友達の眼鏡を執事眼鏡屋で買う日。


眼鏡屋である。

 世の中には執事喫茶とかメイド喫茶とかそういうコンセプトで営業している店がそれなりにあるのは知っていたけれど、今回は執事眼鏡屋で眼鏡を作る日となった。

 今回作るのは自分のものではなく、子持ちで多忙な友達の眼鏡である。どうやら通販が全滅しており実店舗にのみ在庫がある状態、かつ遠方の彼女にはなかなかいけないとのことで困っているところに代理ができるならしようかと声をかけた次第。
 場所は池袋の東口をのろのろと歩いて、なか卯の近く。静かな店内ではなぜか東方の原曲をピアノアレンジしたものがずっと流れていた。
 わたしもかつてこの店の通販で東方の眼鏡を買ったことがあるので、コラボ先へのリスペクトなのかもしれない。現在もコラボしたあたらしい東方の眼鏡を売っているらしかった。

「友人の代理で来ました」

 友人の名前を出すと奥に案内され、ソファ席に腰掛けるよう言われ商品の確認などをしたあとに決済。執事喫茶よりも眼鏡販売の店員らしさを感じられて、恭しすぎないところがよかった。おそらくフィッティングなどをする「自分の眼鏡を買う場合」はもう少し違うのかもしれない。わたしはというと「ただ金を払いに来た客」でしかないわけなので。

 それでも所作には店員にはない礼儀正しさがあって、礼儀正しくかっちりめの格好をした男性に眼鏡を作ってもらいたいというのならばよいのだろうと思った。フレームは特にアンダーリムに力をいれておりますとのことだった。当然眼鏡を作るにあたって眼鏡のフレームとレンズ料金以上をとることはしない。そりゃ執事よりも店員よりの接客になるのが普通だろう。

眼鏡を買いに来たら茶が出てきた。

 待っている間よろしければどうぞと出てきたのはクッキーとフレーバーティーだった。ものすごく冷たいわけでもないが、ぬるくもない温度だった。

 今度は自分の眼鏡をここで作るのもいいかもしれない。できればイケオジの店員がいる日に。

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