2002〜2003年に放映された攻殻機動隊SACでJ.D.サリンジャーが引用されていることはアニメを見た人なら既知の事実と思う
今更ではあるが、気づいた限りの引用箇所を列挙したいと思う
疲れたので考察はしません。
引用で一部伏せ字や言い換えがあることを了承ください
引用元のページ数の表記は紙媒体のものです
※ネタバレ有り
ライ麦畑でつかまえて
主人公:ホールデン・コールフィールド
弟:アリー
妹:フィービー
退学させられてしまったホールデンが実家に帰る数日間の物語
コミュニケーションが得意ではない厨二病真っ只中のホールデンが色々な人と会話して何かを起こしたいと思うが特に何も起こらないそして無力感を感じたり憤ったりして踠く様を描いた作品
あらすじについては以下をお読みください
笑い男
団長とメアリ・ハドソンの関係性の終焉とともに笑い男の命脈も尽きてしまい、少年たちが信じ崇敬した無敵のヒーローが大人の都合によってあっさりと死んでしまうことへの少年たちの憤りが描かれた作品
あらすじについては以下をお読みください
I thought what I'd do was, I'd pretend I was one of those deaf-mutes.
笑い男マークに描かれている文字であり、11話の授産施設で外部と連絡する場所に書かれている文字
秘密の金魚
ライ麦畑でつかまえてでは金魚を見せたがらない理由は書かれていないが、攻殻機動隊では少し話を膨らましているようだ
左利き用のキャッチャーミット
11話でAoiが左利き用のキャッチャーミットを持っている
ライ麦畑でつかまえての主人公ホールデンの弟アリーが持っていたミットが左利き用である
野手のミットと書かれているがファーストミットなのかキャッチャーミットなのかは明記されていない
英語でもAllie's baseball mittまたはleft handed fielder's mittと書かれているのみである
ではキャッチャーミットはどこからの引用かというと以下ではないかと思う
上記の彼女とは団長のガールフレンドのメアリ・ハドソンのこと、ちなみに彼女が守備しているのはセンターである
余談:バトーさんのいうネット隠語
詳しく調べていないので確かなことは言えないがこのような隠語は実際には存在しないらしい
これは以下の一節から着想を得たのかも知れない
ホールデンがすでに死んでいて存在しないはずの弟と会話をするという場面
ホールデンは例えを大袈裟に言ったり出鱈目なことを言ったりするところがあるので、アリーという存在さえ本当にいたのか怪しいところがある
ただ個人的にはフィービーが「アリーは死んだのよ」と言明しているのでアリーは存在したと思っている
ミットに描かれた文字
これらはライ麦畑でつかまえてのタイトルの由来に関連していると思われる箇所である
余談:ライ麦畑でつかまえての作中に出てくる曲
団長
攻殻機動隊では11話の授産施設でAoiのことを団長と呼称している
ナイン・ストーリーズの笑い男では小学生男子児童25人によるコマンチ団という団体の送迎バス運転手兼監督のことを団長と呼んでいる
オンバ
9話にネットマスターオンバという人物が登場する このオンバという人物は11話の授産施設でトグサくんが担当する共同部屋のメンバーの一人であり、共同部屋にはAoi(笑い男)の他にオンバを含め4人のメンバーがいる
その中で名前がわかるのがクロハとオンバ 残り二人は名前が出てこない
そしてナイン・ストーリーズの笑い男に出てくる笑い男の仲間も4人である
余談:今度も俺たちが守ってやるよ
11話で授産施設を去ることを決意したAoiにクロハが言ったセリフ
この今度に対しての前回はいつのことだろうか
最初の笑い男事件のことを指しているように思える
ウィルヘルム・シュテーケル
ウィルヘルム・シュテーケルは実在の人物らしい
余談:吉田松陰の言葉
全く関係ないけど吉田松陰が残した言葉を思い出した
上記は人間の成熟度合いで選ぶ生死が違うと言っているが
吉田松陰はタイミングで選ぶべき生死が違うと言っている
'Fu○k you'
26話の図書館(のような施設)の階段の手摺りに描かれている文字
赤いハンチング帽
26話の図書館(のような施設)の入り口で草薙素子が被る赤いハンチング帽そして被った後にひさしを後ろに回す仕草はライ麦畑でつかまえてからの引用である
彼女とはフィービーのこと
他にも以下のような一節がある
帽子を思想の隠喩と言っているようだ
草薙素子が帽子を被った後、会話の最後に投げ返すという行為に何らかの意味があると思われる
例えば草薙素子が笑い男を演じ終わったことをこの所作で示しているのかもしれない
余談:ホールデンの帽子
帽子はホールデンにとってのアイデンティティの象徴のようなものであり自分と世界を隔てるバリアのようなものではないだろうか
それを妹に渡すということが妹にしか心を開けないということと妹だけは守りたいという感情が綯い交ぜになっていることを表していると思う
Aoiにとっての帽子はどういった意味を持つのだろうか
何もかもがインチキに見えてるんでしょうね
僕、野球が下手ですから
これは公安9課のメンバーがタチコマたちを除くと8人でAoiが入ると9人になることを野球に例えている
ナイン・ストーリーズの笑い男にて、団長の人物紹介に以下のような一文があり 勧誘の話はここから着想を得ているのではないだろうか
ちなみにニューヨーク・ジャイアンツは現在サンフランシスコ・ジャイアンツとなっている
シャツの白さにすら腹が立つ
若干こじつけだがこの文を読んだときにすぐにトグサくんのセリフが想起されたので一応列挙しておく
マーク・チャップマン
26話でトグサくんがリボルバー拳銃とライ麦畑でつかまえてを持って出かけるシーンはマーク・チャップマンの事件を元にしていると思われる
詳しくは自分で調べてみてください
余談:マーク・チャップマンとの違い
トグサくんとマーク・チャップマンの違いは2つあると思う
1つはライ麦畑でつかまえてを捨てたこと
もう1つは止めてくれる仲間がいたこと
つまり本を捨てた時点でトグサくんの行為は実行されないことが暗示されていると伺える
出典
ライ麦畑でつかまえてはその装丁がアニメの劇中で描かれている
26話でトグサくんがその本を投げる際にクローズアップで映されていて表紙に落書きが描かれているがそれが何なのかはわからない
余談
アルジャーノンに花束を
15話にて読書好きのタチコマが読んでいる本
主人公のチャーリイの日記形式で語られる物語
著者はダニエル・キイス
主人公のチャーリイは臨床試験によって急激に知能が発達することで周囲の人間との関係に軋轢が生じてしまう
タチコマが好奇心によって急激に成長した結果ラボ送りになってしまう事の寓意だと思われる
1984
全体主義による監視社会を描いた物語
著者はジョージ・オーウェル
21話にてイシカワが米帝の国家偵察局の環衛星通信傍受網を揶揄して「ビッグ・ブラザーのお出ましだ」と言っている
ビッグ・ブラザーは1984に出てくる党の英雄の呼称である
米帝の環衛星通信傍受網はスノーデンが2013年に暴露したアメリカ国家安全保障局NSAのPRISMに酷似している
1984は攻殻機動隊SAC_2045でも引用されているのでそちらの引用箇所を探すのも面白い
では良い一日を。