。
ところで、ひかりちゃんが一番自信のある料理ってなんですか?カレーか煮付けだと思います。
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